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20年に入り、コロナ禍で一気に過熱したEC市場。とりわけ、在宅時間の高まりとともに室内調度品の見直しが進み、大きく伸長したのが家具EC市場だ。しかしながら、翌年の21年度は前年の急激な特需の反動減を受けて、売り上げが低迷し始めたところも少なくない。そうした中、同社では他のECでは取り扱いが少ない国内外のブランドを中心に品ぞろえを固め、自社通販サイトである「フライミー」(画像)を成長させている。
”コロナバブル”で急激な拡大路線に舵を切る家具EC企業も見られた昨年度、同社では中長期的視野であえて保守的に、事業を展開したという。元々、同社の場合、毎年、年率70~80%程度で売り上げが成長しており、前期は例年に比べると上がり幅ではややなだらかになったものの、コロナバブルの反動で大きく落ち込んだ他社とは異なり、引き続き成長を果たすことができている。
反動減を受けずに成長を維持できたのはいくつかの理由がある。その一つがBtoB事業の存在だ。
基本的に家具市場はBtoCとBtoBが半々程度と言われている。ところが家具ECとなると、その多くはBtoC向けにしか対応されていない商材が多くなる。同社の場合、他社と大きく違うのは、こうしたBtoC向けだけではなく、BtoB向けに対応できる商材も展開しているところだ。「BtoBではそれなりにハイエンドなものが使われる。公共施設などの家具・インテリアは壊れると利用者が怪我をする恐れもあるため、耐久性が求められる。そうした領域に耐えうる商品が広くインデックス(登録)されているのは当社しかない」(坂本如矢社長)とする。
そのため、インテリアコーディネーター会社やデザイン会社、内装施工など、BtoBでの販売先となるあらゆるプロユースの企業から支持を受けることができていったようだ。
また、仮想モールなどの売り場を使わずに、開発もすべて内製化した自社ドメインのサイトでブランド展開ができていることも大きい。
同社によると、家具業界はネットでの露出を増やせば増やすほど売り上げが下がるロジックがあるという。前述の通り、BtoCとBtoBが半分ずつの市場であるため、ポイント還元や大型セールで割安に見られるBtoCのモールなどに積極的に商品を出してしまうと、ブランディングが崩れ、商品の値崩れとともにBtoBの販路も消失してしまう業界特性があるというのだ。
製造元の家具メーカーサイドとしては、自分たちのブランド価値を棄損することなく販売できる良質な売り場を求めている。
同社のサイトについては、ハイエンドな商品を軸に価格訴求に頼らない商品演出を行っていることから、他のECには商品供給しないブランドからも唯一のウェブでの販路として選ばれることがあり、希少なブランドが集まる売り場としてBtoC・BtoBの両面で差別化が図れているとする。(つづく)