通販専門放送を行うジュピターショップチャンネルは1月24日、昨年12月に販売した寝具の中綿素材についての表示に誤りがあったとして購入者全員に返金すると発表した。

　寝具など製造販売を手がけるAQUAから仕入れを行い、販売した掛布団「東レ　ファイヤーテックボール　保温コンフォーター　あったか掛けふとん」で、中綿に採用する素材についてAQUAと東レが共同開発した「特殊繊維ファイヤーテックボール」と表示していたが、実際には中綿使用素材を東レと共同開発した事実はなく、また、「ファイヤーテックボール」も東レの素材名ではなかった。

　AQUAの藤井裕士社長によると、実際に東レ側と22年12月から23年12月かけて中綿に使用する独自原綿の企画を進めていたが、最終的に当該企画が完了しないまま、またそれを確認しないまま、問題となった商品の製造に着手したことに加え、製造委託先の中国の協力工場で当該商品を製造する際に、AQUAの別製品で使用し、在庫していた東レのものでない別の人工羽毛を使って製造してしまっていたという。また、「ファイヤーテックボール」という素材名もAQUAが独自に命名したもので東レの素材名ではなかったという。当該商品をショップチャンネルが販売した後に、東レからの指摘を受けて問題が発覚した。

　ショップチャンネルによると昨年12月27日に「社内調査の結果、東レと共同開発された中綿を使用しておらず、また、東レと共同開発したという事実もないにも関わらず、『東レ株式会社様と開発した特殊繊維ファイヤーテックボールを中綿に使用した掛け布団』という誤った表示をしていたことが判明した」との報告をAQUAから受けて当日中に当該商品の販売を中止したという。また、購入者全員に表示の誤りについて説明した書面の送付を行い、全額返金対応を始めた。返品希望者には返品送料を負担する。なお、当該寝具に使用している中綿は東レのものとは別のメーカーの人工羽毛だが、販売時に訴求していた機能性等の情報に誤りはないという。

　ショップチャンネルは「AQUAに対して厳重に抗議するとともに同社との取引を停止した」(同社)とし、「販売前の確認が至らず、お客様、東レ様にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げる。今後は仕入れ時のチェックなどをより体制管理体制をより強化して再発防止を図っていく」(同)としている。

　製造元のAQUAは「中綿素材の企画の進捗、協力工場への指示などのすべて当社が確認を行ったことと管理不行き届きが原因。お客様、ジュピターショップチャンネル、東レに多大なご迷惑をおかけしたお詫び申し上げます。今後は商品を企画し発注する際に素材を仕入れる素材メーカーと製品製造を委託する協力工場にすべて文書でスペックや品番を確認してから進め、また、指定した素材がきちんと素材メーカーから製造工場に納品されたことを両方から報告書や証明書を提出頂き、当社でも商品部や営業部とは別の管理本部という管理部門で確認することにする。メーカーが商標などの持つ素材を使用した商品で、その素材を訴求する場合は都度、相手側に確認をするなど管理体制を見直して再発防止と信頼回復に努めていく」(藤井社長)とした。

　東レは「当社社名を事実と異なった形で利用した販売方法について、AQUA社とジュピターショップチャンネル社に強く抗議し、再発防止策を申し入れた。お客様におかれましても、十分なご注意をお願いいたします」(同社)としている。

　問題の商品である「東レ　ファイヤーテックボール掛けふとん」(シングル、セミダブル、ダブルの3サイズ展開)はAQUAが企画製造し、ショップチャンネルのみに卸販売を行った寝具で、ショップチャンネルは昨年12月13日から同社通販サイトで販売を開始し、同15日には運営する通販専門チャンネル「ショップチャンネル」の番組で紹介、テレビ通販を行った。販売を中止する同27日までに合計1629個を販売していた。

　なお、AQUAでは当該商品とは別に、同様の経緯で東レの素材ではない中綿を使用して製造しながら、「東レ株式会社様と共同開発した高機能素材AQUA DOWN(アクアダウン)を使用した製品」など広告表示を行って販売していた「mofua羽毛に劣らない保温力のAQUA DOWN 人工羽毛(疑似羽毛)掛け布団」という自社サイトや出店する仮想モールなどで直販を行っていた直販用布団についても実際には東レとの共同開発の事実はなく、東レの製品である中綿を使用しておらず、「AQUA DOWN」も東レの素材名でなく、広告で表示した性能評価も一部に誤りがあったと1月27日に発表しており、AQUAが当該商品の購入者全員に返金対応を行うとしている。