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ポスト投函のメール便問題①、水面下で続くにらみ合い、JPが依頼主負担の返還案

2010年 6月13日 21:36

宅配便業者は反発

 「日本郵便(郵便事業会社)で扱う次のもののみ投かんしてください」。最近、こんなステッカーが貼られた郵便ポストを見かけるようになった。このステッカー、転居や受取拒否などで受取人に届けられず、郵便ポストに投函される宅配便事業者等のメール便の扱いに苦慮した郵便事業会社(JP)が5月中にポストに貼付したものだ。郵便ポストに投函されるメール便の問題は、以前から指摘されていたもの。ようやく郵便事業会社が未然防止策を講じたわけだが、実は当初、JPはポストに投函されたメール便を受取人払いで通販事業者等の荷送人に送り返すとメール便を扱う宅配便事業者に通知していた。現状、JP側でも受取人払いの返送は見直しているが、宅配便事業者とJPの間で1年越しのにらみ合いが続いている。
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受取人払いで依頼主に返す

 そもそもの発端は、JPが昨年5月下旬、ヤマト運輸や佐川急便などメール便を扱う主要7社に対して、1通の通知を行ったことにある。その内容は、ポストに投函されるメール便の数が年々増加しており、処理負担が大きいため、一律に荷送人(発送元)の受取人払いで返送するというものだ。
 
誤ってポストに投函されたメール便は、全国の集配支店から約70カ所ある統括支店に搬送され、メール便事業者が定期的に回収するというのが基本的なパターン。メール便事業者の連絡先が不明瞭な場合には、発送元に連絡して返送するなどの処理を行っている。JPによると、平成18年度に行った調査で誤ってポストに投函されたメール便の数は約30万冊。その後も「毎年1、2割のペースで増えており、処理負担が大きくなっている」(JP事業統括本部郵便事業部・外薗博文課長)という。

 また、統括支店では、メール便事業者ごとの区分棚を設けてポストに投函されたメール便を管理しているが、「すぐ隣に郵便物の仕分け棚もあり、誤ってメール便の区分棚に郵便物が混入する事故も起きていた」(同)ことから個人情報に関わる大量のメール便を統括支店に集めるのはやめ、集配支店等の段階で対処すべきと判断。そのためには統一的なオペレーションが必要になることから、一律に発送元の受取人払いで返送するという通知を出したわけだ。

許容範囲を超える通販事業者の負担


 だが、ここで問題なのは、JPが誰を発送元と見ているかだ。通販事業者でも、カタログやDMの送付に宅配便事業者等のメール便を使っているが、印刷会社などに発送業務を委託しているケースが少なくない。つまり、実際にメール便の差し出しを行っているのは委託先の業者になる。

 ところがJPが捉える発送元は、通販事業者など大もとの発送業務の依頼主なのだ。大手の場合、
複数の委託先を使っているケースもあり、JPとしては返送作業を簡素化する狙いから、大もとの依頼主に的を絞ったようなのだが、通販事業者からすればたまったものではない。ポストに投函されるメール便の絶対数は少ないにせよ、コスト負担が大きいためだ。

 JPの試算では依頼主のコスト負担額は、「ゆうメール」の料金と受取人払い手数料を合わせて「一通当たり200円程度」(同)。通販事業者等の依頼主の許容範囲を超えるものであることは明らかだろう。

事業者が抗議国交省も動く

 一方、突然の通知を受けた7社はJPに抗議したが、JP側は「会社のルール」(宅配便関係者)として取り合わず、宅配便事業者の団体である東京路線トラック協会でも抗議をしても、「門前払い」(東京路線トラック協会・松永正大常務理事)だったという。

 宅配便事業者側がJPの通知に抗議した理由は、もともとはポストにメール便を投函する人の問題であり、まずポストに投函されないような措置を講じるべき、通販事業者等の依頼主にメール便を返送された通販事業者等の依頼主のコスト・作業負担が大きいなど多岐にわたる。だが、宅配便事業者等が最も問題視していたのは、メール便は宅配便と同じ貨物の扱いで、JPの通知の内容が関連法令に違反することが明らかなことだ。

 このため、宅配便事業者側は、所管官庁の国土交通省に相談。国交省の仲立ちにより、協議の場が設けられることになったが、昨年6月の初会合では、JP、宅配便事業者側双方の意見が対立。その後、両者が協議の席についたのは1度だけで、双方が検討した対応策を国交省に報告するといった状況が今日まで続いている。

 この間、宅配便事業者側は、ポスト投函の未然防止策として、メール便に貼付するラベルの文言の見直しを決定。JPも今年に入り、無料で依頼主にメール便を返送する案を出しているが、依然、問題をはらんでおり、宅配便事業者側の理解が得られていない状況だ。
      (つづく)



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