日本郵便 小物・薄物で通販開拓、25%超のシェア狙う
日本郵便は、今後の通販・ネット販売事業者向けのゆうパック事業展開について、DVDや書籍など小型商品の取り込みに力を入れる構えだ。宅配便では、ヤマト運輸と佐川急便の2強が君臨し、増加傾向にある通販・ネット販売関連荷物を取り込む形で寡占化が進んでいる。これに対し、日本郵便は、郵便のインフラを活用し、DVDなどの薄物・小物商材の獲得を推進。さらに決済などサービスの強化を進め、通販・ネット販売分野でのシェア拡大を図る。
2007年に発表された「ゆうパック」と日本通運の「ペリカン便」の統合計画。ヤマト、佐川に次ぐ宅配便の第三勢力としてその動向が注目されたが、実際の統合作業は難航した。宅配便事業会社のJPエクスプレスを設立し、2010年7月に「ペリカン便」を統合した新生「ゆうパック」の誕生となったが、その直後に大規模な遅配問題が発生。これが通販・ネット販売の荷主離れを引き起こす結果となり、荷物の取扱個数でも、ヤマト・佐川が通販・ネット販売関連の荷物をけん引役に堅調な伸びとしているのに対し、「ゆうパック」は実質マイナスで推移。事業としても赤字となるなど苦戦を強いられている。
これに対し日本郵便では、2015年度に「ゆうパック」事業の黒字化を構想。その施策として、書籍やDVD、化粧品、健康食品など薄物・小物商材をターゲットにBtoC通販・ネット販売関連荷物の取り込みを強化する考え。DVDや化粧品・健食は成長が見込める商材だが、日本郵便では、バイクなど郵便のインフラを活用した展開を構想。小回りが効く2輪車の利点を活かした効率的な配送と低料金のサービス提供で差別化を図るほか、1日3回配達体制をもとにした当日配達対応なども視野に入れる。
日本郵便では2011年における通販市場の「ゆうパック」のシェアを13・3%、うち薄物・小物のシェアについて18・3%と推計するが、今回、打ち出した施策を通じ、15年には通販市場全体で15・4%、うち薄物・小物で25・8%にまでシェアを引き上げたい考え。また、商材別では、書籍・DVDなどで26・9%、化粧品・健康食品で24・8%のシェア獲得を目指す。
一方、「ゆうパック」に付帯するサービスについても、2013年前半に予定する情報システムの刷新を機に強化・拡充する意向で、受取人向けの配達事前メール告知や、中小ネット販売事業者を想定した荷物のラベル印字サービスの投入などを計画。通販事業者などから顧客の転居情報の照会があった際、顧客の同意を前提に情報を提供する新規の転居情報ビジネスの展開も構想する。
また、決済サービスについても、情報システムの刷新に合わせ、クレジットカードの取り扱いなどメニューを拡充。現状、旧「ペリカン便」の通販荷主などについては、日通キャピタルが代引きやコンビニ収納、クレジット決済などのサービスを提供しているが、今後予定する決済メニュー拡充に合わせ、日本郵便側のサービスへの移行を進める考えだ。
このほかに郵便局(約2万4000カ所)や、ローソンなど提携コンビニ(約1万2800店)といったアクセスポイントを活かしたネットオークションなどCtoC分野の取り込みや、ネットスーパー対応の強化などで取扱荷物の拡大を進める。
日本郵便では対応サイズや料金体系など「ゆうパック」の商品内容やサービス品質はヤマト・佐川両陣営に引けを取らず、巻き返しは可能と見ているもよう。ただ、サービス品質の面では、ある調査で配達員の「態度不良」の結果が悪かったことを問題視。今後、改善を進めていく方針だ。
日本郵便が打ち出した郵便インフラを使った施策はインパクトのあるものだが、肝心なのは運用体制。通販・ネット販売事業者の信頼を勝ち取り、目論見通りに小物・薄物の荷物を取り込めるかは、現場レベルの意識とオペレーションの改革がカギをにぎることなりそうだ。
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2007年に発表された「ゆうパック」と日本通運の「ペリカン便」の統合計画。ヤマト、佐川に次ぐ宅配便の第三勢力としてその動向が注目されたが、実際の統合作業は難航した。宅配便事業会社のJPエクスプレスを設立し、2010年7月に「ペリカン便」を統合した新生「ゆうパック」の誕生となったが、その直後に大規模な遅配問題が発生。これが通販・ネット販売の荷主離れを引き起こす結果となり、荷物の取扱個数でも、ヤマト・佐川が通販・ネット販売関連の荷物をけん引役に堅調な伸びとしているのに対し、「ゆうパック」は実質マイナスで推移。事業としても赤字となるなど苦戦を強いられている。
これに対し日本郵便では、2015年度に「ゆうパック」事業の黒字化を構想。その施策として、書籍やDVD、化粧品、健康食品など薄物・小物商材をターゲットにBtoC通販・ネット販売関連荷物の取り込みを強化する考え。DVDや化粧品・健食は成長が見込める商材だが、日本郵便では、バイクなど郵便のインフラを活用した展開を構想。小回りが効く2輪車の利点を活かした効率的な配送と低料金のサービス提供で差別化を図るほか、1日3回配達体制をもとにした当日配達対応なども視野に入れる。
日本郵便では2011年における通販市場の「ゆうパック」のシェアを13・3%、うち薄物・小物のシェアについて18・3%と推計するが、今回、打ち出した施策を通じ、15年には通販市場全体で15・4%、うち薄物・小物で25・8%にまでシェアを引き上げたい考え。また、商材別では、書籍・DVDなどで26・9%、化粧品・健康食品で24・8%のシェア獲得を目指す。
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また、決済サービスについても、情報システムの刷新に合わせ、クレジットカードの取り扱いなどメニューを拡充。現状、旧「ペリカン便」の通販荷主などについては、日通キャピタルが代引きやコンビニ収納、クレジット決済などのサービスを提供しているが、今後予定する決済メニュー拡充に合わせ、日本郵便側のサービスへの移行を進める考えだ。
このほかに郵便局(約2万4000カ所)や、ローソンなど提携コンビニ(約1万2800店)といったアクセスポイントを活かしたネットオークションなどCtoC分野の取り込みや、ネットスーパー対応の強化などで取扱荷物の拡大を進める。
日本郵便では対応サイズや料金体系など「ゆうパック」の商品内容やサービス品質はヤマト・佐川両陣営に引けを取らず、巻き返しは可能と見ているもよう。ただ、サービス品質の面では、ある調査で配達員の「態度不良」の結果が悪かったことを問題視。今後、改善を進めていく方針だ。
日本郵便が打ち出した郵便インフラを使った施策はインパクトのあるものだが、肝心なのは運用体制。通販・ネット販売事業者の信頼を勝ち取り、目論見通りに小物・薄物の荷物を取り込めるかは、現場レベルの意識とオペレーションの改革がカギをにぎることなりそうだ。