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パピー 「コアバリュー」浸透図る【月商1億円への道①】 SKU数も20倍に拡大目指す

2023年 9月14日 12:00

 楽天グループでは昨年、有名店舗が講師となり、他の出店店舗にネット販売に関するノウハウを伝授する企画「NATIONS(ネーションズ)」において、参加店舗が月商1億円を目指すプログラム「スーパーアドバンス」を新設した。第1回の講座は、昨年12月~今年7月にかけて開催され、11店舗が参加。講座回数は全12回で、対面での勉強会と「ZOOM」によるオンライン講座のハイブリッドで実施した。

 プログラムの内容は、自社における会社の構成や業務フロー、組織を見直し、会社や組織を再構築・強化しながら、3~5年後に月商1億円の達成を目指すというもの。

 「BABYGOODS FACTORY」を運営するパピーは赤ちゃんの歩行を補助する器具など、幼児向け玩具・遊具を製造するメーカー。楽天市場には2015年に出店、18年にネーションズへ参加したことをきっかけにECを軌道に乗せたという経緯がある。犬飼翔太社長は、昨年12月に開催された勉強会での本紙取材に対し、従来は家族経営だったものが、業容拡大に伴い従業員を雇ったことで、さまざまな齟齬(そご)が出てきたことを明かした上で、「働いているのが家族だけなら、繁忙期は夜中まで仕事しても問題はないが、従業員を抱えると無茶なことはできない。また、従業員のモチベーションを保ってもらうのも難しい。スーパーアドバンスに参加すれば、現状の壁を超えられるのではないか」とコメントしていた。

 同社の月商は約2000万円。約半年の勉強会を経て、月商1億円への道筋は見えてきたのか。犬飼社長は「ECにおけるレジェンドクラスの経営者の人たちや、楽天において人事や文化活動を推進する部署の人たちの話が聞けて、非常に刺激となった」と話す。

 犬飼社長はまず「ミッション・ビジョン・コアバリュー」を意味する「MVC」を制定。ミッションとしては「『楽しく暮らす』を実現する」、ビジョンは「子育てするママ・パパの”思いやりをカタチに”」を標ぼう、さらにはコアバリューとして「まっすぐやろう」「自分の言葉で熱く語ろう」「学びと成長を追求しよう」「笑顔と感動を生み出そう」の4つを掲げた、

 また、MVCに紐づく社員の評価制度を策定中だ。「会社が向かっている方向性に寄与する行動を評価する。あるいは、MVC自体はかなり抽象的なので、ある程度定量性を持たせるために目標設定をして従業員を評価したい」(犬飼社長)。業績向上につながる目標を決めるために、1年間かけて評価制度を作っていく予定という。

 同社の従業員はパートの主婦が多い。そこで、限られた時間でも作業がしやすい商品登録作業の専門部隊を作り、事務所も埼玉県久喜市に設けた。「外注という選択肢もあったが、内製化することで商品に対する意見を聞けるところに大きな価値がある」(同)。また、「ギフトショー」などの展示会にも積極的に足を運んでもらうことで、ベンダーの拡大にも一役買ってもらう予定だという。

 月商1億円という目標に向けて、同社にとって喫緊の課題となっているのが商材の拡大だ。サイト名のとおり、ベビー用品を中心に、オリジナル商材と仕入れ商材を販売してきた同社。だが「子供向け商材の幅を広げてきたが、購入者は子育て世代のパパ・ママが多い。こうした人たちが喜ぶ商材、例えばおしゃれな炊飯器なども扱うようになったきた」。3000SKUからスタートし、現在の商品数は約1万SKU。1年後には6万SKUまで拡大したい考えだ。

 とはいえ、ギフトショーのような大規模な展示会をターゲットにしているだけでは、競合他社と商材が被る。犬飼社長は「ただ商材の数を増やすだけでは、月商1億円という目標は達成できない。商材の質と量を兼ね備えるためには、ローカルな展示会にもこまめに足を運ばなければいけないと思っている」と話す。(つづく)
 
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