前々号、前号に続き、今後の事業戦略などについて、鶴見知久社長(=
写真)に聞いた。
◇
――今後のM&A戦略は。
「引き続き積極的に進めていく方針だ。ただ、これまでは”事業の塊”を作るための会社を傘下に入れてきたが。一通り事業セグメントが固まったので、今後は各セグメントの機能を強化するような会社をターゲットにしたい。典型的なのは、2018年にスクロール360が買収した、もしもだ。ウェブ広告代理業やドロップシッピング事業など、ソリューション周辺の多様な機能を持った会社だが、傘下に加えたことで、ソリューション事業全体が厚みを増している」
――消費動向など、今下期の見通しは。
「かなり厳しくなると予想している。緊急事態宣言が解除されたことによる『リベンジ消費』は一時的には起きる可能性はあるが、コロナ禍前には届かないだろうし、3月からの落ち込みはカバーできないと思う。特にアパレルは春夏ものの在庫処分に各社苦労しており、秋冬ものも発注遅れや発注減が起きている。供給側としても良い状態ではないので、今年いっぱいは厳しいだろう」
――今期業績予想に関して、コロナ禍をどの程度盛り込んでいるのか。
「
業績予想は緊急事態宣言や世界情勢を踏まえたものだ。当社はアジアに生産拠点を構えており、供給に関する不安もあり、営業減益を見込んでいる。多くの会社が今期の業績予想を出さない中であえて出したわけだが、何か動きがあれば、当然計画を修正する可能性はある」
「アパレルやアウトドア用品、ブランド品、化粧品、旅行など厳しいジャンルもあるが、雑貨やインナーウエア、インテリア、家具などは比較的好調だ。ただ、通販ということで販売機会が減少しているわけではないので、店舗ほどの影響はない」
――2021年3月期~23年3月期の3カ年計画を公表した。23年3月期の連結業績は、売上高が850億円、営業利益は26億円、経常利益は27億円、当期純利益は20億円を計画している。
「以前は大胆な事業成長の絵を描いており、21年3月期に売上高1000億円を目指していた。自然災害や消費税増税などは計画に盛り込んではいたものの、国内マーケットが予想以上に回復しなかった。もちろん、計画通りに進捗してしない事業もある。今後は年度ごとに目標を見直していくようにしたため、より直近の情勢を盛り込んだ形で将来が見通せるようになり、『アズイズ・トゥービー(現状と目指すべき姿)』が明確になったと思う。売上高1000億円を目指すという方針に変わりはないが、到達までの速度を現実的に見積もった」
――「アフターコロナ」に向けて。
「『新しい生活様式』と言われているように、私も完全にコロナ禍以前に戻るとは思っていない。ただ、どう変わるかというのは現時点では予測し得ないので、当社としては消費行動の変化をウオッチしながら対応していくということにつきる」
「例えば、テレワークは今後も定着すると思う。なぜなら、メリットがあるということが皆分かったから。一方、現状はネット販売が好調というが、利便性自体は以前から皆が感じており、コロナ禍において『ネット販売ってこんなに便利なんだ』とは、世間で騒がれているほどはならないと思う。もちろん、EC化率は高まっていくだろうが、消費行動が完全にネット販売に傾くということはないのでは。こうした点も踏まえて、消費者の行動様式の変化が見えてきたときにしっかりと対応していきたい」
――4月1日付で、鶴見氏が代表取締役社長となり、堀田守会長との代表取締役2人体制となった。
「全体的な方向性に変化はない。堀田会長はグループ全般に関わる戦略や意思決定を行い、私は既存事業の業務執行とそれに関わる意思決定を行う」(おわり)
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――今後のM&A戦略は。
「引き続き積極的に進めていく方針だ。ただ、これまでは”事業の塊”を作るための会社を傘下に入れてきたが。一通り事業セグメントが固まったので、今後は各セグメントの機能を強化するような会社をターゲットにしたい。典型的なのは、2018年にスクロール360が買収した、もしもだ。ウェブ広告代理業やドロップシッピング事業など、ソリューション周辺の多様な機能を持った会社だが、傘下に加えたことで、ソリューション事業全体が厚みを増している」
――消費動向など、今下期の見通しは。
「かなり厳しくなると予想している。緊急事態宣言が解除されたことによる『リベンジ消費』は一時的には起きる可能性はあるが、コロナ禍前には届かないだろうし、3月からの落ち込みはカバーできないと思う。特にアパレルは春夏ものの在庫処分に各社苦労しており、秋冬ものも発注遅れや発注減が起きている。供給側としても良い状態ではないので、今年いっぱいは厳しいだろう」
――今期業績予想に関して、コロナ禍をどの程度盛り込んでいるのか。
「業績予想は緊急事態宣言や世界情勢を踏まえたものだ。当社はアジアに生産拠点を構えており、供給に関する不安もあり、営業減益を見込んでいる。多くの会社が今期の業績予想を出さない中であえて出したわけだが、何か動きがあれば、当然計画を修正する可能性はある」
「アパレルやアウトドア用品、ブランド品、化粧品、旅行など厳しいジャンルもあるが、雑貨やインナーウエア、インテリア、家具などは比較的好調だ。ただ、通販ということで販売機会が減少しているわけではないので、店舗ほどの影響はない」
――2021年3月期~23年3月期の3カ年計画を公表した。23年3月期の連結業績は、売上高が850億円、営業利益は26億円、経常利益は27億円、当期純利益は20億円を計画している。
「以前は大胆な事業成長の絵を描いており、21年3月期に売上高1000億円を目指していた。自然災害や消費税増税などは計画に盛り込んではいたものの、国内マーケットが予想以上に回復しなかった。もちろん、計画通りに進捗してしない事業もある。今後は年度ごとに目標を見直していくようにしたため、より直近の情勢を盛り込んだ形で将来が見通せるようになり、『アズイズ・トゥービー(現状と目指すべき姿)』が明確になったと思う。売上高1000億円を目指すという方針に変わりはないが、到達までの速度を現実的に見積もった」
――「アフターコロナ」に向けて。
「『新しい生活様式』と言われているように、私も完全にコロナ禍以前に戻るとは思っていない。ただ、どう変わるかというのは現時点では予測し得ないので、当社としては消費行動の変化をウオッチしながら対応していくということにつきる」
「例えば、テレワークは今後も定着すると思う。なぜなら、メリットがあるということが皆分かったから。一方、現状はネット販売が好調というが、利便性自体は以前から皆が感じており、コロナ禍において『ネット販売ってこんなに便利なんだ』とは、世間で騒がれているほどはならないと思う。もちろん、EC化率は高まっていくだろうが、消費行動が完全にネット販売に傾くということはないのでは。こうした点も踏まえて、消費者の行動様式の変化が見えてきたときにしっかりと対応していきたい」
――4月1日付で、鶴見氏が代表取締役社長となり、堀田守会長との代表取締役2人体制となった。
「全体的な方向性に変化はない。堀田会長はグループ全般に関わる戦略や意思決定を行い、私は既存事業の業務執行とそれに関わる意思決定を行う」(おわり)