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同社がスタジオを保有するのは初となる。EC事業本部の岡田敦史部長は「これまでは制作会社経由でスタジオを借りて撮影をしていたが、担当者が都内まで出向く必要があるので、ちょっとした撮影でも移動時間が発生しており、サンプルも発送しなければならなかった。スタジオがオフィスに併設されたことで、スタジオのレンタル料金も含めて、コストと時間の節約になる」と話す。
同社はこれまで、カタログ通販をメインとしていたため、撮影から誌面への写真掲載までのスピード感はあまり必要がなかった。また、カタログに掲載できる写真の点数が限られており、1商品あたりのカット数が他社対比で少ない状態で展開していた。
ところがネット販売の場合、そういった制約がないため、1商品あたり数十カット掲載するのが当たり前になっている。同社がカタログに掲載した商品をネットで販売する場合、少ないカット数で商品を掲載していたため、見栄えの点で競合他社に劣っていた。さらに、最近はベルーナでもEC専用商品に注力しており、こうした流れに対応する必要があった。また、最近はモデルではなく、スタッフのコーディネートを掲載するアパレルEC企業も増えている。
「当社のスタッフからも『気軽に撮影できるスペースが欲しい』という声がずっと出ていた。大手アパレルブランドのスタジオも見学したが、撮影した次の日に写真を載せるという機動性が重要だと実感した。ただ、社内か近い場所にスタジオがないと利便性が悪いので、なかなかスタジオに向いた場所がなかった」(岡田部長)。
今般、上尾駅直結で本社からも近い、「アリコベール上尾サロン館」の4階が空いたことから、借り切ってスタジオ併設の新オフィスを設けることになった。スタジオはテイストの異なる4つのブースを用意。自然光の入るハウススタジオ風のブースと、白背景でも撮影が可能なブースが3つで、それぞれ床の模様が異なっている。物撮りには3セット対応する。あわせて、20~30代向けファッションブランド「ジーラ」などのEC専用商品企画部門、RyuRyuモール運営部門、新事業部門、大きいサイズアパレル子会社・ミンの企画部門が移転。100名程度が勤務する。「スタジオを活用しそうなアパレル・雑貨事業の部署を1カ所に集めた。ノウハウを共有することはもちろんだが、切磋琢磨することでECの売り上げを伸ばしていきたい」(同)。
モデル着用の商品撮影だけではなく、スタッフのコーディネート撮影や、インスタライブの撮影会場としてなど、マルチに活用することを想定している。岡田部長は「30~40代女性向けファッションブランド『ラナン』などを中心に、週1回はスタッフによるインスタライブを行っていきたい。コメントで視聴者とやり取りすることなどで、顧客とのエンゲージメントを強化しファン化を促進していきたい。また、静止画が基本の通販サイトとは異なり、動画は消費者が商品の気になる部分を直接見ることができるのも大きい。コンバージョンレートの改善につながるのではないか」と期待する。