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消費者調査の限界露呈【だいにち堂VS消費者庁㊦】 だいにち堂「結果を都合良く解釈」と指摘

2019年10月 3日 13:50

 だいにち堂による景品表示法の処分取消訴訟では、互いに行う消費者調査の正当性をめぐり、だいにち堂が改めて消費者の認識を探る再調査を行った。消費者庁による問題点の指摘を反映させ、あえて実施したもの。だが、結果は同じ。消費者の認識を消費者調査に依存するという、消費者庁自らが選択した手法にジレンマが生じている。

 消費者庁の指摘は、(1)1つの質問で2つの内容を聞く「ダブルバレル」のため、回答者が「飲めば疾患が治る」など否定的な回答を選びにくいよう設計されている、(2)選択肢の数が多いため消費者の認識を正確に反映できない、(3)購入意向を尋ねた質問の回答配列で「購入したくない」が中央にあり否定的な回答が誘導された、(4)「購入したくない」などの”購入意向”を尋ねた上で、”効果への期待”を尋ねたために「何の効果も期待できない」との否定的な回答が誘導されたというもの。再調査(有効回答・計300人)では、これら懸念を排除した。

 だが、結果は、「何の効果も期待できない」との回答が、前回調査、再調査のいずれも4割で変化なし(=)。だいにち堂は、質問の順番や回答配列が調査結果に影響しないことを専門家に意見を聴取して主張。「消費者庁の指摘は自らに不都合な結果を否定するため、作為の結果であるかのようにこじつけた」とする。

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 「消費者調査」で消費者の認識を図る手法の限界も露呈している。

 消費者庁は、だいにち堂の訴訟では、調査の対象とすべき消費者を健康志向や健康不安を抱える”健康関心層”に限定すべきとする。限定すれば誘引性を測る「購入したい」と回答する層も増えるとし、だいにち堂調査の問題点を指摘する。

 だが、2016年、お茶の原産地表示をめぐり処分取消訴訟に発展した村田園のケースでは、真逆の主張を展開。ネットへのレビュー投稿の世代等に基づき調査対象を絞り込んだ村田園による消費者調査を恣意的であるとし、「茶葉等を購入する可能性がある需用者は限定されるべきではない」と指摘している。結果は、日本の人口構成に沿って行った消費者庁の調査結果を裁判所が認め、村田園は敗訴した。

 消費者庁の主張がその都度異なる理由は、事案により対象とみなす”消費者像”が異なることがある。

 だいにち堂の処分当時、消費者庁表示対策課の課長だった大元慎二氏が景表法を解説した著書では、「商品の中には、需用者の範囲が限定されるものがある。その場合は限定された需用者がそれについての一般消費者」との見解が示されている。例示されているのは、ベビーカー。商品により、捉えるべき消費者像は異なる。だいにち堂もこうした例外があること自体は否定していない。

 だが、訴訟を前に行われた審査請求で、消費者庁自らが行った消費者調査は、20~69歳を対象に、日本の人口構成に基づくサンプルで行われていた。これをもとに、広告を見た6割が「誤認する」との主張を展開した。

 だいにち堂は、この点を捉え、消費者庁自体が”健康関心層”に限定した形跡がなく、「辻褄が合わない」と指摘。「自らの主張に不都合な結果が示されたため、突如、健康関心層が(この問題における)『一般消費者』であると主張を変更した」とする。

 また、健康食品は広く一般消費者の利用を想定して開発されており、範囲を限定するのであれば、その根拠を客観的に立証する必要があるとも指摘。「事案ごとに景表法により保護すべき対象の範囲が操作できることになれば、事業者の表現の自由を脅かすだけでなく、法の趣旨とも異なる」と指摘する。(おわり)

 
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