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腕利きバイヤーに聞く、三越の生活雑貨担当・晴山雄吉氏、顧客との会話を大事に

2010年 7月11日 20:42


手間とスピード感を両立

モノ溢れの時代に、商品を手に取れない「通販」で買い物をしてもらうには、対面販売よりも高度なテクニックが必要だ。商品の写真やコピー、価格など消費者をひきつける要素はいくつかある。ただ、実際に商品を手にした消費者をがっかりさせないためには、「いかに良い商品を見つけるか」が大切。通販の要とも言えるバイヤーはどのように「売れる商品」を世に送り出すのか。今回は三越の通信販売事業部で生活雑貨のバイヤーを務める晴山氏に聞いた。

実店舗や通販のバイヤーを歴任されている。

 「通販の生活雑貨を担当して8年目になる。通販では対象顧客が全国に広がり、店頭顧客とはライフスタイルが異なる消費者への提案も必要になった。通販でしか買えない商品にこそ顧客は魅力を感じている。バイヤーの立場で言えば、通販はリアルタイムに自分の成果が見える。仕入れた商品の番号を打ち込めば、販売状況がすぐに出てくるため、励みになる」

 商品探しの手段は。

 「新聞や雑誌、テレビの話題商品の紹介などはもちろん、メーカーや卸が出展する展示会にも数多く足を運ぶ。自分には関係のない展示会と決めつけず、ひとつでも多く見るようにしている。展示会場は隅々まで回るが、やはり会場の正面に陣取る会社は大事。それだけ自信があるということ」

 どんな話をするのか。

 「商品の話しはもちろんだが、三越の品質管理は非常に厳しいことをはじめに伝える。それで売り込み姿勢が弱まるようであれば、信用できない」

 口説き文句は。

 「カタログに載ることで宣伝効果が大きいことを説明する。また、通販の場合はまとまった数量を一括で引き取れることが商売上の強みになる」

 決断にはスピードも求められる。

 「縦に積み上げられるプランター『ミニガーデン3段セット』はどこよりも早く見つけて掲載した商品のひとつ。2年前のある展示会でポルトガル企業が出品していた。話を聞いたら日本に代理店がなかったので、当社と付き合いのある輸入代理店にすぐに電話を入れ、翌日、仲介のために展示会に行ってもらった。準備中のカタログの選品会にすぐに上げ、間に合わせた」

 失敗した商品は。

 「『卓上扇風機』だ。持ち運びしやすいのを売りにした商品だったが、販売する直前の最終検査で誤作動の恐れありと判断され、扱えなくなった。すでに誌面は印刷されていて、オーダーは受けられないという恥かしい思いをした。その後、協力工場には電気用品安全法に基づく認定マークの取得を義務付けるなどの対策を徹底した」

 新人バイヤーにアドバイスするとしたら。

 「当社では、オペレーターが応えられない質問はバイヤーに回ってくる。顧客の質問に自分で調べて、回答の電話を直接入れることは非常に大事。そのプロセスや、顧客との会話の中に自身が成長できる要素がある」

 バイヤーの仕事をどう感じる。

 「三越に入社してすぐ、大先輩に『商売なんて簡単。良い物を安く仕入れて、たくさん売るだけ』と言われた。通販のバイヤーとなって、初めてこの言葉通りの仕事ができていると感じている」





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