前号に引き続き、JR東日本商事の通販事業において、強みとする地産品販売の現状や、鉄道グループならではのリソースを活用した「駅」を舞台にした取り寄せ予約サービスの展開などについて、同社の笹川俊成取締役営業本部長に話を聞いた。
――得意とする地産品販売の状況について。
「我々ならではの商品の掘り起こし方であったり、商品紹介の仕方で差別化を図っている。今はコロナ禍の影響で駅での産直市といったイベントの開催が難しくなったため、これまで参加されていた地域の(生産者や地域商社といった)事業者さんの売り場が限られてしまってきたということがある。
しかし、ECではその問題が解決できるので、JR東日本にも事業者さんを紹介してもらい、地産品の売り場を作って特集を組んでいる。一例として『駅長オススメ!』シリーズでは、駅長が地域の名産品を紹介する形でお勧めコメントも添えているが、やはりここへのアクセスは非常に多い」
――鉄道グループならではのリアルを通じた取り組みは。
「新幹線を使った『列車荷物輸送』と連携した企画を増やしている。これまでも、朝に穫れた地域の生産品を運んできて、夕方からリアルの売り場で販売するという企画を行っていたが、(JR東日本が運営する仮想モールの『JRE MALL』内で展開する駅商業施設などでの商品受け取りサービスの)『ネットでエキナカ』に専門店を立ち上げて、事前にネットで予約することで、東京駅に輸送してきた商品を荷物預り所で受け取れるサービスを、今年の2月以降継続して行っている。
これまでに扱ったのが、朝穫れの生鮮品や朝絞りの日本酒など。非常に好評で、最近は賞味期限が短く、東京ではあまり流通しないような商材、また、冷凍せずに作り立てが美味しい食品なども扱っている」
――サービスの効果としては。
「このサービスのメリットとして、例えば実店舗で扱う場合は廃棄も考えなくてはいけないので売る側も(仕入れに)慎重になるが、事前予約であれば数量も決まっているので廃棄が起きず無駄も生まれない。このサービス自体、規模はまだ小さいが、定期的に購入している顧客もおり、新規獲得にもつながっている。
ただ、受け取れる場所がまだ一部に限られているため、新幹線で運んできてから次の場所に運ぶ二次物流や受け取り場所の拡大などが今後の課題になる」
――リアルとの連携には関心が高い。
「鉄道グッズも地産品もそれぞれリアルに直営店を持っている。その活動とECをどう融合させるかは、今の最大の検討課題。
当初はO2Oでの相互送客を意識して、店舗でECのチラシ、ECで店舗イベントの紹介などの活動をしていたが、思うように人が行き来しない実感があった。リアルとネットの壁が無くなって、消費者が自由に買い方を選べる時代になったことは事実だが、例えば店舗利用者はリアルの良さ、EC利用者はデジタルの使いやすさなどで選んでいる面もあるので、そこで違う媒体を紹介しても、すぐに利用するということにはつながらないという仮説もでてきた。
そのため、それぞれの販路において、売り場自体は目の前の顧客に向けて最適化するが、その上の段階で、例えばMD面においては、店舗で商品を知ってもらって、気に入ればECで継続購入してもらうなど、やり方を考えていくことはある。もちろん逆もあると思うが、今は色々な導線がある中で、顧客接点や売り場を全体で連携させながら構築するOMOのような取り組みを行うべきだと考えている」
――具体的には。
「一例として、当社で地産品を扱うリアルの直営店として『のもの』があるが、ネットではそれが『お取り寄せきっぷ』という売り場で地産品販売を行っている。これをすべて一緒にしてMDをやろうと考えている。店舗で初めて商品を知る人も多いので、例えば少容量で低単価の試しやすい商材をリアルで扱い、それを継続したり大容量で購入したいという顧客にはECで、ということもあるのでは。EC側はそれに対応した商品を扱って、その案内をしっかり行うなど、そうした流れを作りたい。
我々は(鉄道グループとして)リアルから参加しており、リアルの強みを持っているので今後もそこを活かしていく」(おわり)
――得意とする地産品販売の状況について。
「我々ならではの商品の掘り起こし方であったり、商品紹介の仕方で差別化を図っている。今はコロナ禍の影響で駅での産直市といったイベントの開催が難しくなったため、これまで参加されていた地域の(生産者や地域商社といった)事業者さんの売り場が限られてしまってきたということがある。
しかし、ECではその問題が解決できるので、JR東日本にも事業者さんを紹介してもらい、地産品の売り場を作って特集を組んでいる。一例として『駅長オススメ!』シリーズでは、駅長が地域の名産品を紹介する形でお勧めコメントも添えているが、やはりここへのアクセスは非常に多い」
――鉄道グループならではのリアルを通じた取り組みは。
「新幹線を使った『列車荷物輸送』と連携した企画を増やしている。これまでも、朝に穫れた地域の生産品を運んできて、夕方からリアルの売り場で販売するという企画を行っていたが、(JR東日本が運営する仮想モールの『JRE MALL』内で展開する駅商業施設などでの商品受け取りサービスの)『ネットでエキナカ』に専門店を立ち上げて、事前にネットで予約することで、東京駅に輸送してきた商品を荷物預り所で受け取れるサービスを、今年の2月以降継続して行っている。
これまでに扱ったのが、朝穫れの生鮮品や朝絞りの日本酒など。非常に好評で、最近は賞味期限が短く、東京ではあまり流通しないような商材、また、冷凍せずに作り立てが美味しい食品なども扱っている」
――サービスの効果としては。
「このサービスのメリットとして、例えば実店舗で扱う場合は廃棄も考えなくてはいけないので売る側も(仕入れに)慎重になるが、事前予約であれば数量も決まっているので廃棄が起きず無駄も生まれない。このサービス自体、規模はまだ小さいが、定期的に購入している顧客もおり、新規獲得にもつながっている。
ただ、受け取れる場所がまだ一部に限られているため、新幹線で運んできてから次の場所に運ぶ二次物流や受け取り場所の拡大などが今後の課題になる」
――リアルとの連携には関心が高い。
「鉄道グッズも地産品もそれぞれリアルに直営店を持っている。その活動とECをどう融合させるかは、今の最大の検討課題。
当初はO2Oでの相互送客を意識して、店舗でECのチラシ、ECで店舗イベントの紹介などの活動をしていたが、思うように人が行き来しない実感があった。リアルとネットの壁が無くなって、消費者が自由に買い方を選べる時代になったことは事実だが、例えば店舗利用者はリアルの良さ、EC利用者はデジタルの使いやすさなどで選んでいる面もあるので、そこで違う媒体を紹介しても、すぐに利用するということにはつながらないという仮説もでてきた。
そのため、それぞれの販路において、売り場自体は目の前の顧客に向けて最適化するが、その上の段階で、例えばMD面においては、店舗で商品を知ってもらって、気に入ればECで継続購入してもらうなど、やり方を考えていくことはある。もちろん逆もあると思うが、今は色々な導線がある中で、顧客接点や売り場を全体で連携させながら構築するOMOのような取り組みを行うべきだと考えている」
――具体的には。
「一例として、当社で地産品を扱うリアルの直営店として『のもの』があるが、ネットではそれが『お取り寄せきっぷ』という売り場で地産品販売を行っている。これをすべて一緒にしてMDをやろうと考えている。店舗で初めて商品を知る人も多いので、例えば少容量で低単価の試しやすい商材をリアルで扱い、それを継続したり大容量で購入したいという顧客にはECで、ということもあるのでは。EC側はそれに対応した商品を扱って、その案内をしっかり行うなど、そうした流れを作りたい。
我々は(鉄道グループとして)リアルから参加しており、リアルの強みを持っているので今後もそこを活かしていく」(おわり)