「マウジー」や「スライ」などレディース衣料を中心に展開するバロックジャパンリミテッドは、オムニチャネル戦略やニューリテール構想を進める上で両輪のひとつとなる自社ECの強化に継続投資する。
ウェブ上の新客開拓はデジタル広告がメインだが、SNSについてはマーケティングチームがとくに力を注いでいる。自社通販サイト「シェルターウェブストア」(
画像)にはコーディネート投稿の業務用ツール「スタッフスタート」を導入。販売スタッフが自分のコーデ画像を自社ECの人気コンテンツ「スタッフスナップ」に投稿しやすく、投稿した画像経由の個人売り上げも管理できるようにした。
コーデ投稿はスタッフ自身のSNSアカウントと連携しており、SNSのフォロワーを自社ECに誘導する窓口としての役割も担っている。
バロックジャパンには各ブランドに”ビジュアルスタッフ”というブランドを体現するスタッフがいる。SNSで投稿する内容も、ユーザーが憧れるようなものを目指してマーケティングチームと話し合いながらブランディングにつなげており、例えば、主力ブランド「マウジー」では主婦の販売スタッフが閲覧数のランキング上位にきている。
一方で、コーデ投稿数を増やすこともコンテンツ充実化の観点から大事なほか、ウェブ上であればリアル店舗の商圏を越えて商品提案ができることから、「スタッフスナップ」を通じて大都市圏以外でも人気スタッフを育成したい意向だ。
既存顧客の定着化施策としては、今上期(3~8月)にマーケティングオートメーション(MA)のシステムを整備し、9~10月頃からMAを活用したマーケティングをスタート。メールと通販サイト上でのポップアップ画面表示などウェブ接客の使い方を中心に始めている。
MA導入前はページごとに各ブランドの企画を打ち出すなど訪問者全員を対象にポップアップ画面を表示していた。打ち出したい企画を表示する施策は継続しつつも、MA導入後は滞在時間が長かったり、ページ閲覧数が多いユーザーなどに対し、インセンティブを付与して購入につなげる施策などに取り組んでいる。メールでは”鉄板”施策のカゴ落ちメールなどのシナリオを設定し、成果が出始めているようだ。
下期については、引き続きMA活用でデジタルマーケティングの精度を高めるのに加え、MD面の強化にも乗り出す。
同社では、各ブランドの品ぞろえで足りていない商材、ウェブ上で必要なアイテムを「EC独自で開発し、在庫を持って販売する」(田村英紀営業統括本部EC事業部ゼネラルマネージャー)という。トレンドに左右されにくいバッグなどのファッション雑貨ではECで売れ続けているアイテムもあり、在庫リスクを考慮しながらECチャネルにマッチした商品を展開していく。
EC売上高は5年後倍増へ
同社は今期(2020年2月期)から24年2月期までの新中期経営計画において、5年後のEC化率を足もとの13%程度から20%に引き上げる目標を掲げている。5年後の国内全社売り上げの目標値が約800億円のため、EC売上高は前期実績(約85億円)のほぼ倍となる160億円規模に拡大する必要があり、自社ECの強化に加え、外部モール活用も在庫連携をベースに推進する。
また、中計ではニューリテール施策に着手。自社ECと実店舗にさまざまなデジタルツールを導入し、各種データを収集・分析、活用しやすくしてEC化と店舗運営の効率化および利便性の向上に努めるという。
店頭のデジタル活用は中国が先進国だが、バロックジャパンも中国には約250店舗を出店している。同国ではリアルイベントにも積極的なタオバオの力が強く、バロックジャパンのEC販路は「Tモール」だけだが、「タオバオとの信頼関係を深めることで、さまざまなデータを得ることができる」(玉木壮執行役員経営企画室長IRディレクター)とし、同モール内での存在感を高めていく考え。
なお、バロックジャパンはタオバオとの連携強化やECプロパー商材の充実、KOL活用のプロモーションなどにより、中国でのEC売上高は今上期に前年同期比77・7%伸長し、EC比率も5・3%から9・3%に拡大した。(
おわり)
ウェブ上の新客開拓はデジタル広告がメインだが、SNSについてはマーケティングチームがとくに力を注いでいる。自社通販サイト「シェルターウェブストア」(画像)にはコーディネート投稿の業務用ツール「スタッフスタート」を導入。販売スタッフが自分のコーデ画像を自社ECの人気コンテンツ「スタッフスナップ」に投稿しやすく、投稿した画像経由の個人売り上げも管理できるようにした。
コーデ投稿はスタッフ自身のSNSアカウントと連携しており、SNSのフォロワーを自社ECに誘導する窓口としての役割も担っている。
バロックジャパンには各ブランドに”ビジュアルスタッフ”というブランドを体現するスタッフがいる。SNSで投稿する内容も、ユーザーが憧れるようなものを目指してマーケティングチームと話し合いながらブランディングにつなげており、例えば、主力ブランド「マウジー」では主婦の販売スタッフが閲覧数のランキング上位にきている。
一方で、コーデ投稿数を増やすこともコンテンツ充実化の観点から大事なほか、ウェブ上であればリアル店舗の商圏を越えて商品提案ができることから、「スタッフスナップ」を通じて大都市圏以外でも人気スタッフを育成したい意向だ。
既存顧客の定着化施策としては、今上期(3~8月)にマーケティングオートメーション(MA)のシステムを整備し、9~10月頃からMAを活用したマーケティングをスタート。メールと通販サイト上でのポップアップ画面表示などウェブ接客の使い方を中心に始めている。
MA導入前はページごとに各ブランドの企画を打ち出すなど訪問者全員を対象にポップアップ画面を表示していた。打ち出したい企画を表示する施策は継続しつつも、MA導入後は滞在時間が長かったり、ページ閲覧数が多いユーザーなどに対し、インセンティブを付与して購入につなげる施策などに取り組んでいる。メールでは”鉄板”施策のカゴ落ちメールなどのシナリオを設定し、成果が出始めているようだ。
下期については、引き続きMA活用でデジタルマーケティングの精度を高めるのに加え、MD面の強化にも乗り出す。
同社では、各ブランドの品ぞろえで足りていない商材、ウェブ上で必要なアイテムを「EC独自で開発し、在庫を持って販売する」(田村英紀営業統括本部EC事業部ゼネラルマネージャー)という。トレンドに左右されにくいバッグなどのファッション雑貨ではECで売れ続けているアイテムもあり、在庫リスクを考慮しながらECチャネルにマッチした商品を展開していく。
EC売上高は5年後倍増へ
同社は今期(2020年2月期)から24年2月期までの新中期経営計画において、5年後のEC化率を足もとの13%程度から20%に引き上げる目標を掲げている。5年後の国内全社売り上げの目標値が約800億円のため、EC売上高は前期実績(約85億円)のほぼ倍となる160億円規模に拡大する必要があり、自社ECの強化に加え、外部モール活用も在庫連携をベースに推進する。
また、中計ではニューリテール施策に着手。自社ECと実店舗にさまざまなデジタルツールを導入し、各種データを収集・分析、活用しやすくしてEC化と店舗運営の効率化および利便性の向上に努めるという。
店頭のデジタル活用は中国が先進国だが、バロックジャパンも中国には約250店舗を出店している。同国ではリアルイベントにも積極的なタオバオの力が強く、バロックジャパンのEC販路は「Tモール」だけだが、「タオバオとの信頼関係を深めることで、さまざまなデータを得ることができる」(玉木壮執行役員経営企画室長IRディレクター)とし、同モール内での存在感を高めていく考え。
なお、バロックジャパンはタオバオとの連携強化やECプロパー商材の充実、KOL活用のプロモーションなどにより、中国でのEC売上高は今上期に前年同期比77・7%伸長し、EC比率も5・3%から9・3%に拡大した。(おわり)