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【大手2社の中間期宅配事業】 「宅急便」通販関連で順調拡大

2013年11月 7日 10:50

7-1.jpg 10月30日、ヤマトホールディングス(ヤマトHD)とSGホールディングス(SGHD)の2013年度中間業績が発表された。いずれも宅配便事業を主力とし、通販商品の配送を担う有力プレーヤーだが、昨今、注目されているのは運賃単価の問題。収益性の改善に向け、大口荷主に単価引き上げを求める佐川急便の動きが通販事業者の間でも話題となったが、今上期の各社の宅配便取り扱い状況をみると、その影響から、傾向分かれる形となった。



 ヤマトHDでは、中核企業のヤマト運輸が「宅急便」を展開するが、「宅急便」の今上期の取扱個数は7億9400万個。前年同期比11・4%増と順調に拡大した。新規荷主の獲得効果もあるようだが、通販を手掛ける既存荷主を中心にネット販売関連の荷物の増加が「宅急便」取り扱い拡大のドライバーになっているという。

 ネット販売関連荷物の拡大に伴い、代引きなどの決済サービス「宅急便コレクト」の取扱個数も同8%増の6340万9000個と順調な伸びとなっている。

 一方で、荷物1個当たりの運賃単価は下落傾向が続いており、今上期は前年同期比18円減の573円となった。これは、大口割引料金の通販荷主などの取り扱い荷物の構成比の上昇を背景としたもので、以前から見られる傾向だ。

 ヤマトグループでは、以前から通販荷主の売り上げ拡大を意識した独自サービスの展開に力を入れているが、ネット販売市場自体の拡大もあり、順調に「宅急便」の取り扱いを伸ばしている状況。

 「宅急便」を含むデリバリー事業の今上期売上高は5245億3100万円と前年同期比で5・9%の増収。営業利益も生産性向上の取り組みが奏功し同51・2%増の114億4900万円となった。「宅急便」については通期の取扱個数で前期比10%弱のプラス、運賃単価は上期並みを見込む。



 一方、SGHDの中核企業・佐川急便が展開する「飛脚宅配便」の今上期取扱個数は、前年同期比11・3%減の6億600万個。運賃単価の引き上げ交渉で折り合いがつかなかった通販などの一部大口荷主の離脱が影響した形で、SGHDとしても、取扱個数の減少は想定していたが、下げ幅は予想以上だったようだ。

 また、決済サービスの「e―コレクト」の取扱個数も、5894万個と同12・4%の減少。これについてSGHD側では、ネット販売でのクレジットカードによる事前決済の増加が主な要因とするが、前年同期に4割弱を占めていたBtoC関連荷物の構成比が今上期で3割台半ばにまで縮小していることを考えると、通販荷主の離脱の影響もあると見られる。

 一方、今上期の荷物1個当たり平均運賃単価は481円と前年同期22円のプラスで、SGHDの和田潔取締役は、適正運賃の取り組みについて「かなりのところまできた」と手応えを感じているもよう。「飛脚宅配便」を含むデリバリー事業の業績について見ても、取扱個数の減少により売上高が前年同期比8・0%減の3498億9200万円にとどまったもの、取扱個数の減少に伴う荷捌き外注費の削減効果などもあり、営業利益が同41・9%増の166億6400万円となるなど、利益面の改善が大幅に進んでいる。

 SGHDでは、「飛脚宅配便」の通期着地点について、取扱扱個数で前期比10%前後の減少、運賃単価は今上期並みになると予測。ネット販売市場の拡大が続く中、今後、離脱した通販事業者の取り込みが課題となってくるが、「価値を乗せて再開の方向に持っていく」(和田取締役)考え。

 今後、宅配便各社の競争の場は、"価格"から"価値や品質"の方向へ急速にシフトしそうだ。

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