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世界文化社が創刊したデジタルマガジンは「J―Style(ジェイ・スタイル)」(画像)。
台湾の消費者にスマートフォンとタブレットで利用できる無料アプリをダウンロードしてもらい、同マガジンで気になるアイテムがあれば台湾版通販サイトに遷移して購入してもらう。
新事業は世界文化社の通販事業本部が担い、コンテンツ制作や商品セレクトなどを手がける。一方のSBTはコンテンツの電子書籍化や決済システム、バックオフィス、現地調査を担い、越境ECを実現するプラットフォームを構築した。
創刊号では、あこや真珠や蒔絵を使ったジュエリー、富士山を描いた有田焼の小皿、漆器に加え、台湾でもっとも消費が盛り上がるという中秋の名月に合わせた江戸切子、金箔を使用したテーブルランナーなど合計20商品を販売し、中心価格帯は5万~10万円程度。
マガジンでは、例えば月見の商材を提案する際、日本での月見の楽しみ方から解説するなど海外の消費者が読むことを意識して日本文化を紹介。編集力という出版社の通販の強みを前面に出して、読み物を充実させた。
また、江戸切子の制作工程を1~2分の動画で配信するなど、デジタル版ならではの仕掛けで職人の技を紹介する。
商品は9月1日のオープン以降、毎週木曜日に数アイテムずつアップし、計20商品を10月15日(45日サイクル)まで販売。売れ行きがいい商品は継続して販売する。
新規事業を始めるのに当たっては、4月に先行して台湾家庭画報のフェイスブックページを開設して集客を図ったところ、9月までに目標の倍以上となる4万4000人のファンを獲得。定期的に日本文化や家庭画報通販の商品を紹介するなどしてきた。今後は、富裕層の会員組織を持つ現地企業と組んでイベントを開催するなどして、40~60代を中心に通販の顧客化につなげる。
創刊号の商品調達先は「家庭画報」の通販で取り引き実績のある企業だが、商品はさまざまな日本文化を広く、深く伝えることを目的に選定しており、今後は台湾での販売を検討している新規取引先も開拓する。
将来的には、旅をテーマにした観光情報の提供に加え、社内の他部門と連携して日本文化を体験できるツアーやイベントの開催なども検討する。
近年、和食の無形文化遺産登録や東京五輪の開催決定などで外国人の日本への関心が高まっており、今年1~6月の台湾からの訪日旅行者数は140万人弱(前年同期比35・1%増)と国・地域別で最多ということもあり、同社では越境ECの事業化を決定。台湾向け通販を足がかりに、親日国への水平展開も視野にあるという。