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プライム 金探鉱のジパングと合併、ジパング・HDに商号変更、債務超過から脱却へ

2009年11月 4日 19:23

 プライムは10月28日、金鉱山の探鉱事業などを手がけるジパングを1月1日付で吸収合併すると発表した。これに伴い、プライムは商号を「株式会社ジパング・ホールディングス」に変更する。プライムは業績低迷から脱却できず、前期は債務超過に陥っていた。ジパングの吸収合併により、債務超過の解消と財務基盤の強化を図る。また、通販事業以外に金生産事業という異なる事業基盤を持ち、景気に左右される小売業のリスク軽減を狙う。

 プライムは1月1日付でジパングを株式交換方式で吸収合併する。存続会社はプライムでジパングは解散する。これに伴い、プライムは同日付で商号を「株式会社ジパング・ホールディングス(JHD)」に商号変更。また、ジパングの松藤民輔社長を含む同社の取締役クラス7人が「新生プライム」となるJHDの取締役に就任する予定で既存のプライムの取締役5人とあわせて、12人の役員体制となる。なお、同社の通販ブランド「プライム・ショッピング」という名称は継続して使用する。

 前期(09年3月)末で純資産約35億円のジパングの吸収合併により、プライムは財務状態を改善・強化。これにより、前期決算で陥っていた債務超過状態から脱却。懸念されていた2期連続の債務超過状態による上場廃止を免れることになりそうだ。

 また、資金繰りが改善されることで、ネット販売を軸とした通販事業の体質改善を進める。加えて、ジパングの金鉱山の探鉱事業や金の生産事業などを手がけられるようになり、新たな事業も展開。景気に左右されがちな小売業のリスクを軽減する狙い。

 一方のジパングは米ネバタ州に保有する2つの金山を軸に金の生産事業を展開中。プライムとの合併で同事業拡大のための人材確保とプライムが持つテレビメディアによる告知効果で投資家集めに期待。これにより、新たな海外の金山の買収を進める狙いがある。

 また、ジパングは昨年10月にアスクリンクと合併。これに伴い、温浴施設やホテル、飲食店の運営などの事業なども手がけている。これらの事業とプライムの通販を含む小売事業との相乗効果などを視野に入れているようだ。

 プライムはここ数年、ヒット商品の不在などが影響して業績低迷から抜け出せず、前期(09年6月)は売上高が約69億円、営業損失は約17億円を計上。また金融事業撤退に伴う特損発生などで債務超過に陥っていた。今回打った今回のジパングとの合併という一手。これにより、債務超過という危機から脱却。またプライムが中期経営計画でも発表していたネット販売などを軸とした次代の通販事業への脱皮を実現できる当面の資金も獲得できたことになる。

 とは言え、プライムのここ数年の業績低迷の本質的な原因は「売れる商品を生み出せない」ことが大きく、この問題がクリアされねば、今回の資金と機会は水泡に帰す可能性もある。今後、ネット販売などの「売り場」の強化を進めつつ、いかに根本である「ヒット商品」を生み出せる体質を作り出せるかに通販事業の復活のカギがありそうだ。

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