前号に引き続き、全国通販の下川英士社長(=
写真)に、主力事業であるカタログ通販の立て直し策などについて聞いた。
ーー既存顧客の離脱防止では一定の成果が出ている。
「顧客数の拡大には、離脱防止に加えて新規顧客の開拓が必要になる。当社は古くから新聞広告を多く出稿して新客を開拓してきたが、小売業の基本である『試売と本番』という考え方がなく、採算性に課題を抱えていたため、試売で成果の良いものだけを本番で売るという形にした。効率的な顧客開拓投資ができるようになったし、新客の獲得数も大幅に伸ばすことができた」
ーー前期の顧客数については。
「離脱防止と新客開拓の取り組みにより、ずっと減少していた顧客数が反転し、2022年3月期は前年と比較して顧客数が15%程度増えた」
ーー利益面は。
「収益性の改善に向け、不必要なカタログ発行を見直した。採算性が合わない顧客へのカタログ送付が多かったため、ファッションと雑貨、食品のカタログを展開する中で、顧客特性に合わせて配布するカタログを絞ったり、ページ数自体も採算性が合うように削ったりした」
「また、従来は投資実行のラインが不明確だった。顧客が年間に生み出すLTVも算出されていなかったので、LTVをしっかり把握した上で投資ラインを決めた」
ーーブランド認知については。
「シニアマーケットに特化して本腰を入れている通販会社はそこまで多くないので、当該層に向けては当社が展開する『ことせ』のブランドを確立できる思う」
ーーファッションの構成比に変化は。
「『ナイスミセス』時代からファッションが強かったが、約2年前に『ことせ ファッション』にカタログをリニューアルして以降もファッションの構成比は上がっている」
ーーファッション以外のテコ入れ状況は。
「ファッション領域の顧客開拓や収益改善が一段落したので、ベースとなる考え方は同じで、食品と雑貨カテゴリーのカタログについても改革に着手している」
ーーコロナ禍で立て直しを図っているが、コロナの影響は。
「当社は20年3月期まで赤字決算だったが、コロナ1年目の21年3月期は黒字化した。ただ、その期はコロナの影響を受けて通販カタログのレスポンスが改善され、収益面にも好影響を与えたと思っている。実際に、大きく伸びたのは日用雑貨と食品関連で、外出機会の減少がプラスに作用した」
「本当に実力がついたかどうかは22年3月期の業績となるが、ファッション領域の改革が実を結んで、前年度よりも売り上げを大きく伸ばすことができた。顧客数が増えたので売り上げも伸びたし、黒字も維持した。ただ、前年の反動もあって雑貨と食品は苦戦した」
ーー雑貨と食品の改革にも着手している。
「ちょうど苦戦したタイミングで両カテゴリーの改革に着手したので、これから先、成果が出てくるのが楽しみだ」
ーー会社経営の考え方としてトップラインも重視するのか。
「もちろんだ。お客様からの認知や支持して頂いているかどうかは売り上げ規模に比例する。そういう意味でトップラインは追求したい」
ーーリピート化については。
「リピート化はあまり難しく考え過ぎず、良い商品を開発して良いカタログを作れば、レスポンスも上がる。顧客のリピート化施策としてははそこが一番大事だ」
ーーカタログがメインだが、ECチャネルの改革はどうか。
「ECの改革はこれからだが、ECチャネルは今後、最重要チャネルになると思っている。シニア層だからECは関係ないという時代ではないので、力を注いでいくべきチャネルだと認識している。まだ売り上げ規模は小さいが前年比2倍で伸びているので、来期は戦略を立てて一歩踏み込んでいきたい」
ーーハルメクグループとの連携などは。
「ノウハウの共有が中心で、ハルメクが先行しているのは顧客理解の部分だ。エンドユーザーの声をしっかり吸い上げて、それをカタログ制作と商品展開に反映するという仕組みが非常に長けていて、当社はコンサルティングをしてもらっているような感じだ。ノウハウを教えてもらい、当社のビジネス展開に生かしたい」
ーーカタログ通販のプレーヤーは減ってきている。
「当社としては、引き続き顧客数、ファンの数を増やすことでトップラインを伸ばしていく。シニアマーケットという期待されている市場で、顧客数、ファンの数が増えている状況にあるということは当社の大きな価値になる。今は物販がメインだが、強みを武器にこのプラットフォームをもっと有効活用していければいい」(おわり)
ーー既存顧客の離脱防止では一定の成果が出ている。
「顧客数の拡大には、離脱防止に加えて新規顧客の開拓が必要になる。当社は古くから新聞広告を多く出稿して新客を開拓してきたが、小売業の基本である『試売と本番』という考え方がなく、採算性に課題を抱えていたため、試売で成果の良いものだけを本番で売るという形にした。効率的な顧客開拓投資ができるようになったし、新客の獲得数も大幅に伸ばすことができた」
ーー前期の顧客数については。
「離脱防止と新客開拓の取り組みにより、ずっと減少していた顧客数が反転し、2022年3月期は前年と比較して顧客数が15%程度増えた」
ーー利益面は。
「収益性の改善に向け、不必要なカタログ発行を見直した。採算性が合わない顧客へのカタログ送付が多かったため、ファッションと雑貨、食品のカタログを展開する中で、顧客特性に合わせて配布するカタログを絞ったり、ページ数自体も採算性が合うように削ったりした」
「また、従来は投資実行のラインが不明確だった。顧客が年間に生み出すLTVも算出されていなかったので、LTVをしっかり把握した上で投資ラインを決めた」
ーーブランド認知については。
「シニアマーケットに特化して本腰を入れている通販会社はそこまで多くないので、当該層に向けては当社が展開する『ことせ』のブランドを確立できる思う」
ーーファッションの構成比に変化は。
「『ナイスミセス』時代からファッションが強かったが、約2年前に『ことせ ファッション』にカタログをリニューアルして以降もファッションの構成比は上がっている」
ーーファッション以外のテコ入れ状況は。
「ファッション領域の顧客開拓や収益改善が一段落したので、ベースとなる考え方は同じで、食品と雑貨カテゴリーのカタログについても改革に着手している」
ーーコロナ禍で立て直しを図っているが、コロナの影響は。
「当社は20年3月期まで赤字決算だったが、コロナ1年目の21年3月期は黒字化した。ただ、その期はコロナの影響を受けて通販カタログのレスポンスが改善され、収益面にも好影響を与えたと思っている。実際に、大きく伸びたのは日用雑貨と食品関連で、外出機会の減少がプラスに作用した」
「本当に実力がついたかどうかは22年3月期の業績となるが、ファッション領域の改革が実を結んで、前年度よりも売り上げを大きく伸ばすことができた。顧客数が増えたので売り上げも伸びたし、黒字も維持した。ただ、前年の反動もあって雑貨と食品は苦戦した」
ーー雑貨と食品の改革にも着手している。
「ちょうど苦戦したタイミングで両カテゴリーの改革に着手したので、これから先、成果が出てくるのが楽しみだ」
ーー会社経営の考え方としてトップラインも重視するのか。
「もちろんだ。お客様からの認知や支持して頂いているかどうかは売り上げ規模に比例する。そういう意味でトップラインは追求したい」
ーーリピート化については。
「リピート化はあまり難しく考え過ぎず、良い商品を開発して良いカタログを作れば、レスポンスも上がる。顧客のリピート化施策としてははそこが一番大事だ」
ーーカタログがメインだが、ECチャネルの改革はどうか。
「ECの改革はこれからだが、ECチャネルは今後、最重要チャネルになると思っている。シニア層だからECは関係ないという時代ではないので、力を注いでいくべきチャネルだと認識している。まだ売り上げ規模は小さいが前年比2倍で伸びているので、来期は戦略を立てて一歩踏み込んでいきたい」
ーーハルメクグループとの連携などは。
「ノウハウの共有が中心で、ハルメクが先行しているのは顧客理解の部分だ。エンドユーザーの声をしっかり吸い上げて、それをカタログ制作と商品展開に反映するという仕組みが非常に長けていて、当社はコンサルティングをしてもらっているような感じだ。ノウハウを教えてもらい、当社のビジネス展開に生かしたい」
ーーカタログ通販のプレーヤーは減ってきている。
「当社としては、引き続き顧客数、ファンの数を増やすことでトップラインを伸ばしていく。シニアマーケットという期待されている市場で、顧客数、ファンの数が増えている状況にあるということは当社の大きな価値になる。今は物販がメインだが、強みを武器にこのプラットフォームをもっと有効活用していければいい」(おわり)