前回に続き、ベルーナの安野清社長に前期の振り返りや今後の方針などを聞いた。
◇
──ネット販売を強化する中で、特にカタログを経由しない、ネット完結の受注が増加している。
「
カタログと重複しないネットからの新規客、つまり『真水』をどれだけ取れたかを重視している。カタログで重複する形で売り上げを伸ばせばいいという考えはない。もちろん、結果的に重複してシナジー効果が生まれれば良いのだが、そうなればラッキーということだ。また、在庫リスクを取らずに売り上げを最大化することも徹底している。この2つを守ることができればネット完結で売り上げが伸ばせて、かつ赤字が出ることはないはずだ」
──在庫をあまり持たずにどうやって売り上げを伸ばすのか。
「
売り上げ予測の精度を高めることが必要だ。当社の場合、約2カ月分しか在庫を持たずに回転させており、業界で最も在庫効率の良い会社といえる。ただ以前、品番数を大量に増やし、在庫回転率が悪化して在庫金額が膨らんだ時期があった。その際、在庫を少なくして筋肉質化するという経営判断をした。今はいたずらに品番数を増やし、在庫も増やすという手法は取らないようにしている。昨年度の総合通販事業の売り上げはほぼ横ばいだったが、品番数はかなり減らしており、1品番あたりの売り上げ効率は改善している」
──ネット販売の場合は、カタログと違ってテストマーケティングもやりにくい。
「
当然、注文はあっても商品がなくて売れないなど、ロスは相当ある。そこはどう予測レベルを上げていくかだ。ネット専用商材の場合、小ロットでスピーディーに開発できる。在庫処分についても、カタログであれば掲載してから1年間待って処分しなければならないが、ネットの場合は1週間の初動が悪ければすぐ値下げに踏み切れる。全体の原価率がコントロールしやすいわけだ。ネットは品番数を増やしても媒体費が変動しないので、どうしても品番を増やしたくなるが、在庫リスクがとんでもないことになる。在庫で儲かっても意味がないので、そこのコントロールは意識している。ただ売り上げを増やせば良いのではなく、在庫を残さず中身のある売り上げを作らなければいけない。もちろん売り上げロスが発生することもあるが、そこは入れ込んだ上で事業を進めている。いきなり100点は無理なので、50点を60点に、60点を65点にと少しずつレベルアップしていくことが大事だ」
──ネット専用商品の売り上げ比率は。
「
ネット売り上げのうちまだ5%程度だが、20%まで伸ばしたい。ここが伸びしろだと思っている。1アクセスあたりの売り上げでいうと、ネット専用はカタログ兼用の商品より多い。カタログと違ってトレンドを織り込めるので、旬な商品が短期間で開発できる。仮にその旬が短い場合でも、ネットは在庫さえ残さなければ1カ月でペイできるので、小ロット調達がキーになる」
──通販サイトの購入率(コンバージョン率=CVR)も向上している。
「
今期もCVRは上がると思っている。昨年度注力したのは、サイトの設計を良くすること。具体的には加重の改善。つまり、強い商品をよりページの目立つ場所に配置することだ。もう一つは使い勝手向上。そうすると、どの商品が売れているのかがはっきりするので、売れている商品に対しての集客の導線も強くした。昨年度は集客数は減った中で売り上げが伸びている。つまり、CVRが良くなり、媒体比率は下がったわけだ。今後もサイト改善を進める予定で、必然的にCVRは前期比で改善するだろう」 (つづく、
①はこちら)
──ネット販売を強化する中で、特にカタログを経由しない、ネット完結の受注が増加している。
「カタログと重複しないネットからの新規客、つまり『真水』をどれだけ取れたかを重視している。カタログで重複する形で売り上げを伸ばせばいいという考えはない。もちろん、結果的に重複してシナジー効果が生まれれば良いのだが、そうなればラッキーということだ。また、在庫リスクを取らずに売り上げを最大化することも徹底している。この2つを守ることができればネット完結で売り上げが伸ばせて、かつ赤字が出ることはないはずだ」
──在庫をあまり持たずにどうやって売り上げを伸ばすのか。
「売り上げ予測の精度を高めることが必要だ。当社の場合、約2カ月分しか在庫を持たずに回転させており、業界で最も在庫効率の良い会社といえる。ただ以前、品番数を大量に増やし、在庫回転率が悪化して在庫金額が膨らんだ時期があった。その際、在庫を少なくして筋肉質化するという経営判断をした。今はいたずらに品番数を増やし、在庫も増やすという手法は取らないようにしている。昨年度の総合通販事業の売り上げはほぼ横ばいだったが、品番数はかなり減らしており、1品番あたりの売り上げ効率は改善している」
──ネット販売の場合は、カタログと違ってテストマーケティングもやりにくい。
「当然、注文はあっても商品がなくて売れないなど、ロスは相当ある。そこはどう予測レベルを上げていくかだ。ネット専用商材の場合、小ロットでスピーディーに開発できる。在庫処分についても、カタログであれば掲載してから1年間待って処分しなければならないが、ネットの場合は1週間の初動が悪ければすぐ値下げに踏み切れる。全体の原価率がコントロールしやすいわけだ。ネットは品番数を増やしても媒体費が変動しないので、どうしても品番を増やしたくなるが、在庫リスクがとんでもないことになる。在庫で儲かっても意味がないので、そこのコントロールは意識している。ただ売り上げを増やせば良いのではなく、在庫を残さず中身のある売り上げを作らなければいけない。もちろん売り上げロスが発生することもあるが、そこは入れ込んだ上で事業を進めている。いきなり100点は無理なので、50点を60点に、60点を65点にと少しずつレベルアップしていくことが大事だ」
──ネット専用商品の売り上げ比率は。
「ネット売り上げのうちまだ5%程度だが、20%まで伸ばしたい。ここが伸びしろだと思っている。1アクセスあたりの売り上げでいうと、ネット専用はカタログ兼用の商品より多い。カタログと違ってトレンドを織り込めるので、旬な商品が短期間で開発できる。仮にその旬が短い場合でも、ネットは在庫さえ残さなければ1カ月でペイできるので、小ロット調達がキーになる」
──通販サイトの購入率(コンバージョン率=CVR)も向上している。
「今期もCVRは上がると思っている。昨年度注力したのは、サイトの設計を良くすること。具体的には加重の改善。つまり、強い商品をよりページの目立つ場所に配置することだ。もう一つは使い勝手向上。そうすると、どの商品が売れているのかがはっきりするので、売れている商品に対しての集客の導線も強くした。昨年度は集客数は減った中で売り上げが伸びている。つまり、CVRが良くなり、媒体比率は下がったわけだ。今後もサイト改善を進める予定で、必然的にCVRは前期比で改善するだろう」 (つづく、①はこちら)