日本テラデータのデータ管理システム「テラデータ5650」を導入したニッセン。データ分析は通販企業にとって生命線ともいえるもの。これまでの体制の問題点は何だったのか。そして、新システムの導入でどこが改善されたのだろうか。
ニッセンのIT企画室でINET/インフラ/方式設計責任者を務める横手慎一氏(=写真)は「導入前はデータ分析に時間がかかるだけではなく、大量のリクエストが発生することで分析に入るまでの"待ち時間"が長くなってしまうケースも多かった」と振り返る。
ネット販売の普及は顧客データの分析をやりやすくしたが、それに伴い扱うデータも年々増加。同社ではデータ解析に「SAS」を利用しているが、近年はパフォーマンスの低下が目立っていた。横手氏は「分析量が増え、動作が重くなっては別のハードに入れ替える、という作業の繰り返しだった」と話す。
このままではいたちごっこが続く。そこで、同社ではテラデータの内部でSASを動かす「SAS インデータベース」テクノロジーをテスト。実際のデータを使って実験したところ、待ち時間が発生しなくなったこともあり、以前は10時間以上かかっていた分析が数分で完了。新システムの導入に踏み切った。
なぜここまでパフォーマンスが改善したのか。通常、多数のデータを同時に処理させるとハードに負荷がかかり、パフォーマンスは極端に低下する。ところがテラデータの場合、大量の分析リクエストがあっても、並列に処理できる設計思想のため、パフォーマンスを維持できるというわけだ。
もう少し詳しくいえば、テラデータはデータを分散して管理していることが大きい。「例えるなら、以前はインデックスなしの百科事典から必要なものを1人で探していた。今はインデックス付きの百科事典を10分割して、10人で探しているから効率が良い」(横手氏)。
かつては分析したデータをソート(並び替え)する際も、まずデータを読み込む必要があるため、膨大な時間がかかっていた。ところが、現在はデータに識別番号が付いており、そもそもソートをする必要がなくなったという。
並列処理の数が大幅に増えたことで待ち時間がなくなった。さらに、以前は長時間かけたデータ分析がエラーで終わってしまい、月次報告などに間に合わないケースもあったというが、こうした心配も不要だ。横手氏は「きちんと分析ができず、担当から苦情がくることもあったが、新システムの導入後は『ありがとう』と言われるようになった」と笑う。
同社では、顧客一人ひとりに合わせた「1to1マーケティング」を進めている。扱うデータ量は今後も増えていくことが予想されるが、分析速度と同時に扱える量が向上したことで、意思決定のスピードアップが可能になりそうだ。
データベースの"器"が拡大したことで今後期待されるのは、いわゆる「ビッグデータ」の活用。これは、例えばSNSの書き込みなど、従来は扱えなかったような膨大なデータのこと。横手氏は「あくまでIT部門からの将来展望」と前置きしながらも、「顧客や商品に関わる情報をどんどん取り込み、もっとリッチにすることで、整合性のあるマーケティングにつなげる。これを実現するためのテラデータに期待したい」と話す。
ニッセンのIT企画室でINET/インフラ/方式設計責任者を務める横手慎一氏(=写真)は「導入前はデータ分析に時間がかかるだけではなく、大量のリクエストが発生することで分析に入るまでの"待ち時間"が長くなってしまうケースも多かった」と振り返る。
ネット販売の普及は顧客データの分析をやりやすくしたが、それに伴い扱うデータも年々増加。同社ではデータ解析に「SAS」を利用しているが、近年はパフォーマンスの低下が目立っていた。横手氏は「分析量が増え、動作が重くなっては別のハードに入れ替える、という作業の繰り返しだった」と話す。
このままではいたちごっこが続く。そこで、同社ではテラデータの内部でSASを動かす「SAS インデータベース」テクノロジーをテスト。実際のデータを使って実験したところ、待ち時間が発生しなくなったこともあり、以前は10時間以上かかっていた分析が数分で完了。新システムの導入に踏み切った。
なぜここまでパフォーマンスが改善したのか。通常、多数のデータを同時に処理させるとハードに負荷がかかり、パフォーマンスは極端に低下する。ところがテラデータの場合、大量の分析リクエストがあっても、並列に処理できる設計思想のため、パフォーマンスを維持できるというわけだ。
もう少し詳しくいえば、テラデータはデータを分散して管理していることが大きい。「例えるなら、以前はインデックスなしの百科事典から必要なものを1人で探していた。今はインデックス付きの百科事典を10分割して、10人で探しているから効率が良い」(横手氏)。
かつては分析したデータをソート(並び替え)する際も、まずデータを読み込む必要があるため、膨大な時間がかかっていた。ところが、現在はデータに識別番号が付いており、そもそもソートをする必要がなくなったという。
並列処理の数が大幅に増えたことで待ち時間がなくなった。さらに、以前は長時間かけたデータ分析がエラーで終わってしまい、月次報告などに間に合わないケースもあったというが、こうした心配も不要だ。横手氏は「きちんと分析ができず、担当から苦情がくることもあったが、新システムの導入後は『ありがとう』と言われるようになった」と笑う。
同社では、顧客一人ひとりに合わせた「1to1マーケティング」を進めている。扱うデータ量は今後も増えていくことが予想されるが、分析速度と同時に扱える量が向上したことで、意思決定のスピードアップが可能になりそうだ。
データベースの"器"が拡大したことで今後期待されるのは、いわゆる「ビッグデータ」の活用。これは、例えばSNSの書き込みなど、従来は扱えなかったような膨大なデータのこと。横手氏は「あくまでIT部門からの将来展望」と前置きしながらも、「顧客や商品に関わる情報をどんどん取り込み、もっとリッチにすることで、整合性のあるマーケティングにつなげる。これを実現するためのテラデータに期待したい」と話す。