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【ベルーナの安野清社長に聞く①】 「用紙値上げで出鼻くじかれた」、原点回帰で頒布会強化へ

2019年 7月 4日 13:15

 ベルーナでは、2020年3月期から22年3月期まで3カ年の経営計画(第4次経営計画)を発表した。専門通販事業や店舗事業の拡大を見込んでおり、最終年度の売上高は2200億円(19年3月期は1776億円)、営業利益は200億円(同120億円)を計画している。一方で、主力の総合通販事業は運賃や印刷用紙値上げの影響を受け、大きな成長は見込めないとしている。安野清社長に今後の方針などを聞いた。
 
 ――19年3月期は総合通販事業が減収減益となるなど苦戦した。

 「運賃値上げでカタログ発行部数を減少せざるを得なかったのが減収の原因だ。カタログにもよるが、5~10%減らしている。カタログを送付する顧客の”目利き”はマーケティング本部が行っているわけだが、媒体費が上がっているので、送り先の合格水準は必然的に高くなり、発行部数が減るわけだ。また、利益面では媒体費の増加をリカバリーできなかった」

 ――今期は印刷用紙の値上げが直撃する。

 「売り上げは伸ばしたいと思っているが、今期も減収減益となる予算を組んでいる。各媒体でレスポンスを上げるための努力はしているが、カバーしきれない分が減収となる」

 ――カタログを送付する必要がないネットについては。

 「客単価の減少が響いた。送料無料となる注文額のラインを撤廃したことで、これまで2品買ってくれていたユーザーが1品しか買ってくれなくなった。ネットのユーザーは送料に関してシビアな反応をした。どれだけ売り上げに響いたのか、厳密に算定できているわけではないが、影響が出たのは間違いない」

 ――総合通販事業は4月が前年同月比微増収、5月は同減収となった。

 「想定していたよりも良くない数字だ。消費の動向は厳しい」

 ――今後のカタログ販売拡大策として「紙の復活」を掲げているが、具体的には。

 「4月に30%程度の印刷用紙値上げがあり、出鼻をくじかれた。もちろん、あきらめたわけではないが、媒体費の枠があるので、それを取り払ってまでカタログやチラシを発行することはできない。当然、増やすことは難しくなる。紙の復活を掲げて、製紙・印刷業界のためにも頑張らなければいけないと思っていたのだが」

 ――商品政策では「ベルーナらしい商品」を開発する方針も示している。

 「当社のルーツは頒布会なので、原点回帰ということで力を入れたい。ニーズはあると思う。またカタログでも『らしさ』を打ち出していく。単に売れればいいということではなく、どこに『らしさ』があるかを考えたい。らしさを作ることでファンを増やす」

 ――頒布会の商材は。

 「今ある商品を頒布会形式にして販売していく。他社との差別化にもなるだろう。頒布会が流行したのは昭和50年代なので、当時を覚えている人にはニーズがあるのではないか。また、最近はサブスクリプションがブームなので、時流にも合っていると思う」

 「かつては手芸や陶器なども扱っていたが、こうした商材も検討したい。特に陶器は100円ショップで買うか、高級品を買うかの2択になっているので、ホームセットにニーズがあるのではないか」

 ――若年層向け事業では、前期途中にカタログを「リュリュ」から「ジーラ」へと刷新した。

 「カタログに関しては以前よりも効率が良くなったが、ネット販売が良くない。そのため、売上高は前期比23%減の50億5000万円となった。ただ、路線変更については成功だと思っているので、ブラッシュアップしていきたい」

 ――ジーラのネットが不振だった理由は。

 「通販サイトで他社商品を扱っていることなどで、内部での競争が激しくなっている。通販サイトの取扱高自体は伸びているのだが、リュリュやジーラブランドの商品は売り上げを落としている。サイト全体の拡大ピッチを上げる必要があり、20~30代向けのファッションECモールとして『リュリュモール』を立ち上げた」(つづく)


 
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