超党派の議員連盟「健康食品問題研究会」の解散以降、表立った活動を休止していたエグゼクティブ会議(事務局・東京都千代田区、駒村純一代表世話役)が活動を再開する。民主党の三井辨雄議員が中心となって近く発足する議員連盟「健康食品を育てる会(仮称)」と連携し、健食の表示制度化を進めるためだ。12月2日には都内で講演会を開催。健食業界関係者約400人が参加した。だが、参加者からは早くも会の行方を不安視する声が上がっており、波乱含みの船出となった。
エグゼクティブ会議は、当面の目標に表示制度化に向けた実現性の高い方策の決定を掲げる。現在、(1)健食新法の制定、(2)薬事法改正を想定しており、議連との意見交換の中で詰める。
(1)については2008年に同会議が素案を発表しており、(2)は過去の薬事法改正で医薬品定義から削除された"食品は除く"の文言が、薬事法規制を受ける原因と捉え再改正をめざすものだ。
活動再開にあたっては、後援団体として日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が新たに参加、共同歩調を取ることになる。また、年会費も10万円から2万円に引き下げ、講演会など個別活動ごとに参加費を徴収する。
同会議は08年末、「健康食品問題研究会」の解散を受けて活動の幅を縮小。ただ、10年以降も月1回幹事会を継続しており、消費者庁の「健康食品の表示に関する検討会」後に同庁が制度改革に着手したことを受けて活動を活発化させた。
◇
講演会や懇親会には4人の議員が出席。あいさつでは、「怪しげな健食を排除する意味でも法整備は必要」(三井議員)、「健食に対する消費者ニーズと現行法にはズレがある」(樋口俊一議員)など力強い発言が飛び出しだ。また、細川律夫厚生労働大臣や牧義夫議員も祝辞を寄せた。
代表世話役の駒村氏も「消費者庁の検討会の結論がまとまり、業界として力を結集しなければならない」とあいさつ。消費者庁が11年に機能性表示の可能性を探る研究に予算要求したことに期待感ものぞかせた。
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だが、検討会が業界に突きつけたのは、むしろ厳しい結論といえる。今の業界に求められているのは、業界団体による自主規制など信頼を獲得する地に足のついた事業活動であり、過去に幾度となく政治的アプローチを繰り返し、まとまりのない業界の姿をさらけ出してきたことを考えても、行政や消費者の頭ごなしに政治活動を展開することが得策と思えない。
また、これまでの活動の成果を検証することも必要だろう。同会議の中心となって活動してきたUBMメディア社の牧野順一氏は、「日本健康・栄養食品協会が団体一本化に踏み出したことで一つの役割は果たした」と評価する。だが、結果として"表示制度化"の本丸には切り込めていない。会費の改訂も、成果を示せない反省からくる消極姿勢と取れなくもない。
さらに、JACDSの参加による影響も不透明だ。背景には、樋口議員がドラッグストアチェーンを全国展開するヒグチ産業社長であることなども影響しているとみられるが、健食の販路は7~8割が通販、訪販が占めるとされる。これら事業者の多くは参加しておらず、"業界総意"を示せる段階にない。新しい団体の参加が、新たな軋轢を生む可能性もある。
講演会でも、その盛り上がりに反し、冷静な見方が少なくなかった。「期待感うんぬんよりやらなければ進まない」(受託製造事業者代表)といった意見はわずか。別の受託製造事業者代表は「JACDSの参加が吉と出るか分からない」と指摘。このほかにも「会を仕切るのはおなじみの顔ぶれ。若い力がなければまだまだ変わらない」(通販事業者)、「ぶれない姿勢が必要。(こうした会は)結局、自社の利益を追い、瓦解することが少なくない」(行政関係者)など厳しい意見が相次いだ。
(1)については2008年に同会議が素案を発表しており、(2)は過去の薬事法改正で医薬品定義から削除された"食品は除く"の文言が、薬事法規制を受ける原因と捉え再改正をめざすものだ。
活動再開にあたっては、後援団体として日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が新たに参加、共同歩調を取ることになる。また、年会費も10万円から2万円に引き下げ、講演会など個別活動ごとに参加費を徴収する。
同会議は08年末、「健康食品問題研究会」の解散を受けて活動の幅を縮小。ただ、10年以降も月1回幹事会を継続しており、消費者庁の「健康食品の表示に関する検討会」後に同庁が制度改革に着手したことを受けて活動を活発化させた。
講演会や懇親会には4人の議員が出席。あいさつでは、「怪しげな健食を排除する意味でも法整備は必要」(三井議員)、「健食に対する消費者ニーズと現行法にはズレがある」(樋口俊一議員)など力強い発言が飛び出しだ。また、細川律夫厚生労働大臣や牧義夫議員も祝辞を寄せた。
代表世話役の駒村氏も「消費者庁の検討会の結論がまとまり、業界として力を結集しなければならない」とあいさつ。消費者庁が11年に機能性表示の可能性を探る研究に予算要求したことに期待感ものぞかせた。
だが、検討会が業界に突きつけたのは、むしろ厳しい結論といえる。今の業界に求められているのは、業界団体による自主規制など信頼を獲得する地に足のついた事業活動であり、過去に幾度となく政治的アプローチを繰り返し、まとまりのない業界の姿をさらけ出してきたことを考えても、行政や消費者の頭ごなしに政治活動を展開することが得策と思えない。
また、これまでの活動の成果を検証することも必要だろう。同会議の中心となって活動してきたUBMメディア社の牧野順一氏は、「日本健康・栄養食品協会が団体一本化に踏み出したことで一つの役割は果たした」と評価する。だが、結果として"表示制度化"の本丸には切り込めていない。会費の改訂も、成果を示せない反省からくる消極姿勢と取れなくもない。
さらに、JACDSの参加による影響も不透明だ。背景には、樋口議員がドラッグストアチェーンを全国展開するヒグチ産業社長であることなども影響しているとみられるが、健食の販路は7~8割が通販、訪販が占めるとされる。これら事業者の多くは参加しておらず、"業界総意"を示せる段階にない。新しい団体の参加が、新たな軋轢を生む可能性もある。
講演会でも、その盛り上がりに反し、冷静な見方が少なくなかった。「期待感うんぬんよりやらなければ進まない」(受託製造事業者代表)といった意見はわずか。別の受託製造事業者代表は「JACDSの参加が吉と出るか分からない」と指摘。このほかにも「会を仕切るのはおなじみの顔ぶれ。若い力がなければまだまだ変わらない」(通販事業者)、「ぶれない姿勢が必要。(こうした会は)結局、自社の利益を追い、瓦解することが少なくない」(行政関係者)など厳しい意見が相次いだ。