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ファンケルなど3社 「健康診断情報」活用した新サービスの実証実験へ

2013年 8月 8日 16:21

 ファンケルは、来年4月から個人の健康診断情報などに基づく健康サービスの提供に向けた実証実験を始める。横浜市など3自治体が展開する「京浜臨海国際戦略総合特区」の一環として実施。日立ソリューションズや神奈川県予防医学協会と共に取り組んでいく。

 実証実験では、個人が健康診断や人間ドックなどで得た健康情報を、同意に基づき収集・蓄積して自己管理するための情報システム基盤「PHR(パーソナル ヘルス レコード)基盤」を構築。健診情報を活用した健康サービスの提供モデルを検討していく。個人が健診情報を開示することで、自身に合ったサプリメントの提供など、より精度の高い健康サービスを受けることができる可能性があるとして、プロジェクトを立ち上げた。

 来年4月1から15年3月31日まで1年間の実施を予定。来年4月までに実施に向けてPHR基盤に必要な要件や、健康情報の取得方法など健診機関との連携体制、運用方法を検討していく。

 PHR基盤の構築は国内で初めてとみられ、日立ソリューションズでは、協力企業などから募った1万人前後のモニター参加を目指している。モニターが閲覧できるポータルサイトを構築し、モニターがアクセスすることで自らの健診情報と健康サービスを確認できる仕組みを想定している。

 健康サービスは、「検討はこれからだが、例えば血液検査の結果を受けて栄養指導やサプリメントを提供したり、これらを提供する関連企業のサイトにアクセスできる形を想定している」(日立ソリューションズ)という。

 ただ、薬事法など関連法規との調整も必要となる。3社は実験を通じて実用化に向けて必要な規制緩和の課題、情報提供の手法を検証していく。日立ソリューションズでは、実用化が可能と判断した場合、健康関連産業を展開する多くの企業も参加できる仕組みを検討していく考え。

 「京浜臨海国際戦略総合特区」は、ライフイノベーション分野における国際競争拠点の形成を進めるため、神奈川県、横浜市、川崎市の3自治体が申請。2011年末に特区として指定を受けた。

 実証実験は、横浜市が「個別化・予防医療の実現」などをテーマに行う18のプロジェクトの一つ。横浜市では国際戦略特区におけるPHR基盤運用により16年度末をめどに10万人のデータベース利用と、データベース利用料として60億円の数値目標を設定している。薬事法など関連法規と調整が必要なことから、国に特区内における規制緩和策など優遇措置を求めている。

 国は健康長寿社会の実現や医療費抑制に向けた予防医療の推進を課題としている。

 一方、ファンケルでは、池森賢二会長が健食事業の将来展望として、血液検査や遺伝子検査、食習慣に基づく「オンリーユーサプリメント」の提供を掲げている。健診情報の有効活用を行う今回の実証実験は、その試金石となる可能性がある。
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