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ケンコーコム 来年、アジアで通販開始、シンガポール拠点に医薬品中心のサイト開設

2009年10月28日 19:29

013.jpg ケンコーコムはシンガポールに現地法人を設け、海外事業の展開に乗り出した。広告表示等の規制が日本よりも緩やかで物流インフラが整備されているシンガポールを世界各国向けのネット販売のハブにする狙いで、海外向けの通販サイトも開設。物流・決済の稼動を確認した上で、来年中に中国や韓国などアジア向けの展開を始める計画だ。

   ケンコーコムは9月、シンガポールに健康関連商品の国際的なネット販売事業を手掛ける現地法人「ケンコーコム シンガポール プライベート リミテッド」(以下KCシンガポール)を設立。資本金は1,000万円(ケンコーコム100%出資)で、社長にはケンコーコムの朝倉大輔リテール統括室長が就いた。

 10月26日にKCシンガポールが運営する通販サイトを開設し、日本製の商品を中心に第1類および第2類医薬品など約2,500アイテムを販売。商品は、現地の委託物流事業者の倉庫に在庫し、航空便で各国の顧客に届ける。

 販売方法としては個人輸入の形で、配送料金は一律650円(購入代金8,000円以上の場合は無料)。在庫のある商品であれば、注文から1週間前後で届けられるという。決済は日本円でクレジットカードに対応する。

 同社では海外向けの事業展開について、00年に「ケンコーコム」サイトを開設した当初から視野に入れていたが、広告表示や健康食品等の輸入販売など過剰な規制のある日本を拠点とした展開は難しいと判断。今年6月の改正「薬事法」施行に伴う医薬品ネット販売の規制強化で、医薬品の売上高が大幅に減少している状況などもあり、このタイミングで海外事業に踏み出したようだ。

 一方、今回の事業は、海外在住の日本人や海外の顧客を前提にしたものだが、実際には日本国内の顧客も商品を購入することができる。この点については、海外法人が運営するもので、厚生労働省にも「法的な問題はないことを確認している」(後藤社長)という。

 今後、ケンコーコムでは、日本の顧客を想定した展開で決済や物流の仕組みが正常に稼動するかを確認し、年内中にも海外在住日本人向けの事業を本格化。来年にはアジア向けの展開に着手する計画で、健康食品や化粧品などの取り扱いも進める意向だ。

 同社の試みは、広告表示等の規制が過剰な日本を拠点に、海外事業を拡大させることは困難という判断によるものだが、他のネット販売事業者でも、同様の動きが出てくる可能性もありそうだ。

 
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