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昨年10月22日、大地を守る会と組んで展開してきた食品宅配サービスを拡大し、「三越伊勢丹エムアイデリ」としてネットスーパー市場に参入。日常的に良質な商品や生活を求める消費者に対し、百貨店を核としたグループ全体で接点を増やす。
そのため、百貨店で扱う人気の惣菜や、三越日本橋本店から全国の老舗銘菓などを届ける「デパ地下便」もスタート。生鮮食品やグローサリーはグループ企業が運営する食品スーパーとも連携し、品ぞろえは従来の1・5倍の1200品目に増やした。
通販商材についても、缶詰などカタログではセット売りが基本のアイテムも1個単位で販売する。
また、ネット完結型ではなく、毎週、専用のカタログを発刊して電話で注文を受けることで、比較的に年齢の高い顧客層にも配慮した。
配送エリアは一部地域を除く関東全域に広げ、午後3時までの注文で翌日の指定時間帯に手渡しで届ける。
従来型の食品宅配からネットスーパーへの切り替えに当たり、東京・葛西地区に新たな配送センターを設けて配送業者も変えたのに加え、これまでは大地を守る会が主体だったカタログ制作も、すべて三越伊勢丹通信販売が編集する体制に移行している。
今回、同社グループは首都圏で初めて「三越伊勢丹」ブランドを使用。顧客はネットスーパーの業態であっても「百貨店」のサービスと受けとめており、求められる水準は高い。そのためにも注文時に顧客の生の声が聞けるコールセンターは大事で、ネットスーパー専用の席数をこれまでの3倍に増やして対応している。
現状、旧サービスの会員が引き続き主要顧客で、買い物弱者など新規会員も想定を約3割上回って推移しているものの、定期配送を望んでいた既存客の離脱もあって、初年度2万人の会員目標にはもう一段の集客策が必要な状況だ。
同社では、百貨店店頭でサービスを紹介するなど百貨店顧客へのリーチを強めているが、今後はウェブ限定商品やセールの実施などで、いかにネットを主要受注ツールにできるかも採算面では課題となりそう。
また、ノウハウを持つカタログやテレビ通販とは異なり、受注商品を翌日に届けること自体が初めてのため、「奇策はなく、確実性を重視する」(志田尚之・宅配営業部宅配企画マネージャー)としており、需要予測の精度向上も不可欠だ。
食品宅配事業の売上高は、2011年3月期が15億円弱だが、これを初年度でほぼ倍増の27億円、将来的には100億円を目指す。