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日本製紙、印刷用紙「薄物」値上げへ、12年春にも、コスト高を転嫁

2011年11月 4日 10:56

日本製紙グループ本社(本社・東京都千代田区、芳賀義雄社長)が、印刷用紙の価格体系変更を検討している。これまでは紙の厚さに比例した価格を採用していたが、軽量コート紙(A3)や微塗工紙といった薄物は製造コストがかかることから、製品に一部転嫁する方針だ。製紙各社ではここ数年、原燃料価格の高騰や印刷用紙の需要低迷が業績を直撃している。同社が価格改定を実施すれば他社が追随し、業界標準となる可能性もありそうだ。


早ければ2012年春にも新しい価格体系を導入する。一般的に紙の価格は、1平方メートルあたりの重量を示す「坪量」で決めている。そのため、薄い紙は価格も安くなるが、薄物は製造に手間がかかるため、製紙会社にとってはコスト増の要因となっている。

 印刷用紙の需要が伸びている時期は増産で対応していたが、近年は需要減から減産が続いており、同社では収益改善を目指し「薄物格差」の導入に向けて動き出した。具体的にどの程度価格に転嫁するかは決まっていないが、「例えば坪量64グラム以下を薄物として価格を上乗せし、50グラムを切る紙はさらに上乗せするなど、紙のグレードごとに価格を決める体系を考えている」(営業統括部)という。

 薄物格差は、これまで上質コート紙(A2)では使われていたが、本格導入となれば業界でも初めてとなる。薄物は紙の購入代金や郵送費用が削減できるため、通販会社が発行するカタログやチラシでは多く使われている。同社では「薄物の普及によるメリットが製紙会社側にはない」(営業統括部)として、価格体系の見直しに意欲的を見せる。

 ただ、同社は原燃料価格の高騰を理由として、9月に印刷用紙の値上げを実施しており、薄物格差が導入されれば通販会社をはじめとする需要家にとっては、コスト負担がさらに重くなる。そのため、輸入紙へのさらなるシフトも予想される。同社では「輸入紙へのシフトは仕方のない部分もある。ただ、輸入紙では薄物格差があると聞いており、それも参考にして価格体系を決めたい」(同)としている。

 印刷用紙だけではなく、段ボール原紙の値上げも続いている。10月11日には、大王製紙が段ボール原紙全品種の12%以上の値上げを、11月21日出荷分から実施すると発表。すでにレンゴーは段ボール原紙の値上げを実施しているほか、王子板紙、日本大昭和板紙も値上げを発表している。原燃料価格の高騰が直撃した格好で、商品への価格転嫁が難しい通販会社にとっては厳しい状況が続いている。

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