前号に引き続き、東日本旅客鉄道(JR東日本)が手がける仮想モール「JRE MALL」の運営チーム責任者の佐野太次長に、今後のEC事業の展望や、10月に発表した千趣会との資本業務提携の狙いなどについて聞いた。
ーー千趣会との資本業務提携の狙いとは。
「駅や駅ビルを使っている我々の顧客はそのサービスをいくつかのタイミングで使わなくなる時がある。その一つが『出産』で、どうしても通勤を一時的にしなくなったり、買うものが以前と変わっていくということがある。我々の感覚論もあるが、駅を利用されない期間がそこに生じる。逆に千趣会さんでは産婦人科にカタログを置いて新規開拓をしているということも聞く。
『JRE POINT』で目指しているのは、生涯当社の顧客でいてもらいたいという、ライフタイムバリューを目指している。つまり、我々の顧客がサービスを利用しなくなるタイミングが、千趣会さんのサービスを利用し始めるタイミング。そして、(産休・育休後に)通勤が始まって鉄道・駅に戻ってくるタイミングで、顧客の関心もまた別のサービスに移るので、そこで互いの会員を相互連携していくということが今回の提携の大きなポイントとなっている。
また、JRE POINTも今は1000万人以上の会員組織になっている。千趣会さんの場合は非常に長くビジネスをやられており、約1500万人の会員ベースがある中で、年間での購入者数は240万人もいると聞く。そういった会員と連携するということで、我々も非常に地盤を強くすることができる。
そして、そうは言っても最近では駅や駅ビルに子育て中の人も増えてきている。しかし、駅では共働きで時間が足りないという人向けのサービスがそこまで充実していない面がある。そうしたところを一緒に事業として作っていければ」
ーー千趣会との今後の連携の流れとしては。
「まずはJRE MALLへの出店。その延長で、オリジナル商品開発も考えているし、会員の接続も目指している。例えば千趣会さんの会員にこちらから何がしかの案内を送って、JRE MALLの千趣会さんの店舗に来てもらうなど。また、これはカード戦略になるが、千趣会さんのサイトに『ビューカード』にもう少し特典を追加して決済ができるようになると、『ベルメゾン』で買ってもJRE POINTがよく貯まるということにもなり、また、例えば貯まったポイントが千趣会さんのお買物券に交換できるとなれば、千趣会さんにも送客できることとなる。会員を連携させることで、互いのサイトでの買い物がお得だということになり、相互送客ができてwinwinの関係になれる」
ーーモールへの新規出店者の開拓については。
「我々は加盟店と呼んでいるが、今はチームを増やして加盟店営業をかなり強化しているところ。まだまだ、モール内のMD面で足りないところはたくさんあるので力を入れて誘致していく。今はD2Cが強くなってきている。千趣会さんもそうだが、商品を自分たちで作って自分たちで売っているところ、商品開発力があるところなどに対して主にお声がけしている」
ーーまた、10月末にはモール内でふるさと納税も開始する。
「ふるさと納税は約40自治体からスタートできるところまできた。イメージだがJR東日本と地域の自治体とは親和性があり、特に沿線自治体などはある意味、非常に期待をされているところだと思っていた。そこに対して、我々の顧客にふるさと納税をPRするということは非常に効果もあるのでは。目玉事業として捉えている」
ーーコロナ禍で鉄道事業には大きな影響があった。今後、通販事業に期待する役割とは。
「一言でいえば、デジタルトランスフォーメンション(DX)の核になるということ。ネット通販を純粋に拡大していくということもあるし、駅ビル・駅をDX化していくツールとしても考えている。店頭で商品を見てその場で買うだけが今のスタイルではないので、多様な買い物の仕方に応えたい。
リアルと連携することで、JRE MALLで買うのが一番お得だという世界を作っていければ、当社としてはリアルで顧客が離れてしまった分をきちんとネットでフォローできる。合わせて店頭受け取りの予約サービスももっと発展させたい。今は『ネットでエキナカ』のリードタイムが長くて、2日、3日前の予約となるが、朝頼めば夜には用意されているというくらいの感覚まで縮めていくことだと思う。そうすることで、駅は元々便利な場所なので、ネットとの役割をうまく構築できていればリアルにも顧客が戻ってくるし、ネットサービスも大きくなるのでは。こういったことを総称してDXと言ってまとめている」
ーー今後の計画値については。
「2022年度にはJRE MALLでの取扱額100億円の達成を目指しており、2026年には取扱額2000億円を目指していく」(おわり)
ーー千趣会との資本業務提携の狙いとは。
「駅や駅ビルを使っている我々の顧客はそのサービスをいくつかのタイミングで使わなくなる時がある。その一つが『出産』で、どうしても通勤を一時的にしなくなったり、買うものが以前と変わっていくということがある。我々の感覚論もあるが、駅を利用されない期間がそこに生じる。逆に千趣会さんでは産婦人科にカタログを置いて新規開拓をしているということも聞く。
『JRE POINT』で目指しているのは、生涯当社の顧客でいてもらいたいという、ライフタイムバリューを目指している。つまり、我々の顧客がサービスを利用しなくなるタイミングが、千趣会さんのサービスを利用し始めるタイミング。そして、(産休・育休後に)通勤が始まって鉄道・駅に戻ってくるタイミングで、顧客の関心もまた別のサービスに移るので、そこで互いの会員を相互連携していくということが今回の提携の大きなポイントとなっている。
また、JRE POINTも今は1000万人以上の会員組織になっている。千趣会さんの場合は非常に長くビジネスをやられており、約1500万人の会員ベースがある中で、年間での購入者数は240万人もいると聞く。そういった会員と連携するということで、我々も非常に地盤を強くすることができる。
そして、そうは言っても最近では駅や駅ビルに子育て中の人も増えてきている。しかし、駅では共働きで時間が足りないという人向けのサービスがそこまで充実していない面がある。そうしたところを一緒に事業として作っていければ」
ーー千趣会との今後の連携の流れとしては。
「まずはJRE MALLへの出店。その延長で、オリジナル商品開発も考えているし、会員の接続も目指している。例えば千趣会さんの会員にこちらから何がしかの案内を送って、JRE MALLの千趣会さんの店舗に来てもらうなど。また、これはカード戦略になるが、千趣会さんのサイトに『ビューカード』にもう少し特典を追加して決済ができるようになると、『ベルメゾン』で買ってもJRE POINTがよく貯まるということにもなり、また、例えば貯まったポイントが千趣会さんのお買物券に交換できるとなれば、千趣会さんにも送客できることとなる。会員を連携させることで、互いのサイトでの買い物がお得だということになり、相互送客ができてwinwinの関係になれる」
ーーモールへの新規出店者の開拓については。
「我々は加盟店と呼んでいるが、今はチームを増やして加盟店営業をかなり強化しているところ。まだまだ、モール内のMD面で足りないところはたくさんあるので力を入れて誘致していく。今はD2Cが強くなってきている。千趣会さんもそうだが、商品を自分たちで作って自分たちで売っているところ、商品開発力があるところなどに対して主にお声がけしている」
ーーまた、10月末にはモール内でふるさと納税も開始する。
「ふるさと納税は約40自治体からスタートできるところまできた。イメージだがJR東日本と地域の自治体とは親和性があり、特に沿線自治体などはある意味、非常に期待をされているところだと思っていた。そこに対して、我々の顧客にふるさと納税をPRするということは非常に効果もあるのでは。目玉事業として捉えている」
ーーコロナ禍で鉄道事業には大きな影響があった。今後、通販事業に期待する役割とは。
「一言でいえば、デジタルトランスフォーメンション(DX)の核になるということ。ネット通販を純粋に拡大していくということもあるし、駅ビル・駅をDX化していくツールとしても考えている。店頭で商品を見てその場で買うだけが今のスタイルではないので、多様な買い物の仕方に応えたい。
リアルと連携することで、JRE MALLで買うのが一番お得だという世界を作っていければ、当社としてはリアルで顧客が離れてしまった分をきちんとネットでフォローできる。合わせて店頭受け取りの予約サービスももっと発展させたい。今は『ネットでエキナカ』のリードタイムが長くて、2日、3日前の予約となるが、朝頼めば夜には用意されているというくらいの感覚まで縮めていくことだと思う。そうすることで、駅は元々便利な場所なので、ネットとの役割をうまく構築できていればリアルにも顧客が戻ってくるし、ネットサービスも大きくなるのでは。こういったことを総称してDXと言ってまとめている」
ーー今後の計画値については。
「2022年度にはJRE MALLでの取扱額100億円の達成を目指しており、2026年には取扱額2000億円を目指していく」(おわり)