ショップチャンネルのパックごはん、年間3万個販売のヒットに【ヒット商品の舞台裏㊤】 「段違いのおいしさ」で差別化
2020年 4月23日 12:00
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17年4月の発売以降、売れ行きを伸ばし19年には2万7600セットを売り上げるほどのヒット商品となっているパックごはん「北アルプスの天然水仕立て ふんわりごはん 富山県入善町のこしひかり」(=写真)を手掛けた同社で食品分野のバイヤーを担当する梅田志保氏によると以前はJSCではパックごはんは取り扱っていなかったという。
パックごはんは電子レンジで温めるだけで食べることができる手軽で便利な食品で保存性も高く、ニーズもあるものの、同社の中心顧客は年配の女性層。米にこだわりを持つ人が多く、味がどうしても劣るパックごはんでなく「米は炊いて食べたい」という人が少なくなく、また、パックごはん自体はスーパーマーケットなどで広く販売されている商材であることなどから、あえて同社で販売する必然性がないと考えていたようだ。
それでも梅田氏がパックごはんを手掛けることにしたのは「生活をしている上で要所要所で”ちょっとした時”が出てくるわけで、そんな時に炊かずにごはんを食べることができるパックごはんは便利。これからは特にそうしたニーズが増すはず。ビジネス的に考えても保存がきくために多くあっても困らずたくさん購入頂けやすく、大きく拡販が可能になる」(梅田氏)ことなどからだ。
とはいえ、販売を始めるには越えなければならない点があった。1つは数多ある競合品との差別化だ。梅田氏は手軽さや便利さという利点があってもパックごはんを買わない年配層を動かす最大のポイントは”味”にあると考えた。そこで梅田氏は様々なパックごはんを試食することした。その中で、「段違いにおいしい」と思ったのが富山県内の道の駅などに限定して販売していたウーケというメーカーが作ったパックごはんだった。早速、連絡をとってみるとその「段違いのおいしさ」の秘密がわかった。同商品は神戸に会社を構える日本有数の米問屋である神明の社長が米のプロフェッショナルとして「日本一のパックごはん」を目指し作り上げた商品だった。
「米は水が大事」とよい水を求めて全国を歩き、行きついた富山の黒部川の湧水。そして平成30年度米の食味ランキングで特Aランクにも認定された富山県産コシヒカリの中でも特においしいというその黒部川湧水で育てた生産数も少ない入善町で収穫された希少なコシヒカリ。さらにその惚れ込んだ水と米で炊き上げるため、ウーケという子会社のメーカーを作って入善町に生産工場を設け、多くの競合品のように炊き上げた米をパック詰めするのではなく、パックに生米と水を入れ、パックごと炊き上げる製法によって一般的なパックごはんのように食べた際に口に残る酸味の原因ともなるPH調整剤や酸味料を使用することなく、炊き立てのごはんのような段違いの味を生み出しているのだという。
このパックごはんはショップチャンネル限定の商品というわけではないものの、前述通り、販路は富山の道の駅などに限られていること。また、価格も同社限定価格で展開できるという条件が整ったことなどから同社初のパックごはんとして採用することに決めたという。(つづく)