老舗通販の「日本直販」が再始動に向けて動き出した。通販黎明期からテレビやラジオ、新聞で広く通販を展開し、誰もが知る通販会社として順調に業績を伸ばしていたが運営会社であった総通が2012年に破綻。同社支援に名乗りを上げたトランスコスモスへ「日本直販」は引き継がれ、以降、約10年にわたってトランスコスモスのグループ内で様々な改革を進めながら一度は破綻した通販事業を安定成長させてきた。そして22年、トランスコスモスの戦略変更とBtoC事業へ事業領域を広げたいコールセンター事業などのBtoB事業を展開するギグワークスが「日本直販」の事業譲渡に合意。7月からギグワークスの子会社、日本直販として再スタートを切っている。現状の事業展開や今後の方向性などについて同社を率いる遠藤俊社長に聞いた。
――ギグワークスへの傘下入りの経緯は。
「『日本直販』は総通破綻後、事業譲渡を受けたトランスコスモス傘下の通販子会社、直販として、また、日本直販事業(※15年にトランスコスモスが日本直販を吸収合併。以降、同社内の事業部として展開)として通販事業を行ってきた。私はトランスコスモスの社員として17年から日本直販事業に着任し18年から責任者となり、事業の効率化や改善を進めてきた。総通時代の売り上げ拡大のみを追いかけ採算を度外視した無計画な広告出稿を止めた。テレビやラジオ、新聞、カタログ、インターネットといった各通販媒体の連携を専門チームが各種データを分析しながら、適切な商品を適切な媒体に出稿するなど投資対効果の最大化や効果的なメディアミックス戦略を打てるように変えていった。18年からは商品の仕入れ先であるベンダーや広告代理店などの既存の取引事業者との関係も見直し、適切な商品やメディア枠を適切な取引先から適切な金額で仕入れることができるように条件を変え、さらに新規の取引先を広く開拓し、様々な良い商品を販売することが徐々にできてきた。それによって利益改善が図れた。また、総通時代の無理な売り上げ拡大はやめ、適正な年商まで縮小していた売上高も再成長軌道に戻すことができ、毎年10%成長を目標として達成できるようになってきていた。ただ、トランスコスモスが経営方針として22年からBtoB事業に集中するとし、BtoC事業である『日本直販事業』から撤退することになった。そこで本業のBtoB事業とのシナジーを活かせ、BtoCという新たな事業領域へも進出したい意向のあったギグワークスと縁があり、日本直販事業はギグワークスのグループの一員として新たに事業会社、『日本直販』となり、7月から再出発することになった」
――ギグワークス傘下での事業展開の現状は。
「我々がやりたかったことがギグワークスとのシナジーによって実現できるようになるなど順調に事業を展開でき始めている。具体的には9月からスタートした『訪問お手伝いサービス』だ。スタッフを派遣して重い商品をお客様の自宅の希望の場所に設置したり、商品を組み立てたり、使い方をお教えするサービスとなる。当社のお客様はシニア層が多いこともあり、以前から『組み立てが難しいので手伝ってほしい』、との要望が多く寄せられていた。そのため、当社としても例えばマッサージチェアなど一部の商品では販売だけでなく、設置や組み立てサービスをメーカーと協力しながら行ってきた。お客様からも非常に喜ばれ、当該商品は販売も拡大し人気商品にもなっている。当社としてはこうした付加サービスをほかの商品にも拡大を検討していた。ギグワークスにはBtoB事業のBPO業務に従事しているギグワーカーと呼ばれる人材が全国に存在しており、このギグワーカーが稼働することで他の商品でも付加サービスを行うことができるようになり、『訪問お手伝いサービス』がスタートできた。このほか、受注業務でもギグワークスとのシナジーが出てきている。当社には独自に200席のコールセンターがあり、お客様からの受注や問い合わせを受けている。テレビやラジオ・新聞などのマスメディアでの広告展開では時には予想を超える受注・問い合わせを頂くこともある。お客様が欲しいと思ったタイミングで受付対応する事が非常に重要となるが、こうした予想を上回る呼量について10月から、ギグワークスの在宅コールセンターと連携しお客様の受注対応を行っており、これも成果を上げ始めている」
――ギグワークスは22年7月に総合通販事業2社を同時にグループインしたが協業は。
「22年10月に日本直販と悠遊生活は合併・統合(※存続会社は日本直販)した。ギグワークスのグループ入りした7月からすでに合併を見据えて準備してきたこともあり、順調に事業統合が進んでいる。両社とも同じシニア層がメイン顧客であるため、お客様の重複割合を懸念していた。しかし、商材構成や東西運営の違いもあり実際の重複ほとんどなかった。そのため、それぞれのお客様へ相互にサービス展開していきつつ、両社の強みを伸ばしていく形で進めている」
――具体的には。
「例えば日本直販では通販カタログとして総合誌の『夢運便』や80歳以上のハイシニアをターゲットとした『楽歳』、メンズ向け商材を掲載した『メンズアップ』、アクティブシニア向けのグッズを厳選掲載した『コレダ!』など合計8誌を展開しており、全国のお客様に属性に応じていくつかのカタログを組み合わせて年間10回、送付している。一方で『悠遊生活』でも年間6回、同じく全国の顧客に向けてカタログを発行してきた。ただ、カタログは総合誌1つで展開している。そこに『日本直販』で展開しているカタログを『悠遊生活』のお客様に合わせたクリエイティブとページネーション展開し、これまで以上に購入頂けるようサービス拡大している。カタログの制作についても『日本直販』に一本化することで効率化も図れている。商品についても『日本直販』『悠遊生活』で互いに強い商品を販売できるなど2つが1つになることによって強みを倍にできている。またコールセンターや物流拠点も一本化し効率化とサービスの拡充も図っている」
――今後の展開は。
「『悠遊生活』と『日本直販』の融合をまずは迅速に形にしたい。統合はしたが当然、運営もシステムも違うわけでそれぞれの良さを出すためには工夫も必要となる。また、企業文化も異なる。ギグワークスグループとしての『新生日本直販』を急ピッチで作っていくことが当面の課題だ。売り上げ目標については『悠遊生活』が加わった単純な足し算では意味がない。両社の強みとギグワークスとシナジーを十分に活かして、これまで以上の伸長率を目指していく。そのために、当社の強みであるシニア向けの商材・サービスをさらに強化していくことに加えて、シニア以外のお客様のサービス展開も進めていく。例えば、ギグワークスの株主優待で日本直販の商品を年間優待購入のサービスを始める。株主にはシニア層以外の幅広い年齢層の方々がいるため、それぞれの層にマッチする商品を広く取り揃えて、専用サイトで23年2月よりサービスインする。こうした取り組みは、ギグワークスと連携し日本直販BtoB事業として企業向けの福利厚生や社員販売の窓口で横展開していく予定で、シニア以外の層の獲得や売り上げ拡大を進めていきたい。また、当社がこれまで培ってきた総合通販ノウハウをいかした広告制作から媒体投下と販促、受注受付から商品発送まで行う通販ワンストップサービス『日本直販メディアプラン』をギグワークスグループと連携して企業向けに営業を展開し、BtoB事業の拡大も図っていく」
――ギグワークスへの傘下入りの経緯は。
「『日本直販』は総通破綻後、事業譲渡を受けたトランスコスモス傘下の通販子会社、直販として、また、日本直販事業(※15年にトランスコスモスが日本直販を吸収合併。以降、同社内の事業部として展開)として通販事業を行ってきた。私はトランスコスモスの社員として17年から日本直販事業に着任し18年から責任者となり、事業の効率化や改善を進めてきた。総通時代の売り上げ拡大のみを追いかけ採算を度外視した無計画な広告出稿を止めた。テレビやラジオ、新聞、カタログ、インターネットといった各通販媒体の連携を専門チームが各種データを分析しながら、適切な商品を適切な媒体に出稿するなど投資対効果の最大化や効果的なメディアミックス戦略を打てるように変えていった。18年からは商品の仕入れ先であるベンダーや広告代理店などの既存の取引事業者との関係も見直し、適切な商品やメディア枠を適切な取引先から適切な金額で仕入れることができるように条件を変え、さらに新規の取引先を広く開拓し、様々な良い商品を販売することが徐々にできてきた。それによって利益改善が図れた。また、総通時代の無理な売り上げ拡大はやめ、適正な年商まで縮小していた売上高も再成長軌道に戻すことができ、毎年10%成長を目標として達成できるようになってきていた。ただ、トランスコスモスが経営方針として22年からBtoB事業に集中するとし、BtoC事業である『日本直販事業』から撤退することになった。そこで本業のBtoB事業とのシナジーを活かせ、BtoCという新たな事業領域へも進出したい意向のあったギグワークスと縁があり、日本直販事業はギグワークスのグループの一員として新たに事業会社、『日本直販』となり、7月から再出発することになった」
――ギグワークス傘下での事業展開の現状は。
「我々がやりたかったことがギグワークスとのシナジーによって実現できるようになるなど順調に事業を展開でき始めている。具体的には9月からスタートした『訪問お手伝いサービス』だ。スタッフを派遣して重い商品をお客様の自宅の希望の場所に設置したり、商品を組み立てたり、使い方をお教えするサービスとなる。当社のお客様はシニア層が多いこともあり、以前から『組み立てが難しいので手伝ってほしい』、との要望が多く寄せられていた。そのため、当社としても例えばマッサージチェアなど一部の商品では販売だけでなく、設置や組み立てサービスをメーカーと協力しながら行ってきた。お客様からも非常に喜ばれ、当該商品は販売も拡大し人気商品にもなっている。当社としてはこうした付加サービスをほかの商品にも拡大を検討していた。ギグワークスにはBtoB事業のBPO業務に従事しているギグワーカーと呼ばれる人材が全国に存在しており、このギグワーカーが稼働することで他の商品でも付加サービスを行うことができるようになり、『訪問お手伝いサービス』がスタートできた。このほか、受注業務でもギグワークスとのシナジーが出てきている。当社には独自に200席のコールセンターがあり、お客様からの受注や問い合わせを受けている。テレビやラジオ・新聞などのマスメディアでの広告展開では時には予想を超える受注・問い合わせを頂くこともある。お客様が欲しいと思ったタイミングで受付対応する事が非常に重要となるが、こうした予想を上回る呼量について10月から、ギグワークスの在宅コールセンターと連携しお客様の受注対応を行っており、これも成果を上げ始めている」
――ギグワークスは22年7月に総合通販事業2社を同時にグループインしたが協業は。
「22年10月に日本直販と悠遊生活は合併・統合(※存続会社は日本直販)した。ギグワークスのグループ入りした7月からすでに合併を見据えて準備してきたこともあり、順調に事業統合が進んでいる。両社とも同じシニア層がメイン顧客であるため、お客様の重複割合を懸念していた。しかし、商材構成や東西運営の違いもあり実際の重複ほとんどなかった。そのため、それぞれのお客様へ相互にサービス展開していきつつ、両社の強みを伸ばしていく形で進めている」
――具体的には。
「例えば日本直販では通販カタログとして総合誌の『夢運便』や80歳以上のハイシニアをターゲットとした『楽歳』、メンズ向け商材を掲載した『メンズアップ』、アクティブシニア向けのグッズを厳選掲載した『コレダ!』など合計8誌を展開しており、全国のお客様に属性に応じていくつかのカタログを組み合わせて年間10回、送付している。一方で『悠遊生活』でも年間6回、同じく全国の顧客に向けてカタログを発行してきた。ただ、カタログは総合誌1つで展開している。そこに『日本直販』で展開しているカタログを『悠遊生活』のお客様に合わせたクリエイティブとページネーション展開し、これまで以上に購入頂けるようサービス拡大している。カタログの制作についても『日本直販』に一本化することで効率化も図れている。商品についても『日本直販』『悠遊生活』で互いに強い商品を販売できるなど2つが1つになることによって強みを倍にできている。またコールセンターや物流拠点も一本化し効率化とサービスの拡充も図っている」
――今後の展開は。
「『悠遊生活』と『日本直販』の融合をまずは迅速に形にしたい。統合はしたが当然、運営もシステムも違うわけでそれぞれの良さを出すためには工夫も必要となる。また、企業文化も異なる。ギグワークスグループとしての『新生日本直販』を急ピッチで作っていくことが当面の課題だ。売り上げ目標については『悠遊生活』が加わった単純な足し算では意味がない。両社の強みとギグワークスとシナジーを十分に活かして、これまで以上の伸長率を目指していく。そのために、当社の強みであるシニア向けの商材・サービスをさらに強化していくことに加えて、シニア以外のお客様のサービス展開も進めていく。例えば、ギグワークスの株主優待で日本直販の商品を年間優待購入のサービスを始める。株主にはシニア層以外の幅広い年齢層の方々がいるため、それぞれの層にマッチする商品を広く取り揃えて、専用サイトで23年2月よりサービスインする。こうした取り組みは、ギグワークスと連携し日本直販BtoB事業として企業向けの福利厚生や社員販売の窓口で横展開していく予定で、シニア以外の層の獲得や売り上げ拡大を進めていきたい。また、当社がこれまで培ってきた総合通販ノウハウをいかした広告制作から媒体投下と販促、受注受付から商品発送まで行う通販ワンストップサービス『日本直販メディアプラン』をギグワークスグループと連携して企業向けに営業を展開し、BtoB事業の拡大も図っていく」