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同社の通販サイトはこれまで、パソコン向けサイトしかなく、利用者からはモバイルサイトの開設を求める声が多かったという。
モバイルサイトの初年度売上高は全売上高の約10%になると予想していたが、「今のところ1割には達していない」(柳重光マーケティング部長)という。伸び悩んでいる理由の一つとして挙げられるのが、スマートフォンの急速な普及だ。モバイルサイトの開発スタート時は、まだスマートフォンの保有比率は低かったが、状況が大きく変化した。ただ、現状ではスマートフォン専用サイトの開設は「予定していない」(同)という。
また、モバイルサイトにはパソコン向けサイトと同等の機能を設けたものの、携帯電話の場合、商品の検索性などの使い勝手はどうしてもパソコンより悪くなってしまう。
同サイトでは、希望する商品が入荷した際に「入荷お知らせメール」を1日1回、利用者に送っている。携帯電話を利用する場合、メールを受ければどこでも購入できるという利点はあるものの、希望の商品だけでは送料無料のラインとなる1500円に届かず、他に欲しい商品を探しているうちに売り切れてしまう、というケースも少なくないようだ。さらには、公式サイトではないためキャリア決済が利用できず、決済に時間がかかるという難点もある。
そこで、メールマガジンに500円のDVDを多数掲載するなど、携帯電話での利用機会を増やしてもらうための提案を強化している。また、送料無料ラインに達するための的確なレコメンドも必須となる。今後は、購入・閲覧履歴による顧客の細かいセグメント分けが重要になりそうだ。
ただ、モバイルならではの売れ筋商品も出てきている。若い女性の購入比率がパソコン向けより高いこともあり、男性同士の恋愛を題材とした「ボーイズラブ」と呼ばれるジャンルの商材が目立って売れているという。モバイル専用コンテンツを作成するなど、強化を進めている。
近年は書籍を扱う通販サイトで送料を無料にする動きが広がっている。ただ、同サイトは中古を中心に扱っており、100円の古本もあるなど新刊書籍の通販サイトに比べると単価が安い。さらには、値引きのできない新刊に比べて、価格や品揃えなどで競合との差別化が可能だ。
とはいえ、古本だけで1500円分を購入するのは、利用者にとってややハードルが高いのも事実。同社では「出張買い取りの集荷料金が無料になる30点というラインも含めて検討したい。ただ、コストアップ策に踏み込むには、まだ時間がかかりそうだ」(柳マーケティング部長)とする。