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ブックオフオンライン・堀内康隆社長に聞く、ブックオフのネット戦略㊤ 「アマゾンに匹敵する規模へ」

2015年 7月 2日 09:58

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ブックオフコーポレーションの子会社でネット販売を手掛けるブックオフオンライン(BOO)が売上高100億円を視野に事業を拡大する。中古書籍の品揃え拡充を進めるほか、取扱商材を増やすことで、2020年3月期の売上高は16年3月期の2倍以上となる100億円に到達する見込みだ。4月1日付でBOOの社長に就任した堀内康隆氏(ブックオフコーポレーション取締役執行役員)に今後の戦略を聞いた。


 ──中古書籍の市場をどうみるか。

 「ダウントレンドにあると言われているが、私はそこまで需要が減っているとは思っていない。ユーザーの手元に残っている本がまだまだ多く、それをわれわれのビジネスの中に取り込めていないがために、機会を損失しているのではないか。いかに売ってもらえるかが重要になってくる」

 「ネットの中古書籍に関しては、品揃えを充実させればまだまだ伸びる余地がある。在庫がゼロだったりすぐに回転してしまったりする商品は多数あるので、品揃えを圧倒的にすることが必要だ。ただ、仕入れ強化に加えて、露出も工夫しなければいけないだろう。在庫を増やすだけではいずれ伸びは鈍化するので、関連する商品などをまとめて買ってもらうことも考えなければならない」

 ──BOOでは店舗との在庫連携も進めている。

 「店と連携しながら、アマゾンに匹敵する1000万冊という規模感を目指したい。インターネット買い取りサービス『宅本便』だけではなく、店舗で一定期間陳列しても売れなかった高単価商品については、物流センターに集め、BOOの在庫としていく」

 「これまで宅本便で買い取った本はBOOと店舗でシェアしていたが、今後店舗では家電などの取り扱いが増える。これは、ハードオフコーポレーションとのフランチャイズチェーン契約が3月末で切れたことによるもので、店舗での書籍販売スペースが少し狭くなる。都市部の大型店は買い取る書籍の数が少ないので、宅本便買い取りの本を回していたわけだが、こうした店で在庫が不足した場合でも、周辺の店舗からの融通で賄えるようになるだろう。つまり、宅本便で買い取った本をネットですべて売れる状態になるわけだ」

 ──店舗でも単価の高い書籍については単品管理を進めている。

 「以前は半額と税別100円という2種類の値付けしかなかったが、商品の状態に応じて値付けをしている。物流費をかけても収益につながる商品については、一定期間店で陳列し、売れなかったら物流センターに集めるというオペレーションとなる。この際、ネットでの販売価格は下げる場合もあるが、必ずというわけではない。店で売れないというのは、その商圏ではニーズがなかったというだけなので、同じ価格でもネットで出したら売れる可能性もある」

 ──値付けについてはすべての本でこうした仕組みを採用するのか。

 「いわゆるハードカバーの本のみだ。全商品で値付けを変えることもできるが、単価が高い商品の方が効果はあることが分かった。直営店だけではなく、フランチャイズ店でも一部でこの仕組みを導入している」

 ──全店舗の在庫状況をネットから確認できるような仕組みを導入する計画は。

 「今のところは考えていない。メンテナンスするためのオペレーションコストが必要で、100円の本も含めて『どの店にどのタイトルが何冊あるか』を管理しようとすると、常時棚卸しをしなければならない。その結果、販売価格が上がったとしたら本末転倒だろう。ネットでユーザーに安く本を提供するには、いったん物流センターに商品を集めたほうが良い」

 ──値付けの変更により、ブックオフなどで買ってアマゾンマーケットプレイスやヤフオク!で転売する、「せどり」ビジネスを営む個人の来店は減っているのか。

 「確実に減っている。例年、正月に開催するセールはせどりの人たちであふれていたが、今年は少なかった。これまでは、せどりの人たちが購入することで、本を読みたい人のチャンスをロスしていた。本を読む人は継続しての購入が期待できるので、真の意味でリピーターとなってくれるだろうし、読み終わった本を売りにきてくれるかもしれない。以前は、店舗で売れずに値下げした商品をせどりの人たちが買い、ネットで売るという形で、需給のマッチングをしてくれていたのは事実。ただ、ブックオフ自身がネットに注力する以上、せどりの人たちに商品を販売するというのは違うのではないか」
(つづく)
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