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イーグルリテイリング 実店舗周辺での販促強化で若年層を開拓

2014年 6月26日 16:19

 イーグルリテイリングは、昨年7月に米国のカジュアルブランド「アメリカンイーグル アウトフィッターズ(AEO)」の日本版通販サイトを開設して約1年が経過し、実店舗を含めた新規顧客の開拓が進展している。今期は、若者層や女性客の取り込みを強化し、リアル店舗の出店が相次ぐ中でもEC化率10%を維持したい考えだ。

 同社は、米社とフランチャイズ契約を結んでAEOのリアル店舗および通販サイトを運営しており、本国以外で通販サイトを展開するのは世界でも日本だけだ。

031.jpg この1年で、日本版通販サイトを開設する以前から米国サイトを利用していた男性客の囲い込みに成功したこともあり、主婦や学生も多く来店する実店舗と比べ、通販顧客は20代が少なく、30~40代男性が多いのが特徴だ。

 同社では実店舗を持つ強みを生かし、店頭での購入者に通販サイトで使えるクーポンを配布する取り組みも実施。2回目の買い物は通販チャネルを選択肢に入れてもらうための施策だが、とくに都内の表参道店やお台場ダイバーシティ東京プラザ店は観光客が多いことから、当該店舗で買い物をした消費者が地元に戻ったときに通販サイトも利用してもらうことを期待しており、実際に少しずつ成果が出てきているという。

 ウェブ上での集客策については一般的な広告手法に加え、SNSも活用する。今年前半はリアルの場への新規出店が多かったため、出店エリアの大学生などとタッグを組んで、AEO実店舗周辺のシティガイド「AEOODEKAKE MAP(オデカケマップ)」を通販サイトのコンテンツとして展開。店舗出店エリアにあるカフェやレストラン、公園などのお薦めスポットを大学生が取材し、記事を投稿してもらうことで消費者との一体感を出しているようだ(画像)。

 6月中旬時点で横浜と新潟、兵庫県の西宮と甲子園の4つの「AEOオデカケマップ」を制作し、通販サイトに掲載している。

 そもそも、AEOのコアターゲットは20歳前後の若い男女ということもあり、同社では大学生へのアプローチを継続する考えで、大学の新聞に広告を出稿する一方、学生側には新入生に配るサークル情報誌などをAEOの袋に入れてもらい、ブランドの認知度向上につなげる取り組みも実施している。

 同社では現状、通販サイトだけでなく、実店舗も含めて認知度を高める施策を重視しており、出店エリア周辺ではオフラインとオンラインをミックスしたアプローチを続ける。

 一方で、AEOのグローバルキャッチコピーは"アメリカ人の一番お気に入りのジーンズブランド"で、コア商材はジーンズだ。ただ、デニムを1本目からネットで購入してもらうのはハードルが高いため、「実店舗をうまく活用してEC売り上げも高めていくことがマーケティング施策として大事」(松原健太郎ECゼネラルマネージャー)としている。

 今年に入って、すでに実店舗ではジーンズにフォーカス。とくに新しい店舗はストアデザインも"デニム屋"のイメージを打ち出しており、店頭でブランドのアイデンティティーを実体験してもらった後に、サイズ展開やカラーバリエーションが豊富な通販サイトへ誘導し、デニムのネット売り上げを伸ばしたい意向だ。

 通販サイト開設から1年。現状の主力である男性顧客に向けてはウェブ限定商品やウェブ限定サイズなどを展開している。今年は女性客の取り込みにも本腰を入れる方針だが、「ウィメンズについては、顧客基盤を作るのが先」(松原マネージャー)とし、まずはサイズバリエーションを増やして通販サイトの使い勝手などを認識してもらい、会員数を増やした上で、来年からは女性向けのウェブ限定品を充実させたいという。

 また、同社では実店舗があるエリアの顧客比率が高く、EC売り上げの大半が東名阪の消費者で、当初予想より比重が高いことも課題のひとつだ。

 現時点で、日本全体の売上高に占めるネット販売比率は10%超だが、リアル店舗を拡大しても当面はこの水準を維持したい考え。

 なお、今期(2015年3月)のEC売り上げは前年比70%増を計画する。

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