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ケンコーコム、業績回復も続く単価下落――楽天との連携推進

2012年11月15日 13:55

 2013年3月期中間業績(12年4~9月)の業績(連結)で、主力のリテール事業売上高を前年同期比2・0%増の76億9100万円としたケンコーコム。ミネラルウォーターなど震災関連の特需という前中間期の高いハードルがある中、取扱商品数の拡大などをドライバーに増収を維持した。連結ベースでも、売上高が同3・2%増の87億5700万円、営業損失1700万円(前年同期は4億3400万円の損失)と、売り上げ・利益の両面で改善が進んだ。

 リテール事業の状況を見ると、主要チャネル別の売上高は、自社サイトが同17・7%減の23億4100万円、「楽天支店」が同9・3%増の39億1000万円、「ヤフー!支店」が同29・7%増の6億6400万円。自社サイトの構成比が縮小する一方で、集客力のある仮想モール支店が伸びており、特に「楽天市場支店」が最も高くなっている。

 ケンコーコムでは今上期、取扱商品数の拡充、多様化する顧客やデバイスへの対応といった継続的な売り上げ成長策、粗利益率の改善など低単価でも利益の出せる体制作りなどを推進。取扱商品数を18万9943アイテムにまで拡大し、新デバイスとなるスマホ・タブレット端末経由の売上高を前年同期比倍増の1億8800万円とするほか、全上期に過剰在庫となったミネラルウォーターの投売りで一時30%台に落ち込んだ荒利益率も32%台(第1四半期32・7%、第2四半期32・4%)を維持した。

 売り上げの面では、堅調な推移となった形だが、一方で慢性的な課題と言えるのが購入単価の下落。第2四半期の購入単価は3611円で前年同期比3・4%の減。一時からはやや落ち着いているが、購入単価の下落を出荷件数(同2・5%増の107万件)でカバーする形が続く。

 他の通販サイトや通常の店舗でも販売される日用品は、商品自体での差別化が難しく、価格訴求に走らざるを得ない側面もある。ケンコーコムでは今上期、商品価格の適正化にも取り組んでいるが、やはり影響が大きいのは送料無料となる購入金額ライン(現在は1980円)。競合他社との対抗上、最もシビアな要素のひとつだが、同社では「送料無料ラインについて、成長と収益を考える上で重要なパラメータになる」(後藤代表)とし、適正水準の検討を進める考えを示唆した。

 ケンコーコムが主戦場とする日用品のネット販売は、コンビニやドラッグストアなどがネット販売の取り組みをするほか、ヤフーとアスクルがB〓C通販サイト「ロハコ」を立ち上げるなど、ここにきて動きが活発化。ケンコーコムの後藤代表は「当社を取り巻く環境は激変し、大競争時代に入っている」とする。

 これに対し同社は品揃えと顧客・配送サービス、適正価格での優位性を追求。その実現に向け親会社である楽天と連携し、コスト削減や「健康・日用品ECでしっかりとしたサービスの提供を目指す」(後藤代表)とする。競合の激化が予想される同商品分野で、今後、楽天と連携し、どのような施策を打ち出してくるのかが注目される。
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