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7割が「影響あり」で対策【「物流24年問題」本紙アンケート調査】 運賃交渉や委託先見直しを実施

2024年 9月12日 12:00

 通販新聞社は7月、通販実施企業を対象に「物流2024年問題」についてのアンケート調査を行った。それによると、回答企業の約7割が「影響あり」と回答した。対策をしている企業は9割に上り、配送会社との運賃交渉や運送費の値上げ、配送会社の見直しなどを行っていることがわかった。

 アンケートでは「物流2024年問題」の影響について、選択肢から選んでもらった(複数回答)。最多だったのは「物流コストの増加」で、次いで「配送リードタイムが伸びた」、「配送スケジュールの見直し」、「運送会社の立場が強くなり交渉が不利に」、「従業員の負担増」、「人件費の増加」と続いた。「価格や配送スケジュールへの転嫁するタイミングがくる」(ナッシュ)など危機感を示すコメントがあった。

 対策したと回答した企業には実施内容について、選択肢から選んでもらった(複数回答)。最も多かったのは「配送会社と運賃交渉」だった。次いで「運送費の値上げ(受け入れ)」と「配送会社の見直し」が並んだ。このほか、「混載配送の活用」となった。

 また、「その他」を選んだ企業からはさまざまな取り組みが挙げた。具体的には「まとめ買いの誘導で客単価をあげる」(あじかん)「配送の集約、DM発送のスケジュールの見直し」(アプロス)、「ラストワンマイルにおける労働時間のコントロールを実施。配送コースの変更や構想道路補助金などを実施した。調達物流においても納品時間や価格について主要取引先へヒアリングを行い、同様の対応をした」(オイシックス・ラ・大地)、「会員生協宅配の物流の比率拡大」(日本生活協同組合連合会)などがあった。

 また「今秋、コストアップする予定」(ヤマサキ)、「これまでお客様負担がゼロだった商品発送費用を有料化した」(再春館製薬所)などもあった。「置き配の導入準備」(第一三共ヘルスケアダイレクト)や「配送日指定のシステムへ改修」(ロッピングライフ)など、再配達削減に向けた取り組みもみられた。

 このほか「自社での配送内製化。陸運に依存しきらず、空輸を活用した配送モデルを構築した」(ナッシュ)などの回答もあった。

 ただ、「物流29024年問題」は通過点に過ぎず、今後はさらに物流分野で人手不足に伴うさまざまな問題が発生するといわれる。今後に向けた対策を実施しているのは約5割だった。

 アスクルはラストワンマイルを意識した商品開発やバース予約システムの導入、置き配のデフォルト化などさまざまな対応を行っており、「2030年問題も見越して取り組んでいるもの」(アスクル)とした。

 今後の対策について、再配達削減に向けた取り組みをさらにすすめる。「再配達の抑制、配送回数の削減」(ファンケル)、「ゆうパケットの導入、ゆうパケットに合わせた商品開発、置き配の検討、その他市場調査」(ヤマサキ)、「DMの効率化。届時間が記載できるはがきの拡大、配送会社提供のLINEアプリの導入」(アプロス)などの回答があった。

 調達物流や物流拠点を含めた全体の見直しも進む。「配送リードタイムや納品回数の再検討」(ユナイテッドアローズ)、「機械化による省人化、物流拠点の見直し、効率化」(アダストリア)、「ロボット化による効率化に向けた準備」(第一三共ヘルスケアダイレクト)、「会員生協に物流の比率拡大や事業間の共同調達対応など」(日本生活協同組合連合会)があった。

 コスト削減への取り組みにも注力する。「客単価を上げ、物流、手数料のコストを抑制する。ウェブへの誘導でコスト削減もすすめる」(あじかん)、「送料有料化、一般配送のモーダルシフト、併せ買いの促進」(再春館製薬所)などの回答があった。

 また、今後の人手不足に伴うさまざまな問題の発生を懸念した対応もあった。「若手社員の採用を拡大した」(ニッピコラーゲン化粧品)、「取引先の物流会社から情報を集めている段階」(ヒラキ)、「幅広い物流企業とつながれる仕組み、体制作り」(山善)などのコメントもあった。

 
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