小林製薬製造の「紅麹」を配合した機能性表示食品で腎疾患が発生した問題で、政府は3月29日、対応を協議する関係閣僚会合を開いた。小林製薬が通常の製品ではみられない「想定していない成分」として発表していた成分は、「プベルル酸」と同定された。厚生労働省は今後、「プベルル酸」を含め、原因物質となりえる成分の分析を行う。
厚労省は、国立医薬品食品衛生研究所とともに小林製薬の「紅麹」原料ロットの分析を行う。小林製薬も情報提供する形で協力する。
これまでに小林製薬製造の「紅麹」を配合する製品の健康被害状況は、入院症例は100件を越えている。相談件数は、3万件を越えているという。
厚生労働省は3月27日、大阪市の保健所を通じて、紅麹を含む小林製薬販売の3製品について、食品衛生省第6条第2号(販売禁止)に基づく回収命令を出した。小林製薬製造の「紅麹」原料を使用する事業者のべ225社(小林製薬から直接原料供給を受けた企業や、卸会社を通じて入手している企業)に対しては、「小林製薬の製品と同等量以上の紅麹を含む製品(1日あたりの摂取量)」、過去数年の間に「医師からの健康被害が1件以上報告された製品」について、自主点検と結果報告を要請した。また、関係省庁の対応を一体的に行うため、対策室を設置した。
消費者庁は、小林製薬が販売する紅麹を含む機能性表示食品8製品について、4月5日までに安全性の科学的根拠の再検証と報告を求めた。また、小林製薬以外の届出約7000製品を販売する約1700社に対しても「医師からの健康被害情報の有無」、「届出事項である健康被害の情報収集体制が機能しているか(実効性)」について、4月12日までに確認と報告を求めた。
小林製薬は、1月に医師から1件の症例報告を受けた。2月初旬に別の医師からの報告や本人の申し出により5件の症例を把握し、対応の協議を開始。機能性表示食品の届出成分である「米紅麹ポリケチド」や有害成分「シトリニン」含有の可能性、異物混入、アレルギー反応を想定して検証を行っていた。2月初旬に小林章浩社長に報告。小林社長は、「自主回収になると思った」とするが、実際の回収は、それから2カ月を要した。
消費者庁や取引先への報告は自主回収を公表した3月22日の記者会見直前。対応の遅れに関する批判がある。
機能性食品のみ実施、トクホは「国許可」でも総点検なし
<消費者庁の届出総点検>
消費者庁は小林製薬製造の「紅麹」の問題を受け、4月12日までに届出全製品約7000、約1700社に健康被害情報の総点検を求めた。3月28日の定例会見で新井ゆたか長官に聞いた。
ーー因果関係はどう捉えている。
「小林製薬から状況はヒアリングしているが、まだ半ば。5日に原因分析についてさらに聴取したい」
ーー現時点ではっきりしない。
「当庁としては厚生労働省、小林製薬等による原因追及に参加していく形で、現時点で明確に承知していない」
ーー原因究明はこれから。その段階で機能性表示食品のみ総点検するのはあまりに厳しい判断と思う。どう捉えている。
「厳しい判断ということではない。消費者からの信頼を確保することが所管庁としての考え方。被害情報の収集など届出事項を改めて確認するものであり、新しいことを要求しているわけではない。緊急を要することもあり、質問事項も絞っている」
ーー以前、トクホで花王の食用油「エコナ」の安全性問題が起きた。その時も消費者庁としてトクホ全製品を確認したのか。
「制度が異なる。トクホは1件ごとに審査しているので、製品を特定することになるが、今回は各商品ではなく、届出事項が適切に運用されているかをチェックするということ」
ーートクホは国が許可している。安全性に懸念があるのであれば、消費者庁として確認したのか。
「過去の事例は調査して答えるが、基本的に制度が違う。機能性表示食品は、事業者が自主的に届出し、その内容を守ってもらう。適切な運用かチェックすることはあり得る」
ーー具体的なヒアリング項目は。
「健康被害の収集体制、安全性や機能性の根拠は届出事項。医師から重篤な被害報告を受けた事案の有無、ある場合は適切な対応が行えているか尋ねた。集計結果は公表する」
ーー制度の見直しは検討しているか。
「まずは総点検の状況を確認する。様々な意見は承知しており、これを踏まえて検証する」
厚労省は、国立医薬品食品衛生研究所とともに小林製薬の「紅麹」原料ロットの分析を行う。小林製薬も情報提供する形で協力する。
これまでに小林製薬製造の「紅麹」を配合する製品の健康被害状況は、入院症例は100件を越えている。相談件数は、3万件を越えているという。
厚生労働省は3月27日、大阪市の保健所を通じて、紅麹を含む小林製薬販売の3製品について、食品衛生省第6条第2号(販売禁止)に基づく回収命令を出した。小林製薬製造の「紅麹」原料を使用する事業者のべ225社(小林製薬から直接原料供給を受けた企業や、卸会社を通じて入手している企業)に対しては、「小林製薬の製品と同等量以上の紅麹を含む製品(1日あたりの摂取量)」、過去数年の間に「医師からの健康被害が1件以上報告された製品」について、自主点検と結果報告を要請した。また、関係省庁の対応を一体的に行うため、対策室を設置した。
消費者庁は、小林製薬が販売する紅麹を含む機能性表示食品8製品について、4月5日までに安全性の科学的根拠の再検証と報告を求めた。また、小林製薬以外の届出約7000製品を販売する約1700社に対しても「医師からの健康被害情報の有無」、「届出事項である健康被害の情報収集体制が機能しているか(実効性)」について、4月12日までに確認と報告を求めた。
小林製薬は、1月に医師から1件の症例報告を受けた。2月初旬に別の医師からの報告や本人の申し出により5件の症例を把握し、対応の協議を開始。機能性表示食品の届出成分である「米紅麹ポリケチド」や有害成分「シトリニン」含有の可能性、異物混入、アレルギー反応を想定して検証を行っていた。2月初旬に小林章浩社長に報告。小林社長は、「自主回収になると思った」とするが、実際の回収は、それから2カ月を要した。
消費者庁や取引先への報告は自主回収を公表した3月22日の記者会見直前。対応の遅れに関する批判がある。
機能性食品のみ実施、トクホは「国許可」でも総点検なし
<消費者庁の届出総点検>
消費者庁は小林製薬製造の「紅麹」の問題を受け、4月12日までに届出全製品約7000、約1700社に健康被害情報の総点検を求めた。3月28日の定例会見で新井ゆたか長官に聞いた。
ーー因果関係はどう捉えている。
「小林製薬から状況はヒアリングしているが、まだ半ば。5日に原因分析についてさらに聴取したい」
ーー現時点ではっきりしない。
「当庁としては厚生労働省、小林製薬等による原因追及に参加していく形で、現時点で明確に承知していない」
ーー原因究明はこれから。その段階で機能性表示食品のみ総点検するのはあまりに厳しい判断と思う。どう捉えている。
「厳しい判断ということではない。消費者からの信頼を確保することが所管庁としての考え方。被害情報の収集など届出事項を改めて確認するものであり、新しいことを要求しているわけではない。緊急を要することもあり、質問事項も絞っている」
ーー以前、トクホで花王の食用油「エコナ」の安全性問題が起きた。その時も消費者庁としてトクホ全製品を確認したのか。
「制度が異なる。トクホは1件ごとに審査しているので、製品を特定することになるが、今回は各商品ではなく、届出事項が適切に運用されているかをチェックするということ」
ーートクホは国が許可している。安全性に懸念があるのであれば、消費者庁として確認したのか。
「過去の事例は調査して答えるが、基本的に制度が違う。機能性表示食品は、事業者が自主的に届出し、その内容を守ってもらう。適切な運用かチェックすることはあり得る」
ーー具体的なヒアリング項目は。
「健康被害の収集体制、安全性や機能性の根拠は届出事項。医師から重篤な被害報告を受けた事案の有無、ある場合は適切な対応が行えているか尋ねた。集計結果は公表する」
ーー制度の見直しは検討しているか。
「まずは総点検の状況を確認する。様々な意見は承知しており、これを踏まえて検証する」