前号に引き続き、「ファッションテックサミット#001」のイベントから、アパレルの代表として登壇したベイクルーズの村田昭彦取締役(=
画像中央)が語ったデジタル活用とEC戦略を抜粋して紹介する。
ベイクルーズのEC売上高は2015年8月期の164億円に対し、16年8月期は215億円を見込んでいる。前期はEC売上高の40%が自社EC、モールが60%で、今期は自社ECが50%に迫り、来期以降は逆転する見通しという。
同社の場合、実店舗とECを併用する顧客は、店舗だけ利用する顧客に比べ年間購入金額が約2倍となることから併用客の拡充に努めている。また、2ブランド以上を購入している顧客は1ブランドだけ利用する顧客よりも年間購入金額が2・7倍と大きく、組織の壁を越えて複数ブランドを提案する環境を作る必要があるとする。
戦略目標の1つは、より良い顧客体験を作ること。その評価指標としてアクティブ顧客数と、満足度を測るNPS(ネットプロモータースコア)を重視するが、オンラインを通じたサービスに対する顧客の期待値が年々高まっており、NPSを伸ばすのは大変という。
戦略目標の2つ目は自社ECのプラットフォーム化で、顧客接点の観点からも自社ECは一番重要なチャネルになるとする。顧客とブランドをつなぐハブとしてだけでなく、DMP(データマネジメントプラットフォーム)を使ったマーケティングや、店とECの在庫を統合して在庫コントロールの最適化を図る機能もECに加わるという。
オムニチャネル施策では会員と在庫、サービス、コミュニケーションの4つの統合を進める。会員統合については従来、店舗と通販の会員情報は別々のデータベースで管理していたが、IDを統合しシングルビューが実現できる環境を1年がかりで整えた。在庫の統合は買い物機会の最大化を図るために行うもので、多品種小ロットや商品の短サイクル化が進むアパレル業界特有の課題に対し、店舗とネットの在庫を統合し、どのチャネルからでも商品を引き当てられる環境を作ることで機会損失を防いだり、消化スピードを上げる。
すでに、オンラインの在庫は一元化したほか、試験運用の段階ではあるものの、店舗在庫も統合しており、自社ECで欠品している場合は店舗の在庫から引き当てる仕組みを首都圏の店舗を対象に始めたところで、最後の1点まですべてのチャネルで販売できる環境を整えていく。
現状では倉庫が分散しているため、すべての在庫を共有化できていないが、倉庫を含めた在庫データの一元化を今秋にも完了する計画という。
サービスの統合については、ネットと店舗や、ブランドごとに異なっていた会員サービスを統合したところで、今後は、リアルとネットで異なるイベントやキャンペーンなども共通化するのに加え、今秋をメドに自社通販サイトで店舗取り置きサービスを始める。
コミュニケーションについては、個客単位での最適化は難易度が高いものの、DMPを活用してメールのパーソナライズ化に着手しており、EC売上高に占めるメール経由売り上げは着手前の20%から30%以上に拡大したという。
オムニ化推進の課題は組織の問題に加え、消費者の可処分時間の獲得にあるとする。オンライン上の顧客接点が拡大できなければ、リアルとシームレスなサービスが提供できても効果は薄いため、とくにスマホでの顧客接点を作ることが大事という。隙間時間が価値を生んできているのと同時に、スマホ内の寡占化も進展。スマホ利用の7~8割がアプリのため、残り2~3割のウェブ閲覧だけを狙うのは得策ではなく、ネイティブアプリを含めて価値のあるサービスを提供していく必要があるとした。
なお、同社の村田取締役はその後のパネルディスカッションにも参加し、デジタル活用を前提とした成長戦略の必要性などに触れた。
ベイクルーズのEC売上高は2015年8月期の164億円に対し、16年8月期は215億円を見込んでいる。前期はEC売上高の40%が自社EC、モールが60%で、今期は自社ECが50%に迫り、来期以降は逆転する見通しという。
同社の場合、実店舗とECを併用する顧客は、店舗だけ利用する顧客に比べ年間購入金額が約2倍となることから併用客の拡充に努めている。また、2ブランド以上を購入している顧客は1ブランドだけ利用する顧客よりも年間購入金額が2・7倍と大きく、組織の壁を越えて複数ブランドを提案する環境を作る必要があるとする。
戦略目標の1つは、より良い顧客体験を作ること。その評価指標としてアクティブ顧客数と、満足度を測るNPS(ネットプロモータースコア)を重視するが、オンラインを通じたサービスに対する顧客の期待値が年々高まっており、NPSを伸ばすのは大変という。
戦略目標の2つ目は自社ECのプラットフォーム化で、顧客接点の観点からも自社ECは一番重要なチャネルになるとする。顧客とブランドをつなぐハブとしてだけでなく、DMP(データマネジメントプラットフォーム)を使ったマーケティングや、店とECの在庫を統合して在庫コントロールの最適化を図る機能もECに加わるという。
オムニチャネル施策では会員と在庫、サービス、コミュニケーションの4つの統合を進める。会員統合については従来、店舗と通販の会員情報は別々のデータベースで管理していたが、IDを統合しシングルビューが実現できる環境を1年がかりで整えた。在庫の統合は買い物機会の最大化を図るために行うもので、多品種小ロットや商品の短サイクル化が進むアパレル業界特有の課題に対し、店舗とネットの在庫を統合し、どのチャネルからでも商品を引き当てられる環境を作ることで機会損失を防いだり、消化スピードを上げる。
すでに、オンラインの在庫は一元化したほか、試験運用の段階ではあるものの、店舗在庫も統合しており、自社ECで欠品している場合は店舗の在庫から引き当てる仕組みを首都圏の店舗を対象に始めたところで、最後の1点まですべてのチャネルで販売できる環境を整えていく。
現状では倉庫が分散しているため、すべての在庫を共有化できていないが、倉庫を含めた在庫データの一元化を今秋にも完了する計画という。
サービスの統合については、ネットと店舗や、ブランドごとに異なっていた会員サービスを統合したところで、今後は、リアルとネットで異なるイベントやキャンペーンなども共通化するのに加え、今秋をメドに自社通販サイトで店舗取り置きサービスを始める。
コミュニケーションについては、個客単位での最適化は難易度が高いものの、DMPを活用してメールのパーソナライズ化に着手しており、EC売上高に占めるメール経由売り上げは着手前の20%から30%以上に拡大したという。
オムニ化推進の課題は組織の問題に加え、消費者の可処分時間の獲得にあるとする。オンライン上の顧客接点が拡大できなければ、リアルとシームレスなサービスが提供できても効果は薄いため、とくにスマホでの顧客接点を作ることが大事という。隙間時間が価値を生んできているのと同時に、スマホ内の寡占化も進展。スマホ利用の7~8割がアプリのため、残り2~3割のウェブ閲覧だけを狙うのは得策ではなく、ネイティブアプリを含めて価値のあるサービスを提供していく必要があるとした。
なお、同社の村田取締役はその後のパネルディスカッションにも参加し、デジタル活用を前提とした成長戦略の必要性などに触れた。