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コカ・コーラウエスト(コカ・ウエスト=本社・福岡市東区、吉松民雄社長)は8月30日、同日開催した取締役会で、キューサイ(同・福岡市中央区、藤野孝社長)を買収することを決議したと発表した。「青汁」などの健康関連商品の製造・販売を手掛けるキューサイの商品開発力に着目したもので、10月をメドに同社の発行済み全株式を約360億円で取得し、完全子会社化する。コカ・ウエストではキューサイを傘下におさめることで、健康分野への対応を強化。健康飲料の開発など本業の飲料事業を中心にシナジー効果を追及していく構えだ。
コカ・ウエストによると、今回の買収話はキューサイの株式を保有するファンドから打診があったもの。同社では、かねてから健康分野への参入を検討しており、「(通販の)顧客基盤や商品開発力があり、総合的に可能性を検討してキューサイの株式取得を決めた」(事業開発部)という。
10月1日付でNIF―JIP投資事業組合等のファンドなどが保有する全株式(30万2755株)を359億2200万円で取得。コカ・ウエストからキューサイに役員を派遣する予定だが、「基本的には現経営陣に事業を運営してもらう」(同)としており、既存の通販事業などについても、大きく変える考えはないとする。
具体的な連携策などについては、「これからキューサイと協議していくことになる」(同)が、同社の吉松社長は会見で、「中長期的には健康飲料の開発などで相乗効果を出したい」と発言しており、本業である飲料事業の強化で、「青汁」や「ヒアルロン酸コラーゲン」を展開するキューサイの商品開発力が活かせるとみているようだ。
青汁を中心に食品通販を手がけるキューサイは2006年10月、株式の非公開による柔軟かつ機動性のある事業展開を狙いに、経営陣による企業買収(MBO)を実施。ヘアケア分野への参入のほか、置きサプリメントや介護食宅配など、事業の多角化に取り組み、09年10月期の単体売上高は207億7300万円としている。
キューサイは、コカ・ウエストによる子会社化について、「まだ契約を締結した段階で、具体的な方向性の話し合いはこれから」(広報担当)としながらも、「コカ・コーラグループの高いブランド力やネットワークの活用が期待できる」(同)としており、今後の事業展開にプラスになると見ているようだ。
コカ・ウエストが主戦場とする飲料市場は商品の改廃が早く、競争も激しい。その意味では、キューサイの商品開発力が活かせる場面は多いと言えるが、キューサイが主力とする通販事業で具体的なシナジー効果が得られるかは不明。自販機や小売店ルートで不特定多数の顧客を相手にする飲料と、特定の顧客の定期購入をベースとする健食通販では、販売戦略などが全く異なるためだ。この点については、コカ・ウエストも認識しているもようで、キューサイの事業運営を現経営陣に任せるのも、その表れと言える。