楽器の通販サイト「Chuya―online」を運営するプラグインでは、2年前から商品の発送に定形郵便と定形外郵便を活用している。全品送料無料施策を続けている同社だが、宅配便やヤマト運輸の「メール便」、日本郵便の「ゆうパケット」も値上がりしたのが導入のきっかけだ。10年前と比較すると50%ほど運賃が上がっている。「当社の場合、ギターの弦やピックのように、封筒に入る商品が多いので試してみようということになった。事故率も少なく、結果としては、コスト増を抑えてサービスレベルを維持するために役立っている」(高尾社長=
写真)
10年前と比較すると50%ほど運賃が上がっている。商品価格については「基本的には維持している。楽器の場合、アマゾンというプライスリーダーがいるので、採算が合うなら価格で対抗し、合わない商品はアマゾンより高くして販売している」(高尾社長)。アマゾンの場合、売れる商品を中心に扱っているため、同社では「ロングテール」にあたる部分を重視。高尾社長は「売れ筋が20%、ロングテールが80%を言われるが、昔と違い今のアマゾンは売れ筋を重視している。当社は『1年に1度しか売れない』というような商品も揃えるようにしている」と話す。
仮想モールのロイヤリティーとカード手数料は計9%として計算しているが、昨年の消費増税前は10%としていた。商品価格を据え置いたため、いったんは8%に設定していたが現在は9%に。いずれは10%に戻すという。全体の売れ行きや顧客数をみながら徐々に上げていくイメージという。
この合計値は自社サイトと仮想モールに出店する全店舗を踏まえた概算値で、「9%ならお釣りが来るだろう」という(同)という計算で設定している。高尾社長は「10%に戻しても全体の粗利率を28%に戻せば余裕を持った経営ができる。現在は1%ほど下回っているので上げていきたい」という。将来的には粗利率を30%まで高めることで、運賃値上げや仮想モールのロイヤリティー値上げなどに対処したい考えだ。今夏には自社サイトの刷新を予定しており、自社サイトの売り上げ比率を高めることで経費に占めるロイヤリティーの割合を下げる。
「楽天市場」が打ち出した「3980円以上の購入で全店の送料を無料する施策(送料無料ライン)」が大きな波紋を呼んだ。特に「商品価格を送料に上乗せしにくい店舗」からの反発は強かった。高尾社長は「当社は型番商品を扱っているので、全店舗に当てはまるわけではないが」と前置きしながら、「『送料無料ライン』への対応が難しいという店は、月次データを見て『売り上げと運賃がこれだけだからできない』と考えているのではないか。当社の場合、ミニマムから積み上げていく。つまり『この商品を送料無料で利益を出すにはどうすればいいか』というところから始めて、最終的に全体で送料無料ができるようにしていく。できそうな商品を突破口にして、単品を積み上げていけば光が見えてくると思う」と助言する。
2020年3月期の売上高は約20億円。新型コロナウイルス感染拡大による”巣ごもり需要”を受けて、4月売上高は前年同月比40%増、5月売上高は同50%増だった。新型コロナの影響で実店舗が休業していたこともあり、楽譜などが良く売れたという。「4月末に物流がパンク寸前となり、在庫のない取り寄せ品を買えないようにするなど、受注を絞らざるを得なかった」(高尾社長)。新規客が目立ち、全体の80%近くを占めていた。
物流倉庫は本社と同じく北九州市に構えている。今後は、来期にも物流を一部外注化することで顧客へのリードタイムを短くしたい考えだ。物流代行サービスとしてアマゾンの「フルフィルメント by Amazon」や楽天の「楽天スーパーロジスティクス」などの活用を検討しているが、「通常時は問題ないが、出荷が急増したときに対応できなくなる、ということがあると困るので、そうなったときに自社で振替発送できるような仕組みを考えたい」(高尾社長)という。
さらには国内で流通している楽器やパーツ類を全て展開する通販サイトを目指す。メーカーと協力し合うことで「紙のカタログには載っているがウェブでは扱っていない商品」なども販売できるようにしていく。(
おわり)
10年前と比較すると50%ほど運賃が上がっている。商品価格については「基本的には維持している。楽器の場合、アマゾンというプライスリーダーがいるので、採算が合うなら価格で対抗し、合わない商品はアマゾンより高くして販売している」(高尾社長)。アマゾンの場合、売れる商品を中心に扱っているため、同社では「ロングテール」にあたる部分を重視。高尾社長は「売れ筋が20%、ロングテールが80%を言われるが、昔と違い今のアマゾンは売れ筋を重視している。当社は『1年に1度しか売れない』というような商品も揃えるようにしている」と話す。
仮想モールのロイヤリティーとカード手数料は計9%として計算しているが、昨年の消費増税前は10%としていた。商品価格を据え置いたため、いったんは8%に設定していたが現在は9%に。いずれは10%に戻すという。全体の売れ行きや顧客数をみながら徐々に上げていくイメージという。
この合計値は自社サイトと仮想モールに出店する全店舗を踏まえた概算値で、「9%ならお釣りが来るだろう」という(同)という計算で設定している。高尾社長は「10%に戻しても全体の粗利率を28%に戻せば余裕を持った経営ができる。現在は1%ほど下回っているので上げていきたい」という。将来的には粗利率を30%まで高めることで、運賃値上げや仮想モールのロイヤリティー値上げなどに対処したい考えだ。今夏には自社サイトの刷新を予定しており、自社サイトの売り上げ比率を高めることで経費に占めるロイヤリティーの割合を下げる。
「楽天市場」が打ち出した「3980円以上の購入で全店の送料を無料する施策(送料無料ライン)」が大きな波紋を呼んだ。特に「商品価格を送料に上乗せしにくい店舗」からの反発は強かった。高尾社長は「当社は型番商品を扱っているので、全店舗に当てはまるわけではないが」と前置きしながら、「『送料無料ライン』への対応が難しいという店は、月次データを見て『売り上げと運賃がこれだけだからできない』と考えているのではないか。当社の場合、ミニマムから積み上げていく。つまり『この商品を送料無料で利益を出すにはどうすればいいか』というところから始めて、最終的に全体で送料無料ができるようにしていく。できそうな商品を突破口にして、単品を積み上げていけば光が見えてくると思う」と助言する。
2020年3月期の売上高は約20億円。新型コロナウイルス感染拡大による”巣ごもり需要”を受けて、4月売上高は前年同月比40%増、5月売上高は同50%増だった。新型コロナの影響で実店舗が休業していたこともあり、楽譜などが良く売れたという。「4月末に物流がパンク寸前となり、在庫のない取り寄せ品を買えないようにするなど、受注を絞らざるを得なかった」(高尾社長)。新規客が目立ち、全体の80%近くを占めていた。
物流倉庫は本社と同じく北九州市に構えている。今後は、来期にも物流を一部外注化することで顧客へのリードタイムを短くしたい考えだ。物流代行サービスとしてアマゾンの「フルフィルメント by Amazon」や楽天の「楽天スーパーロジスティクス」などの活用を検討しているが、「通常時は問題ないが、出荷が急増したときに対応できなくなる、ということがあると困るので、そうなったときに自社で振替発送できるような仕組みを考えたい」(高尾社長)という。
さらには国内で流通している楽器やパーツ類を全て展開する通販サイトを目指す。メーカーと協力し合うことで「紙のカタログには載っているがウェブでは扱っていない商品」なども販売できるようにしていく。(おわり)