有力各社の次の一手は?「ニッセンHD」―㊤ ネット軸に通販事業強化、店舗など周辺事業も本格化
ネット販売の健闘を背景に通販事業が回復基調を見せるニッセンホールディングス。2010年12月期の通販事業売上高は、前期比0・8%減の1309億5000万円、営業利益は同55・9%増の46億4000万円と、売り上げはわずかにマイナスだったものの、利益面での改善が大きく進んだ。今期の通販事業売上高は1359億円を計画。ベースとなる商品の価格競争力や高付加価値商品の開発力強化などに取り組むと同時に、通販周辺の新規事業にも力を入れる。
通販事業売上高のうち、BtoBなどを除くニッセンの通販売上高は前期比0・3%減の約1250億円と、ほぼ前年並みの水準を維持した。けん引役はネット販売で、前期はほぼ毎月前年をクリアする形で推移。通期の売上高は同6%増の647億円で、特にモバイルは、売上高が2桁増の188億円と好調だった。また、ネット会員数も同14%増の890万人に拡大。女優の香里奈さんのイメージキャラクタ起用など、若年女性層を意識したブランド再構築の取り組みが寄与したもようで、今期はネット売上高で695億円、ネット会員数1000万人突破を目指す。
一方、前期の主要商材の売上高をみると、アパレルが前期比0・4%増、家具・インテリアが同4・6%増と復調。両カテゴリーとも上期は前年を下回っていたが、下期に盛り返した。アパレルは「コンパクトダウン」などの戦略商品が好調に推移。家具・インテリアは、ネット限定商品や「暮らしのデザイン」商品が伸長したという。
「暮らしのデザイン」については、08年に買収したものだが、ニッセンの通販サイトでの商品展開、フルフィルメント関連業務のニッセンへの集約などが奏功し、売り上げ・利益とも順調に推移。販売関連の機能でニッセンの事業基盤を活用し、商品企画などに特化させるという手法は、「今後のM&Aにも参考になる」(ニッセン・佐村信哉社長)とする。
また、ニッセンはこれまで、価格訴求型の戦略を前面に打ち出していたが、「安いだけでは売れなくなった」(同)という。
理由としては、他業態も含めた価格競争が進展する中で、顧客が敏感に反応しなくなっていることなどが考えられるが、一方で、国産の完成品をメーンに比較的高単価の「暮らしのデザイン」商品が順調に推移。アパレルなどでも価格プラスαの要素を持った商品の反応がいいことから、価格プラスαの値頃感を訴求していく意向で、高付加価値商品を提供できる開発力の強化を今期の重点施策のひとつに設定。「商品を安く作れる力を持ちながら、素材などで(顧客に)"これはいいね"と言われるような商品を増やしていきたい」(佐村社長)とする。
同時に、SPAによる価格競争力の強化策として商品調達体制の見直しも進める。現状、アパレルについては9割以上を中国で製造しているが、今後の人件費上昇を睨み、数年後に2、3割程度をベトナムやバングラディッシュで製造できる体制を整備。家具・インテリアでも、インドネシアやマレーシアでの製造を現在の3割程度から5割以上に引き上げる考えだ。(つづく)
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通販事業売上高のうち、BtoBなどを除くニッセンの通販売上高は前期比0・3%減の約1250億円と、ほぼ前年並みの水準を維持した。けん引役はネット販売で、前期はほぼ毎月前年をクリアする形で推移。通期の売上高は同6%増の647億円で、特にモバイルは、売上高が2桁増の188億円と好調だった。また、ネット会員数も同14%増の890万人に拡大。女優の香里奈さんのイメージキャラクタ起用など、若年女性層を意識したブランド再構築の取り組みが寄与したもようで、今期はネット売上高で695億円、ネット会員数1000万人突破を目指す。
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「暮らしのデザイン」については、08年に買収したものだが、ニッセンの通販サイトでの商品展開、フルフィルメント関連業務のニッセンへの集約などが奏功し、売り上げ・利益とも順調に推移。販売関連の機能でニッセンの事業基盤を活用し、商品企画などに特化させるという手法は、「今後のM&Aにも参考になる」(ニッセン・佐村信哉社長)とする。
また、ニッセンはこれまで、価格訴求型の戦略を前面に打ち出していたが、「安いだけでは売れなくなった」(同)という。
理由としては、他業態も含めた価格競争が進展する中で、顧客が敏感に反応しなくなっていることなどが考えられるが、一方で、国産の完成品をメーンに比較的高単価の「暮らしのデザイン」商品が順調に推移。アパレルなどでも価格プラスαの要素を持った商品の反応がいいことから、価格プラスαの値頃感を訴求していく意向で、高付加価値商品を提供できる開発力の強化を今期の重点施策のひとつに設定。「商品を安く作れる力を持ちながら、素材などで(顧客に)"これはいいね"と言われるような商品を増やしていきたい」(佐村社長)とする。
同時に、SPAによる価格競争力の強化策として商品調達体制の見直しも進める。現状、アパレルについては9割以上を中国で製造しているが、今後の人件費上昇を睨み、数年後に2、3割程度をベトナムやバングラディッシュで製造できる体制を整備。家具・インテリアでも、インドネシアやマレーシアでの製造を現在の3割程度から5割以上に引き上げる考えだ。(つづく)