景品表示法検討会 「確約手続き」導入視野、悪質業者に課徴金引き上げで厳正対処
消費者庁の「景品表示法検討会」は、法改正を念頭に、年内をめどに取りまとめを行う。6月23日の第4回会合で、不当表示の自主的な早期是正を目的に、新たに確約手続きを導入する方向で検討を進める方針を示した。違反行為を繰り返す悪質事業者に対する制裁効果は強化。課徴金額の引き上げなど算定基準を見直す。ステルスマーケティングへの対応は検討会傘下に専門部会を設置し検討する。
ステマは、IT関連の専門的知見を持つ委員を新たに選任し、「景表法検討会」と並行して議論する。ステマが消費者心理に与える影響等を整理。年内の結論を目指し、検討会報告書に盛り込む。
景表法改正は、独占禁止法の確約手続きや、課徴金算定基準を参考に検討する。
確約手続きは、独禁法違反の疑いがある行為について、公正取引委員会と事業者が協調的に解決する仕組み。公取委の通知を受けて、事業者が確約計画を申請。公取委が計画の認定の可否を判断する。行政処分にあたり内容や社名も公表されるが、違反認定を含む措置命令は行わない。課徴金納付命令も課されない。
景表法では不当表示の早期是正を目的に検討する。また、消費者利益の回復策に活かせるとみる。
現行法も、課徴金制度において消費者への自主返金で課徴金額が減額される措置がある。ただ、活用は進んでいない。独禁法の確約手続きでは、大規模事業者の優越的地位の乱用行為に対し、納入業者への金銭回復措置で確約計画を認定した実績がある。事業者が策定した確約計画の認定要件などは今後詰める。また、返金にあたっては、電子マネー等の活用により円滑な返金を促す仕組みも検討する。
違反行為を繰り返す悪質事業者には、課徴金算定率の引き上げによる制裁強化で厳正に対処する方向で検討する。景表法は、あくまで表示是正が目的になる。このため、消費者契約の類型で違反行為を規定する特商法と連携。法人の業務停止や個人に対する業務禁止命令の活用により、消費者利益の回復にもつなげる。
執行体制の強化では、都道府県や特定適格消費者団体との連携も模索する。
景表法の規制対象の範囲の解釈をめぐる「供給主体性」の議論は、中長期的な検討課題として報告書に記載する方針。消費者を不利な決定に誘導する表記やサイト設計、僅少な在庫の強調など「ダークパターン」と呼ばれる行為も将来的な検討課題とする考え。
5月に行われた第3回会合で、中川丈久座長は、「少なくとも独禁法に追いつく必要がある」と言及していた。今会合の冒頭、若宮健嗣消費者担当大臣は、あいさつの中で「メリハリのある執行の実現」を要請。確約手続き導入による柔軟な行政措置、悪質業者への制裁強化を念頭に置いた発言とみられる。ステマへの対応、問題の整理も改めて要請した。
月1~2回のペースで検討する。7~9月にかけて、事業者団体や弁護士会など関係者からヒアリングを実施。10月以降、論点整理、報告書案の検討を進める。
今会合で委員から、確約手続き、課徴金算定基準の見直しに反対意見はなかった。確約手続きを導入した場合、命令相当の事案に適用しないよう、適切な運用を求める要望があった。消費者サイドの委員は、適格消費者団体に事業者への合理的根拠の要求権限の付与を求める意見があった。また、行政との連携では、処分に関する資料提供を求めた。
そのほかの注目記事FEATURED ARTICLE OTHER
ステマは、IT関連の専門的知見を持つ委員を新たに選任し、「景表法検討会」と並行して議論する。ステマが消費者心理に与える影響等を整理。年内の結論を目指し、検討会報告書に盛り込む。
景表法改正は、独占禁止法の確約手続きや、課徴金算定基準を参考に検討する。
確約手続きは、独禁法違反の疑いがある行為について、公正取引委員会と事業者が協調的に解決する仕組み。公取委の通知を受けて、事業者が確約計画を申請。公取委が計画の認定の可否を判断する。行政処分にあたり内容や社名も公表されるが、違反認定を含む措置命令は行わない。課徴金納付命令も課されない。
景表法では不当表示の早期是正を目的に検討する。また、消費者利益の回復策に活かせるとみる。
現行法も、課徴金制度において消費者への自主返金で課徴金額が減額される措置がある。ただ、活用は進んでいない。独禁法の確約手続きでは、大規模事業者の優越的地位の乱用行為に対し、納入業者への金銭回復措置で確約計画を認定した実績がある。事業者が策定した確約計画の認定要件などは今後詰める。また、返金にあたっては、電子マネー等の活用により円滑な返金を促す仕組みも検討する。
違反行為を繰り返す悪質事業者には、課徴金算定率の引き上げによる制裁強化で厳正に対処する方向で検討する。景表法は、あくまで表示是正が目的になる。このため、消費者契約の類型で違反行為を規定する特商法と連携。法人の業務停止や個人に対する業務禁止命令の活用により、消費者利益の回復にもつなげる。
執行体制の強化では、都道府県や特定適格消費者団体との連携も模索する。
景表法の規制対象の範囲の解釈をめぐる「供給主体性」の議論は、中長期的な検討課題として報告書に記載する方針。消費者を不利な決定に誘導する表記やサイト設計、僅少な在庫の強調など「ダークパターン」と呼ばれる行為も将来的な検討課題とする考え。
5月に行われた第3回会合で、中川丈久座長は、「少なくとも独禁法に追いつく必要がある」と言及していた。今会合の冒頭、若宮健嗣消費者担当大臣は、あいさつの中で「メリハリのある執行の実現」を要請。確約手続き導入による柔軟な行政措置、悪質業者への制裁強化を念頭に置いた発言とみられる。ステマへの対応、問題の整理も改めて要請した。
月1~2回のペースで検討する。7~9月にかけて、事業者団体や弁護士会など関係者からヒアリングを実施。10月以降、論点整理、報告書案の検討を進める。
今会合で委員から、確約手続き、課徴金算定基準の見直しに反対意見はなかった。確約手続きを導入した場合、命令相当の事案に適用しないよう、適切な運用を求める要望があった。消費者サイドの委員は、適格消費者団体に事業者への合理的根拠の要求権限の付与を求める意見があった。また、行政との連携では、処分に関する資料提供を求めた。