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東京都と消費者庁 ダイエット健食、監視強化へ、 ウェブ上で注意喚起キャンペ

2012年 1月12日 14:15

痩身効果をうたう健康食品に対する監視強化が進む可能性がある。昨年末、消費者庁が健康増進法に基づく改善要請、景品表示法に基づく措置命令を下したのに続き、東京都が1月からネット上で注意喚起CMやバナー広告の展開を始めたからだ。いずれも対象は痩身効果をうたう健食。一連の動きに東京都は「国と協議した結果の施策ではない」としている。ただ、過去から現在に至るまで、痩身効果を過大なまでにうたう一部の販売事業者の存在は、行政サイドを悩ませてきた。今後、監視の目はますます厳しくなりそうだ。
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「昨年、消費者庁が健増法に基づく行政指導を実施して以降、ダイエット関連に関する広告表示を手控えている」。ダイエット系健食をネット販売するある事業者は、行政サイドの一連の動きにこう反応する。最近、"痩身効果"をテーマに、行政サイドの動きが慌ただしくなっているためだ。

 東京都は1月からお笑いコンビのアジアンが出演する15秒のスポットCMを動画共有サイト「ユーチューブ」の東京都公式チャンネルで配信。併せて、「Yahoo!サービス」内で同様の内容のバナー広告を展開し始めた。

 CMやバナー広告で発信されるメッセージは、「ダイエット用健康食品などによって健康被害が起こることがあります。体調不良を感じたら医師・薬剤師にご相談ください」というもの。ここからも痩身効果をうたう健食を対象にしていることは明らかだ。東京都も「ダイエット系の健食はネット販売で買われるケースが多い」と、今回、ネット上で広告展開した理由を話す。
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 さらに、バナー広告をクリックするとアンケート画面に切り替わり、「健食で健康被害が起こることを知っていたか」「体調不良を感じたことがあるか」「(その際)医師や薬剤師に相談しようと思ったか」といった設問が展開される。各設問には解説がついており、被害例の実態などを啓発する内容になっている。

 東京都では約800万円の予算を投じ、1月1日から31日まで3000万回の表示を予定している。今回の広告出稿は、テスト展開の意味合いが強く、「ウェブ上のアンケート調査でどの程度の反応があるか検証する。結果を今後の施策に活かしていく」(東京都)としている。

 ただ、気がかりなのは、ここ最近、痩身効果をうたう健食が度々、遡上に上がっていることだ。

 消費者庁食品表示課では昨年7月から9月にかけて、「メタボリック改善」や「脂肪燃焼」などとうたう健食を調査。同11月に180事業者282商品に改善を要請した。また、同庁表示対策課も昨年11月、痩身効果をうたう健食を販売していた事業者2社に対し措置命令を下している。

 措置命令を受けた2社は健増法による改善要請を受けた事業者には含まれておらず、関連性はない。国と東京都は「食品表示協議会」を通じて定期的に会合を持つが、主なテーマは食品衛生法やJAS法関連であり、「今回の施策は都独自のもの」(東京都)としている。

 ただ、昨年から活発になりつつあるダイエット系健食を取り巻く状況は、単なる偶然の一致で片付けられるものではないだろう。事業者は広告表示の再考を迫られることになりそうだ。



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