「ツールを導入しても”何をすべきか”が分からず、使いこなせずにただ高い費用を支払い続けているところがあまりに多い」。通販事業者向けCRMツール「アクションリンク」の開発者の中村隆嗣氏(
写真)は通販事業者が導入しているCRMツールの”実情”についてこう嘆く。
中村氏は海産物や果物を販売する有力EC事業者「北国からの贈り物」でマーケティング責任者として長らくネット販売事業に従事したのち、その豊富な知見を活かしてメーカーの直販ECや総合通販など様々な事業者のネット販売を支援、多くの企業のネット販売事業拡大のための戦略立案や実際の事業運営などのコンサルティング業務を行ってきた。コンサル業務の中でも特に中村氏が重視し、注力してきたのはリピーターの育成だ。「EC事業を拡大するにはリピーターの育成が欠かせない。コンサルティングを手掛けた企業でも、EC売上が伸びなかった理由としてリピーター対策ができていなかったことが原因だったところが多かった」からだ。「大手のメーカーなどでもEC事業に携わる人員は少なく、様々な業務と兼任で行っている場合が多い。当然、ネット販売に関する知見を持ち合わせない場合も多々ある」。手が足らず、知見もない中でどうしてもリピーター対策が不十分になっていることが多かったよう。
必然、中村氏がリピーター育成のための施策に関わることが増えた。それゆえ、クライアント企業が既存客にメールなどで効果的に販促できる”優れたCRMツール”を見極めるべく、「様々なCRMツールを使い倒してみた。分かったことは『理想的なCRMツールがない』ということ」。中村氏曰く、理想的なCRMツールとは「すべきことが、できるだけ簡単にできるもの」。ただ、世の中にあるCRMツールは「高機能なものほど運用がものすごく大変。ツールは入れるだけではだめで、どのターゲットにどんなタイミングでどういうメッセージを送るべきかなどのプランニングができなければ活用できない」が、前述通り、人手が足りず、知見を持った人員も少ない中では様々な機能を備えている高機能なCRMツールも結局のところ、単なるメール配信システムとしてのみ利用され、宝の持ち腐れとなる。一方安価なツールはできることが本当に限られてしまい、十分な効果は期待できない。
肌で感じた問題点を踏まえ、「ないのであれば作ってしまおう」と一念発起。”理想的な通販ECに特化したCRMツール”として中村氏が2018年に作り上げたのが「アクションリンク」だ。最大の特徴は、使用する企業側に人的リソースがなく、ノウハウや知識がなくとも「効果的な施策が誰でもすぐにできる」ということ。CRM施策はそれこそ無限にあるが、中にはあまり効果が感じられないものもある。中村氏が過去に数千回繰り返し実施した施策の中で全業種に共通して、最も売上拡大につながる効果的な施策をテンプレート化した”鉄板シナリオ”と呼ばれる勝ちパターンとして選ばれた施策を簡単に始めることができるためだ。
具体的には通販サイト内の買い物カゴに商品を入れながらも購入に至らなかった商品を自動抽出して当該顧客に訴求する「カゴ落ちフォロー」や商品詳細ページを閲覧した顧客に当該商品を訴求する「閲覧リターゲティング」、AIにより顧客ひとりひとりにおすすめ商品を推奨する「レコメンド配信」、誕生日当日の顧客にクーポン券などのインセンティブを付与しつつ、おすすめ商品を訴求する「バースデーフォロー」など現状、7つのシナリオだ。顧客に送付するメールやLINE、SMSの文面も最適なものをすでに設定。また、各シナリオで「1時間後」や「2日後」など最適な配信のタイミングもそれぞれで設定済みで、利用企業は通販サイトのカートと「アクションリンク」を連携させ、「管理画面上でスタートボタンを押すだけですぐに各施策を開始できる」という。
こうした施策は他のCRMツールでも実施できるが、まず様々な施策の中から効果の高い施策を選び出し、当該施策を行うために必要なデータを準備して、メールの文面を作り、効果的な配信のタイミングを考えるなどの開始までにすべきことが多く、なかなかスタートできないことが多いわけだ。
「アクションリンクは休眠顧客の掘り起こしや再入荷通知などなど他のCRMツールでできることはほぼできるが、まず”鉄板シナリオ”でCRM施策を開始してもらえればこれだけでも十分、効果は期待できる。その後、よりCRM施策に力を入れたい場合、様々な施策を試して頂ければ」とする。
実際、この「アクションリンク」の”鉄板シナリオ”の効果は高いようで、昨年3月から同ツールを導入したオフィス家具のネット販売を行うオフィスコムでは導入初月のメール経由の売上高が2・7倍と急伸。その後も毎月、倍以上のペースで売り上げを伸ばしている。また、「アクションリンク」導入前から顧客に一日2回、メルマガを送付するなどメールマーケティングに注力してきた企業などでも鉄板シナリオの適切なシナリオや文面、送付のタイミングなどが奏功して導入後、売上高は2割程度、伸長しているよう。
そうした確実な成果に加えて、初期費用は15万円から、月額費用は5万円からという競争力のある価格設定も奏功、費用は高いが使いにくい他のCRMツールから乗り換える企業も多く、「アクションリンク」は18年のローンチから着実に導入事業者数を伸ばしているようだ。
中村氏は19年7月から、通販に特化した広告代理業を手掛けるアドブレイブに参画。現在、執行役員として同社のもとで「アクションリンク」の展開を行っている。今後はさらなる使い勝手の改善のため、現在はベータ版で提供中の「アクションリンク」で展開する各施策の成果を分析して可視化できるBI機能を強化して「より簡単にわかりやすく成果を分析できるようにするため、改良していく」とし、今年中の正式ローンチを目指すほか、より「アクションリンク」を各通販企業が導入しやすくなるように通販システムやショッピングカートシステムとの連携を進めたり、申込から導入、施策開始までのリードタイムを短縮できるように改善していきたい考え。
「通販・EC各社にとって使いやすい理想のCRMツールを今後も追求していきたい。EC領域のCRMツールでシェアナンバーワンを目指したい」と意気込む。
※「アクションリンク」については詳しくはこちら
中村氏は海産物や果物を販売する有力EC事業者「北国からの贈り物」でマーケティング責任者として長らくネット販売事業に従事したのち、その豊富な知見を活かしてメーカーの直販ECや総合通販など様々な事業者のネット販売を支援、多くの企業のネット販売事業拡大のための戦略立案や実際の事業運営などのコンサルティング業務を行ってきた。コンサル業務の中でも特に中村氏が重視し、注力してきたのはリピーターの育成だ。「EC事業を拡大するにはリピーターの育成が欠かせない。コンサルティングを手掛けた企業でも、EC売上が伸びなかった理由としてリピーター対策ができていなかったことが原因だったところが多かった」からだ。「大手のメーカーなどでもEC事業に携わる人員は少なく、様々な業務と兼任で行っている場合が多い。当然、ネット販売に関する知見を持ち合わせない場合も多々ある」。手が足らず、知見もない中でどうしてもリピーター対策が不十分になっていることが多かったよう。
必然、中村氏がリピーター育成のための施策に関わることが増えた。それゆえ、クライアント企業が既存客にメールなどで効果的に販促できる”優れたCRMツール”を見極めるべく、「様々なCRMツールを使い倒してみた。分かったことは『理想的なCRMツールがない』ということ」。中村氏曰く、理想的なCRMツールとは「すべきことが、できるだけ簡単にできるもの」。ただ、世の中にあるCRMツールは「高機能なものほど運用がものすごく大変。ツールは入れるだけではだめで、どのターゲットにどんなタイミングでどういうメッセージを送るべきかなどのプランニングができなければ活用できない」が、前述通り、人手が足りず、知見を持った人員も少ない中では様々な機能を備えている高機能なCRMツールも結局のところ、単なるメール配信システムとしてのみ利用され、宝の持ち腐れとなる。一方安価なツールはできることが本当に限られてしまい、十分な効果は期待できない。
肌で感じた問題点を踏まえ、「ないのであれば作ってしまおう」と一念発起。”理想的な通販ECに特化したCRMツール”として中村氏が2018年に作り上げたのが「アクションリンク」だ。最大の特徴は、使用する企業側に人的リソースがなく、ノウハウや知識がなくとも「効果的な施策が誰でもすぐにできる」ということ。CRM施策はそれこそ無限にあるが、中にはあまり効果が感じられないものもある。中村氏が過去に数千回繰り返し実施した施策の中で全業種に共通して、最も売上拡大につながる効果的な施策をテンプレート化した”鉄板シナリオ”と呼ばれる勝ちパターンとして選ばれた施策を簡単に始めることができるためだ。
具体的には通販サイト内の買い物カゴに商品を入れながらも購入に至らなかった商品を自動抽出して当該顧客に訴求する「カゴ落ちフォロー」や商品詳細ページを閲覧した顧客に当該商品を訴求する「閲覧リターゲティング」、AIにより顧客ひとりひとりにおすすめ商品を推奨する「レコメンド配信」、誕生日当日の顧客にクーポン券などのインセンティブを付与しつつ、おすすめ商品を訴求する「バースデーフォロー」など現状、7つのシナリオだ。顧客に送付するメールやLINE、SMSの文面も最適なものをすでに設定。また、各シナリオで「1時間後」や「2日後」など最適な配信のタイミングもそれぞれで設定済みで、利用企業は通販サイトのカートと「アクションリンク」を連携させ、「管理画面上でスタートボタンを押すだけですぐに各施策を開始できる」という。
こうした施策は他のCRMツールでも実施できるが、まず様々な施策の中から効果の高い施策を選び出し、当該施策を行うために必要なデータを準備して、メールの文面を作り、効果的な配信のタイミングを考えるなどの開始までにすべきことが多く、なかなかスタートできないことが多いわけだ。
「アクションリンクは休眠顧客の掘り起こしや再入荷通知などなど他のCRMツールでできることはほぼできるが、まず”鉄板シナリオ”でCRM施策を開始してもらえればこれだけでも十分、効果は期待できる。その後、よりCRM施策に力を入れたい場合、様々な施策を試して頂ければ」とする。
実際、この「アクションリンク」の”鉄板シナリオ”の効果は高いようで、昨年3月から同ツールを導入したオフィス家具のネット販売を行うオフィスコムでは導入初月のメール経由の売上高が2・7倍と急伸。その後も毎月、倍以上のペースで売り上げを伸ばしている。また、「アクションリンク」導入前から顧客に一日2回、メルマガを送付するなどメールマーケティングに注力してきた企業などでも鉄板シナリオの適切なシナリオや文面、送付のタイミングなどが奏功して導入後、売上高は2割程度、伸長しているよう。
そうした確実な成果に加えて、初期費用は15万円から、月額費用は5万円からという競争力のある価格設定も奏功、費用は高いが使いにくい他のCRMツールから乗り換える企業も多く、「アクションリンク」は18年のローンチから着実に導入事業者数を伸ばしているようだ。
中村氏は19年7月から、通販に特化した広告代理業を手掛けるアドブレイブに参画。現在、執行役員として同社のもとで「アクションリンク」の展開を行っている。今後はさらなる使い勝手の改善のため、現在はベータ版で提供中の「アクションリンク」で展開する各施策の成果を分析して可視化できるBI機能を強化して「より簡単にわかりやすく成果を分析できるようにするため、改良していく」とし、今年中の正式ローンチを目指すほか、より「アクションリンク」を各通販企業が導入しやすくなるように通販システムやショッピングカートシステムとの連携を進めたり、申込から導入、施策開始までのリードタイムを短縮できるように改善していきたい考え。
「通販・EC各社にとって使いやすい理想のCRMツールを今後も追求していきたい。EC領域のCRMツールでシェアナンバーワンを目指したい」と意気込む。
※「アクションリンク」については詳しくはこちら