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ビーツ・柏木社長、店舗でのブランド体験を重視 「OMOは韓国に学ぶべき」

2025年 1月23日 12:00

 ビーツは、実店舗の空間デザイン・施行からDX化まで、OMOを店舗側で取り組む〝オフラインオーガナイザー〟として存在感を高めているようだ。

 2023年6月に、TSIECストラテジーの社長やトランスコスモスで常務執行役員を務めた柏木又浩氏(=写真)が社長に就任して以降は、オフラインでの顧客体験をより豊かにするための協業などを加速。同年8月には、Z世代から支持されている韓国発のアパレルECプラットフォーム「nugu(ヌグ)」を運営する韓国メディコトス社と戦略的業務提携を結び、「nugu」の日本本格展開に当たって開設した常設店2店舗(ルミネエスト新宿店、ルクア大阪店)の施行を担当した。

 昨年5月には、「nugu」と現代百貨店が組み、渋谷パルコのイベントスペース(約56㎡)で韓国のファッションブランドを1週間ごとに入れ替えて紹介するポップアップを開催。記録的な売り上げとなったが、ビーツはポップアップの店舗デザインを手がけたほか、施設側との出店交渉にもかかわった。

 ビーツが韓国企業との連携を強めるのは、ファッションやビューティ領域でリアル店舗に対する投資の考え方が日本企業とは異なるからだ。世界的に見ても日本では店舗に対する投資が少ない一方、韓国では店頭からのSNS発信を前提にした店舗作りをしているという。

 例えば、韓国発の人気サングラスブランド「ジェントルモンスター」は昨年3月、東京・表参道にフラッグシップストアを開設し、入り口には巨大な顔型のオブジェ3体が出迎えるなどインパクトは抜群。また、隣接する韓国のコスメブランド「タンバリンズ」も商品とアート作品をディスプレイして世界観を使える独特の見せ方をしている。

 「実店舗でのブランド体験を増幅させるためにオンラインメディア、SNSがあり、ECチャネルがある。日本よりもブランド体験に重きを置いたOMO戦略が韓国ブランドの特徴で、日本企業も韓国に学ぶべき」(柏木社長)とする。

 上質なブランド体験を提供できる店舗を日本でも実現するため、ビーツは昨年11月にラグジュアリーブランドへの人材派遣やデジタルマーケティング、店舗運営代行などのソリューションを提供するワールド・モード・ホールディングス(WMH)と業務提携した。

 併せて、ニューヨークを拠点とするデザインファームのリンゴスタジオ社、ボンド社と日本市場におけるパートナーシップを締結した。「ブランドをしっかり発信できる店舗を作るには、ソーシャルメディアを理解している空間デザイナーが必要」(柏木社長)とし、今後は革新的な空間デザインを作るデザインファームと日本のブランドをつないでいく考えだ。

 一方、ブランドのECチャネルについては、配送運賃の高騰で企業の負担が増える中、「EC注文商品の店舗受け取りにドライブをかけるタイミングがきている。これと店舗でブランド体験を増幅させる取り組みをセットで進めるべき」(柏木社長)とする。

 店舗受け取りで実店舗への送客力を高めるとともに、店頭での体験価値を高めることでユーザーのSNS発信が増え、ECと店舗利用が増えるという好循環を作ることが、コロナ明け以降、ECチャネルが低迷するブランドの次の一手になるという。
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