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クリアの「SAKE100」 24年熟成の日本酒を販売、沢の鶴とコラボ、倒壊酒蔵の酒母を活用

2019年 6月 6日 13:15

 日本酒スタートアップのClear(クリア)は5月23日、プレミアム日本酒ブランド「SAKE100(サケハンドレッド)」の第4弾商品として、24年間熟成したヴィンテージ日本酒の「現外(げんがい)」(画像=500ミリリットル、税込15万円)を100本限定で自社通販サイトを通じて販売開始した。

 同商品は、24年前の阪神淡路大震災で倒壊した沢の鶴の酒蔵で奇跡的に残ったタンクの中にあった酒母を絞った日本酒だ。一般的な日本酒作りは酒母を作った後、水と蒸気、麹を加えて発酵を進める醪(もろみ)作りの工程に移るが、醸造設備の被災で当該工程に進めず、酒母の状態から清酒にした。一般的な工程を経ず、酒母の状態で搾られた酒は当時、不均衡な甘味と酸味を有していたが、24年の熟成を経て誰もが予想しなかった甘味と酸味、苦味、旨味が複雑に絡み合った絶妙な味わいに変化したという。

 「現外」は極めて特殊な商品特性を持ち、二度と同じものを再現できないため数量限定でシリアルナンバーも付与する。

 「現外」の製造元は300年以上の歴史を持つ沢の鶴で、ヴィンテージ日本酒のポテンシャルを認識して40年以上も研究・開発を続けている。今回の酒母を搾った日本酒は酸味が強かったが、この5年間くらいで味が変化してきたという。商品化は考えていなかったようだが、日本酒のウェブメディア「SAKETIMES(サケタイムズ)」も運営するクリアの生駒龍史CEOが試飲し、味はもちろん、生産背景も含めてストーリーがあることからタッグを組み、「サケハンドレッド」を通じて限定販売することになった。

 「サケハンドレッド」ではこれまでも、フラッグシップ商品で高難易度の加工技術、精米歩合18%が生み出した日本酒「百光(びゃっこう)」や、耕作放棄地の田んぼを開墾して育てた米から作った「深豊(しんほう)」、デザート日本酒の「天彩(あまいろ)」を商品化している。

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 日本酒のD2Cコマースを手がけるクリアの生駒CEO(顔写真)に差別化策などを聞いた。

 ――日本酒とECの相性は。

 「日本酒は他の酒類と同様に重量があって種類も豊富で、ネットチャネルとの相性はいい。一方で、ワインよりも日本酒のEC市場が活況でないのは、業界のしがらみの部分が大きい。メーカーと問屋、小売りのチームワークができあがっているためメーカーが直接売るのは基本的にはマナー違反で、直販したくてもできない状況が長く続いている。小売りの酒屋も飲食店に流すことがほとんどで、そうした必要性と業界特有の事情でブレークスルーできていなかったが、当社のようなスタートアップ企業であればイノベーションを起こせる」

 ――生産設備を持たない、いわゆるファブレスの日本酒ベンチャーが増えてきている。

 「多くの日本酒ベンチャーが2000円~3000円くらいの日本酒を扱っているのに対し、当社では数万円するプレミアム日本酒を開発し、既存の市場ではなく未知の市場、ラグジュアリーマーケットを開拓している。日本酒をブランドビジネスととらえ、『サケハンドレッド』という共通ブランドのもとで、独自の日本酒を販売している」

 ――新商品「現外」はヴィンテージ日本酒だが、熟成という新たな価値が加わった。

 「『現外』は常温熟成だが、バーボン樽で寝かせたり、氷温熟成があったりと日本酒のヴィンテージといってもさまざまな手法があり、当社としても熟成をキーワードに新しい楽しみ方のできる日本酒を企画・開発していきたい」

 ――海外市場も見据えている。

 「世界が日本酒の価値に気づき始めている中、当社のようなファブレスの小売りでも、倉庫はパートナー企業と組むことで輸出しすい環境が整いつつある。香港や上海、ニューヨークなどを攻めていきたい。『サケハンドレッド』いうブランドを信頼して買ってもらえるようにするためにも、ギフト需要が見込める高単価な日本酒を開発し、生産背景など情報面の付加価値も提供していく」

 
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