【トウ・キユーピの大野晋太郎社長に聞く 今後の成長戦略】 ブランドステートメント策定、「提供価値」明確化で美容に特化
2019年 5月30日 13:15
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――キユーピーグループの中で通販事業の位置づけは。
「伸びしろがあるのは海外と通販。これからの市場で可能性も感じている。一方で、通販は、グループ全体の売り上げに占める割合はわずかでもある。そうなると、やはり展開する意義が必要になる。グループではヒアルロン酸原料も扱うが、これまでは美容成分の一要素として30、60ミリグラムなど自由に配合されてきた。ただ、機能性表示食品制度を機に、表示が行える120ミリグラムの配合が定着しつつあり、原料の販売も伸びている。通販を軸に”ヒアルロン酸のナンバー1メーカー”として認知が得られれば、グループのブランド価値の向上につながる」
――前期(2018年11月期)の実績は。
「前年比15%増の約23億円。計画通りの着地だった。このうち、主力の機能性表示食品『ヒアロモイスチャー240』が14億円ほどを占める」
――今期の計画は。
「24億円の売り上げを計画している。21年をめどに30億円の売上高を目指したい」
――今後の成長戦略は。
「通販事業は、これまでどういった提供価値を与えるか不明確な面があった。事業の軸がないためにサイト、商品も統一感に欠けていた。それでは持続的な成長は望めない。就任に際し、『ていねいに、美しく、生きる。』というブランドステートメントを策定したが、今後はその理念に基づき販売戦略を展開していく」
――ステートメントの意味は。
「キユーピーは、1日350グラムの野菜の摂取を啓発し、これをサポートする商品を提供している。(サプリメント)は、それでも足りない栄養素を補う役割があると考えている。グループの保有する技術、素材を使い、(顧客に)価値を感じてもらいたいという思いがある。その中でしっかりとしたエビデンスを持てていることは強み。これを丁寧に伝え、健康維持してもらいつつ『ヒアロモイスチャー240』のような商品を通じて美しくなってもらいたいという思いを込めている。ターゲット層も女性に絞り展開していく」
――具体的に何が変わる。
「これまで商品体系、サイトや会報誌など顧客コミュニケーションの接点に置いて、提供価値と矛盾が生じている部分があった。例えば、会報誌は、参入当初にひざ関節対応の商品が主力だったこともあり、ウォーキング関連の企画を組むなどしていた。軌道修正を図りながら、投資対象を見極めていく。ステートメントにそぐわない商品の改廃、また、美容カテゴリの商品充実も図る」