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田中順一WEB営業部長に聞く「アダストリアのEC成長戦略」㊦

2016年 6月30日 10:15

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前号に引き続き、アダストリアの田中順一WEB営業部長にECの成長戦略などについて聞いた。

 ウェブの海外販路については。

 「すでに一部で始まっているが、今期からの新3カ年計画では自社ECでの進出や現地ECモールへの出店も含めて本気で取り組む。年内に中国の『Tモール』に出店する準備をしている。ECは中国の方が進んでいるが、日本で取り組んできた当社の得意な部分として、例えば商品画像などは提供し、現地任せにはせずに二人三脚で取り組む。中国でリアル店舗を展開するブランドはすべてウェブ上にも売り場を構えることで、EC売り上げだけでなく海外事業全体の拡大につなげていきたい」

 440万人を超えた会員へのサービス提供のあり方は。

 「今年3月から『ドットエスティ・ユー』というパーソナライズメールのサービスを始めた。会員がカートに入れたままにしている商品や、お気に入り登録した商品の在庫が少なくなったとき、値下げしたときなどにメールで知らせる。4月からは『ドットエスティ・ユー』と『LINEビジネスコネクト』を連動させ、『ドットエスティ・ユー』のLINE公式アカウントのトーク画面を通じてリアルタイムでのコミュニケーションが図れるようになった。機会ロスも軽減でき、自社EC売り上げの底上げにつながっている」

 ビジネスコネクトとの連動状況は。

 「現時点で会員IDとLINEアカウントを連携している顧客は会員全体の10%程度だが、日々、連携数は増えている」

 次のフェーズは。

 「いま、メールやLINEでおススメするスタイリングや商品の精度を高めるためのアルゴリズムを開発していて、これが完成すれば、より各会員の好みに合った情報が送れるようになる。Aという商品の在庫が少なくなったタイミングでメールなどを自動配信するときに、『ちなみにBという商品はいかがですか』とレコメンドするBの提案精度も高めたい」

 会員数が伸びているが、「ドットエスティ」として心がけるのは。

 「自社ECで販売する各ブランドをしっかり育てるという考え方は変えないが、『ドットエスティ』のスケールメリットを生かす戦略についても考えていく。主役はあくまでブランドで、『ドットエスティ』はプラットフォーム基盤という立ち位置だ。その基盤にどういう武器を持たせれば各ブランドがさらに生きるかを考えていく。マルチブランドを持ち、リアル店舗がある強みを生かした会員メリットをさらに作り込む。その上で、すべてのサービスの見直しを図りたい」

 新しい集客モデルの構築については。

 「従来型の広告投下によるアプローチではなく、会員増に伴うCRMデータを蓄積し分析することで、自社のSNSなどを有効活用して導線を強化したり、他社との協業体制による集客なども考えられる。また、『ドットエスティ』は静的だが、ウェブのインタラクティブ化の流れもあり、もっとエモーショナルなサイト、衝動買いをしたくなるサイトに進化させたい。さらなる成長に向けてはこれまでとは違う視点が必要で、そういう意味ではタッグを組む企業も変わってくるだろう」

 他社ECモールの位置づけや役割は。

 「他社ECモールへの商品供給はこれまでに選択と集中を実施し、いまはほとんど『ゾゾタウン』で展開している。自社ECと他社モールでは顧客層も違うし、モールはメディアと位置付けて活用する。『ゾゾタウン』のランキング上位に自社ブランドのアイテムが掲載されれば宣伝にもなるため、モールでは売る商品を明確にし、縦に積んで売っていく」

 今後のEC成長率については。

 「新3カ年の計画としては19年2月期にEC売上高300億円以上を掲げているが、常に30%以上の成長を目標に取り組んでいる」 (おわり)

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