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クウジットのAR技術、家電を部屋に"設置"

2011年 7月21日 22:00

 通信販売にとって永遠の課題ともいえるのが、「カタログやウェブで見たときは良いと思ったのに、実際に届いてみたらいまいちだった」という「イメージとの齟齬(そご)」だろう。

 最近は動画を活用したり、商品画像を360度回転できるシステムを導入したり、各社はさまざま工夫をこらして消費者への訴求を強めている。ただ、大型家具や家電の場合、実際に製品を設置する部屋との調和が取れるかどうか、という問題がある。これは通販に限ったことではないが、部屋との調和も考えた提案ができれば、家具や家電などがより売りやすくなるのは間違いない。

AR.JPG クウジットでは、「拡張現実(AR)」と呼ばれる技術を活用し、カメラに映る自分の部屋に、家電の3D画像を合成して表示、調和の度合いを確認できるサービスを提供している。

 使い方は極めて簡単だ。サイトから印刷した専用のマーカーを部屋に置き、パソコンにつないだカメラや、スマートフォンのカメラで映すと、画面上に設置したい家電製品が現れる。

 昨年5月にソニーマーケティングが開始した、薄型テレビの設置イメージを確認できる、パソコンやスマートフォン向けサービス「ARレイアウトシミュレーター」にAR技術を提供している。薄型テレビは価格下落が進んでいるものの、高額な買い物であることに変わりはない。実際の設置イメージを確かにしてもらうことで、購入の障壁を下げるとともに、もう1ランク上の商品を買ってもらうきっかけにしたい、という狙いがある。さらに、今年7月にパナソニックが始めた、マッサージチェアの設置シミュレーションを行うスマートフォンアプリにも技術提供をしている。

 近年はARと相性の良いスマートフォンの普及が急拡大しており、通販での利用拡大が期待される。特に女性の場合、家具や家電を購入する際に、部屋に合うかどうかを気にすることが多く、サービスの潜在需要は高い。

 ただ、今のところはレイアウトシミュレーターを利用した消費者が、メーカーの直販サイトへ移動し、商品を購入しているかどうかのログは取っていないため、「コンバージョンレート向上につながっているかは分からない」(事業開発部)。今後は、通販サイトとアプリとの連携を進めることが課題となる。履歴が残ればマーケティングにも有効に活用することができるからだ。

 価格は専用アプリを開発する場合と比較して、既存アプリ(GnG)を 利用すると、1/10〜1/5程度となる。 また、商品の3D画像作成費用も別途必要となるため、家具や家電といった 単価の高い商品を扱うサイト向けのサービスとなる。

 また、商品の画像化は販売会社では難しいため、サービス導入の対象となるのはメーカーだ。家電のみならず、家具関連でも自社商品を販売する通販サイトに導入を働きかける方針だ。
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