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医薬品通販規制訴訟 原告、規制の矛盾点追及 独自調査で店販の問題指摘、特例販売〝許可の範囲〟が焦点

2009年 9月10日 18:15

 61日の改正「薬事法」施行に伴い導入された医薬品通販の規制強化。スタートから3カ月が経過したが、ケンコーコム等が国を相手取って提起した行政訴訟などを通じ、規制の矛盾点や現場での混乱が浮き彫りになっている。91日に開かれた第2回口頭弁論後の会見でケンコーコム等の原告側は、独自の医薬品購入調査の結果を公表。日本薬剤師会幹部の運営薬局が新規客に医薬品通販を行っていたことを明らかにするとともに、特例販売業許可取得事業者が行う通販にも問題があるとの見方を示した。今後、法廷でも規制導入後の医薬品販売の実態を訴え、医薬品通販規制の矛盾を追及する考えのようだ。

 

規制推進派が規制を無視

 

 医薬品通販規制導入後の状況については、既にドラッグストア等店頭での情報提供が十分に行われていないなどの指摘が出ているが、ケンコーコムでは、裁判の情報収集の一環として医薬品通販に関する実態調査を実施。会見で、その結果を公表した。

 調査は、7月にネットを含む5店舗を対象に行ったもの。6月以降、新規顧客に第2類以上の医薬品通販が行えなくなっているが、広島県内の漢方薬局では、使用者の代理人がまず店頭で商品を購入した後、2度目の購入でやはり代理人が初回と同じ商品を電話注文し、郵送で商品を購入。「次回購入時に、初回の店頭購入で「次回以降は郵送で購入できる」店頭での初との説明があったという。

 同薬局は、日本薬剤師会幹部が運営していたが、他の日本薬剤師会会員の運営薬局でも、同様に郵便等での購入ができるケースがあったとし、ケンコームの後藤玄利社長は、「規制を推進してきた薬剤師会が堂々と法令を無視しているのは不条理」と指摘。今回の医薬品通販規制の問題点として法廷の場でも、追求していく構えだ。

 一方、日本薬剤師会では、ケンコーコムの調査結果公表を受け、91日付で都道府県薬剤師会会長向けに、改正「薬事法」の周知徹底を求める文書を発出。日本薬剤師会は、ネット販売では"対面の原則"が確保できないとして医薬品通販規制の導入を強力に推し進めてきただけに、今回の調査結果を重く見ているもようで、今後、徹底が不十分な場合には、「別の対応策を検討する」(広報担当)としている。

 

〝通販できる〟特例販売業で見解に相違

 

 原告側は医薬品通販への規制について、他の販売制度との均衡にも欠けるとの見方をしており、特に特例販売業許可を駆け込み的に取得した事業者が2類相当の医薬品通販を継続していることを問題視。今回の裁判で厚労省に見解を求めている。

 厚労省の回答は、特例販売業許可を取得した事業者が許可を受けた範囲を超えて郵便等販売のように広く医薬品販売を行う場合、同許可の範囲を超えるため、都道府県の判断に基づき、行政指導のほか、必要に応じて改善命令、業務停止等の対象になるというもの。

 これについて原告側では、特例販売業が近隣に薬局等がない過疎地の対応策としての意味合いが強く、新聞広告等を使った広範な通販は"許可の範囲"を超えるのではないかという見方だが、全国伝統薬連絡協議会では、会員企業が特例販売業許可を取得して通販を行っていることについて、「脱法行為ではない」(事務局)とする。

 特例販売業許可には、通常では入手しにくい医薬品の購入機会を確保するという目的があり、再春館製薬所も、この部分で熊本県から特例販売業許可を取得し医薬品通販を続けているという。このため、"許可の範囲"を超えて通販を行っているのではないというのが全国伝統薬連絡協議会の考え方だ。

 では、実際に行政指導等を行うかの判断をする都道府県の見方はどうか。熊本県では、求釈明の回答にある"許可の範囲"が不明瞭なことなどから、「厚労省から通達等が出ない限り、今のところ行政指導等を行うことは考えていない」(健康福祉部薬務衛生課)とする。

 やはり問題は、"許可の範囲"の解釈になるが、当の厚労省は「担当者が不在で回答できない」(医薬食品局総務課)状況。特例販売業の"許可の範囲"をどう解釈するかは、他の販売制度との不均衡を主張する原告側にとっても、焦点になりそうだ。

 今回の裁判では、厚労省が原告側の憲法論の弱さを指摘しているが、原告側は「いかなる憲法論に立っても(今回の医薬品通販を規制する改正省令は)違憲だと思っている」(関葉子弁護士)と主張。規制導入後の医薬品販売の問題点を浮き彫りにしながら、違憲性を訴えていく構えだ。

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