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澤井珈琲 開封率、メルマガの3倍超【「LINEローカルデー」から㊤】 LINEが「ひと押し」に 

2022年 9月29日 15:00

 LINEが提供している、企業が「LINE」上に自社アカウントを開設できる「LINE公式アカウント」のEC活用が進んでいる。

 ヤフーとLINEが経営を統合したことを受けて、昨年から「PayPayモール」「ヤフーショッピング」に出店する店舗のアカウント開設を受け付けており、これまで3万超の店舗が利用しているという。メッセージの開封率は、メールマガジンと比較して4・6倍、クリック率は同3・3倍、1人あたりの購入金額は同1・4倍に達している。

 8月31日に開催された、店舗や企業のマーケティング担当者と代理店を対象としたイベント「LINEローカルデー」では、「澤井珈琲」(運営は澤井珈琲)と「SHIROHATO」(同白鳩)の担当者が登壇し、自社におけるLINE公式アカウント運用方法などを紹介した。

 澤井珈琲では、楽天市場店とPayPayモール店でLINE公式アカウントを活用している。

 澤井珈琲の澤井理憲常務取締役兼銀座店店長(=写真中央)は、「LINE」導入のきっかけについて「当社がECを始めた20年前は、メールを送れば送るほど開封率が高くなった。ただ、スマートフォンへの移行が進み、メルマガの開封率は年々下がっている。顧客とのコミュニケーションを取るために、『LINE』にチャレンジした」と話す。

 澤井珈琲では、サイトとメルマガに「LINE」の友だち追加のためのバナーを掲載。発行するクーポンに関しては、メルマガ会員の15%割引に対し、『LINE』は20%割引と優遇している。「メールと違い、『LINE』の通知は仕事中でも開いてくれる。メルマガ読者もサイトへの来訪者も『LINE』の友だちになってもらうことで、次のアクションにつなげるため、『LINE』ではより強力な販促を打っている」(澤井常務)。

 こうした施策により、PayPayモールの「ズバトクキャンペーン」では3万人超の友だちを獲得。楽天・PayPayモール合算で友だち数は21万人を超えた。「メルマガ会員は約70万人だが、『LINE』を始めて約4年で21万人という結果は大満足。『LINE』はアクセスや売り上げ増といった反応が凄いので、こちらとしても楽しみながら配信をしている」(同)。メルマガと比較した場合、開封率は3・3倍、クリック率は1・7倍に及ぶ。

 メッセージ作成については、ファーストインプレッションで「何をしているのか」「何がお得なのか」が分かるよう工夫している。「半額」など、短い文言で刺さる言葉を意識した上で、写真と画像を重視。また、クーポンについては価格帯で分けて複数配布している。

 メッセージ配信のタイミングは、消費者がコーヒーを飲むことが多い朝や、仮想モールが開催する大型セールを意識。セールの前日や前々日に商品の良さをアピールして、当日の配信で最後のひと押しをするイメージという。特に、PayPayモールにおいては、モール側がポイント増量施策を実施している日曜日にメッセージを配信しており、売り上げのうち68%が日曜日となっている。

 澤井珈琲では、昨年11月からPayPayモール店の「LINE」アカウントの運用を開始。今年7月の「LINE」経由売り上げは2・3倍になったほか、今年2月の大型セールにおいては、「LINE」経由で1500万円を記録した。4~7月における、1人あたり合計購入金額は、同社PayPayモール店の全体との比較で1・3倍となるなど、単価や購入回数増加につながっているようだ。「売り上げの上限値は顧客リストの上限値でもある。友だちが20万人から50万人、100万人と増えれば売り上げはさらに伸びる。より多くのユーザーに情報を届けるために、販売手法としての『コミュニケーション』をもっとアップデートしていかなければならない」(澤井常務)。

 今後は、友だち数をメルマガ発行部数と同じ水準の70万まで伸ばしていくほか、読み物としても活用する。澤井常務は「コミュニケーションツールとしての『LINE』は本当に凄い。これまで当社やってきたメルマガ配信は、もしかしたら一方的に『これがおすすめです』と押し付けるもので、乱暴な部分があったかもしれない。『LINE』を活用することで、顧客がより身近になるチャンスが生まれた。現状の20万人という友だち数は、本や雑誌の発行部数に匹敵する。『澤井珈琲をこうしたら楽しめる』など、当社の思いを伝えるコミュニケーションもしていきたい」と今後の「LINE」活用のビジョンを語った。(つづく)

 
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