ヤマトグループの大型総合物流ターミナル「中部ゲートウェイ(GW)」(愛知県豊田市)が10月1日に稼働する。最新鋭のマテハン機器を導入し24時間・365日の"止めない物流"を可能にしている。宅急便の仕分けを1時間当たり4万1250個処理する同GWの仕分けシステム、仕分け方法を見る。
中部GWは6階建て。このうち3階までが宅急便などの仕分けエリアとなっている。1階、中2階、2階が通常の宅急便、3階がクール室でクール宅急便に対応する(4階より上層階は付加価値機能エリア)。
宅急便の仕分けは従来、発・着を別々に処理していたが(それぞれ時間を分けて処理)、中部GWでは両者を同時に仕分けることが可能だ。1階ではバースから到着した荷物がロールボックスに積まれたたまま下ろされる。このロールボックスは1個当たり600キログラムもの重量があり、仕分けエリアへの移動も重作業となる。そこで中部GWでは「前詰め搬送機」を設置し、仕分けエリアへ効率良く移動できるようにしている。ロールボックス5個をどんどん前方へ自動で押していく同搬送機を7列分用意し、数多くのロールボックスの前詰め作業を安全に行える体制にしている。
1階でロールボックスから取り出した各荷物は、中2階、2階へと上がりながら、配達地区ごとに仕分けられていく。この際の仕分けで重要な設備となるのが、荷物を載せて移動する「クロスソーターベルト」。このクロスソーターベルトは全長770メートルあり、1時間で4万1250個を処理することができる。この処理数は従来の施設の2倍という。
クロスソーターベルトに載せられた荷物は他の荷物との合流などを経て配達地区ごとに仕分けるが、各合流地点にはスキャナーを設置(写真㊤)。このスキャナーは荷物に貼付されているバーコードを瞬時に読み取ることができる。荷物の上部、前面、側面(2面)の計4面を読み取り、読取精度を向上している。
また仮にバーコードがスキャンできなかった場合、届け先を記載した6桁のコード、郵便場号、住所の順に文字認識し、届け先を特定。これでも認識できない場合、「キーヤー室」という総合管理を行うところへ伝票のスキャンデータを転送し、手動で届け先を入力する。従来はラインごとにこの作業を行う人員を配置していたが、中部GWは自動化による一元管理で作業効率を上げている。
合流地点のスキャナーを通過した荷物は配達地区ごとに仕分ける。従来はバーで荷物を押し出して振り分けていたが、クロスソーターベルトの採用によりベルト(荷物を載せた1枚の板状のもの)が横にスライドすることで振り分けることができる。これにより荷物への衝撃を抑えることができ、破損事故を大幅に削減することができるという。荷物1個を載せた1枚のベルト(板状のもの)は合流直前にスピード調整し空いているスペースへ自動で移動して合流する。
そして引き続きクロスソーターベルトに載った荷物は、各階(1~5階)への移動を可能にしているスパイラルコンベア(写真㊦)へ送られる。このコンベアにより、以前であれば仕分けエリアと異なるフロアで作業した荷物をエレベーターで人手により積み替えていた作業が不要。人が荷物にふれる回数を減らすことで、誤仕分けや破損率を低減できるようにしている。また上層階の4階と5階の付加化価値機能エリアへと直結することで、製品組み立てなども24時間かどうの仕分けとともにネットワークすることになり、リードタイムの短縮などが図れる体制だ。
3階のクール室は、荷物投入口が冷蔵、冷凍で各2ラインずつ計4ラインあり、仕分けた荷物が出て来るシューターは20ライン。1~2階と同様にクロスソーターベルトにより誤仕分け、破損を抑制できるようになっている。