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東京都 放射線対策の表示、ネット販売53社を景表法で指導

2011年 7月28日 17:15

 東京都は7月22日、放射性物質対策をうたった商品のインターネット広告表示の調査を実施し、「景品表示法」に抵触(優良誤認など)する恐れのある表示を行っていたネット販売事業者53事業者(広告・表示件数58件)に指導を行ったと発表した。福島第一原子力発電所の事故発生に伴い、消費者の間で放射線被曝などに対する不安から関連商品に対する関心も高まっているが、問題となった事業者の多くは、合理的な根拠のないまま、放射線対策に関する表示を行っていたことが明らかになった。

 調査は、家庭用の放射性物質対策商品のインターネット広告表示を対象にしたもので、5月に実施。2400件の広告表示の中から、不当表示につながる可能性がある89事業者・102件の広告表示について、啓発メールを送信するとともに詳細調査を実施した。

 詳細調査を行った広告表示の内訳は、浄水器が54件、健康食品が17件、放射線測定器が9件、メガネや防護服などその他が22件で、このうち放射性物質関連で浄水器36件、健食9件、放射線測定器5件、その他8件について指導を行った。

 具体的な内容についてみると、浄水器では「放射性物質100%分解除去」「放射性物質(セシウム・ヨウ素)90~97%高効率除去!」などの表示があったが、いずれも事業者側が表示の根拠となる資料を保有していない状況だった。

 健食では、「昆布に多く含まれるヨウ素は、体内に入る放射能を体外に排出する効果があります」「体内に入ってしまった放射性物質を吸収して排出するヨウ素...」などの表示があったが、都ではヨウ素を含んだ健食には医師が処方する「安定ヨウ素剤」のような効果は認められていないと指摘。また、体内に入った放射性物質を排出するなどの表示は、「薬事法」に抵触する可能性があるとし、都の薬事担当部署に情報提供を行ったとしている。

 このほかに放射線測定器で「政府が認めた測定器」「中国軍特殊部隊装備品のハイレベルのガイガーカウンター」など、その他商材で「放射線・放射能・輻射を防ぐメガネ」「体内に既に入ってしまった放射能を汗と一緒に身体から除去」(スーツ)などの表示があったが、いずれも表示の根拠となる資料がなかったという。

 いずれも広告表示を行う上での基本的な準備ができていない事例と言え、指導を受けた事業者は、ブームに乗じた安易な広告表示を行っていた観が強い。東京都でも消費者の放射線被爆などに対する不安につけこんだのではないかと見て問題視しているようだ。

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