ニューバランスジャパンは、公式通販サイトが好調を維持している。今春からはオムニチャネル化に向けた取り組みにも着手しており、顧客の利便性を高めてブランドのファン獲得をさらに進める。
同社ではECチャネル好調の要因として、「メルカリ」などCtoCアプリで服や靴を購入する消費者が増え、オンラインでの買い物に抵抗を感じなくなったことがブランドの公式ECなどへの波及効果を生んでいると見ている。
加えて、数年前のスニーカーブームのときはスニーカーを履くこと自体が新しくておしゃれという風潮があったが、今は通勤時も含めて履いていて疲れにくいスニーカーの実用性が支持されており、トレンドとしてではなく、消費者の潜在的ニーズの高まりを受けてスニーカーが見直されているという。
「ニューバランス」の公式ECでもウォーキングシューズなどがよく売れているほか、高単価の米国製スニーカーも好調で、スニーカーが楽で履いている生活者と、スニーカーのコアなファンとが融合し始め、売り上げ拡大につながっているようだ。
一方、サイズや履き心地を試したいというニーズも確実にあるため、「まずは実店舗で確かめてもらい、自分に合うサイズが分かった段階でECを利用してもらえればいい」(牧嶋琢実Eコマース部シニアマネージャー)としている。
足もとでは顧客とのロングタームリレーションシップ構築に向けた取り組みを本格化している。同社は4月16日に実店舗と公式EC、アウトレット店(ファクトリーストア)で分かれていた会員情報を公式ECの会員ロイヤリティプログラム「myNBRewards(マイエヌビーリワード)」に統合した。
統合前はECで貯めたポイントが実店舗では使えず、その逆も同じで、どちらもブランドの公式な売り場にもかかわらず利便性が悪かったことから、顧客情報を統合することで満足度を高める。
今後はどのチャネルでの買い物も同じ会員ランク、ポイント付与率で利用できるようになり、リアルとネットの相互利用客数を把握して次の打ち手に反映させる。ECチャネルでは、これまで実店舗で「ニューバランス」の靴を買っているユーザーに対してはリテンションができていなかったが、今後はECのリテンションスキームに合わせたアプリのプッシュ通知やメルマガなどを通じて2足目、3足目の提案をしていく。
また、会員統合に合わせて公式EC上で実店舗の在庫状況を確認できるようにした。各商品の詳細ページで「取り扱い店舗」ボタンをクリックしサイズを選択すると、前日時点の選択店舗の在庫状況が表示され、公式ECで気になる商品をチェックしてから実店舗に行くユーザーの利便性を高めた。また、利用者の増加で公式ECは人気商品が完売したりサイズ欠けするケースが増えているが、その時に実店舗に在庫があれば直営店に顧客を誘導することが可能になる。
次のフェーズでは店舗受け取りやEC予約サービスなどを検討しているが、これらの実現には物流面や基幹システムも含めてハードルがあるため、全社を挙げてスキームを考えている段階で、近い将来には実現したい意向だ。また、リアル店舗のオペレーションも増えるため、人事評価制度も一緒に整備することになりそうだ。
同じく4月中旬からは会員情報ページに子どもの誕生日を入力する項目を追加し、子どもの誕生月にはキッズ商品の購入時に利用できる特別クーポンを付与する取り組みを始めた。最大5人分の誕生日を登録でき、子どもが12歳の誕生日までを対象とする。これまでユーザー本人にバースデークーポンを付与していたが、今後は本人と子どもだけでなく対象範囲を広げる可能性もあるようで、家族の歳時記やイベントの中にニューバランスの公式ECが思い浮かぶようにしたい考え。
今後はカスタマージャーニーの設計に力を注ぐ。実店舗のユーザーが「myNB」会員となったことで、ブランドとの接触の仕方や買い方などがECチャネルだけのときとは変わってくるため半年程度をかけて分析し、例えば、運動会シーズン前に子ども用のシューズを提案するなど、配信時期も含めて”気の利いたEC”を目指すという。(
おわり)
同社ではECチャネル好調の要因として、「メルカリ」などCtoCアプリで服や靴を購入する消費者が増え、オンラインでの買い物に抵抗を感じなくなったことがブランドの公式ECなどへの波及効果を生んでいると見ている。
加えて、数年前のスニーカーブームのときはスニーカーを履くこと自体が新しくておしゃれという風潮があったが、今は通勤時も含めて履いていて疲れにくいスニーカーの実用性が支持されており、トレンドとしてではなく、消費者の潜在的ニーズの高まりを受けてスニーカーが見直されているという。
「ニューバランス」の公式ECでもウォーキングシューズなどがよく売れているほか、高単価の米国製スニーカーも好調で、スニーカーが楽で履いている生活者と、スニーカーのコアなファンとが融合し始め、売り上げ拡大につながっているようだ。
一方、サイズや履き心地を試したいというニーズも確実にあるため、「まずは実店舗で確かめてもらい、自分に合うサイズが分かった段階でECを利用してもらえればいい」(牧嶋琢実Eコマース部シニアマネージャー)としている。
足もとでは顧客とのロングタームリレーションシップ構築に向けた取り組みを本格化している。同社は4月16日に実店舗と公式EC、アウトレット店(ファクトリーストア)で分かれていた会員情報を公式ECの会員ロイヤリティプログラム「myNBRewards(マイエヌビーリワード)」に統合した。
統合前はECで貯めたポイントが実店舗では使えず、その逆も同じで、どちらもブランドの公式な売り場にもかかわらず利便性が悪かったことから、顧客情報を統合することで満足度を高める。
今後はどのチャネルでの買い物も同じ会員ランク、ポイント付与率で利用できるようになり、リアルとネットの相互利用客数を把握して次の打ち手に反映させる。ECチャネルでは、これまで実店舗で「ニューバランス」の靴を買っているユーザーに対してはリテンションができていなかったが、今後はECのリテンションスキームに合わせたアプリのプッシュ通知やメルマガなどを通じて2足目、3足目の提案をしていく。
また、会員統合に合わせて公式EC上で実店舗の在庫状況を確認できるようにした。各商品の詳細ページで「取り扱い店舗」ボタンをクリックしサイズを選択すると、前日時点の選択店舗の在庫状況が表示され、公式ECで気になる商品をチェックしてから実店舗に行くユーザーの利便性を高めた。また、利用者の増加で公式ECは人気商品が完売したりサイズ欠けするケースが増えているが、その時に実店舗に在庫があれば直営店に顧客を誘導することが可能になる。
次のフェーズでは店舗受け取りやEC予約サービスなどを検討しているが、これらの実現には物流面や基幹システムも含めてハードルがあるため、全社を挙げてスキームを考えている段階で、近い将来には実現したい意向だ。また、リアル店舗のオペレーションも増えるため、人事評価制度も一緒に整備することになりそうだ。
同じく4月中旬からは会員情報ページに子どもの誕生日を入力する項目を追加し、子どもの誕生月にはキッズ商品の購入時に利用できる特別クーポンを付与する取り組みを始めた。最大5人分の誕生日を登録でき、子どもが12歳の誕生日までを対象とする。これまでユーザー本人にバースデークーポンを付与していたが、今後は本人と子どもだけでなく対象範囲を広げる可能性もあるようで、家族の歳時記やイベントの中にニューバランスの公式ECが思い浮かぶようにしたい考え。
今後はカスタマージャーニーの設計に力を注ぐ。実店舗のユーザーが「myNB」会員となったことで、ブランドとの接触の仕方や買い方などがECチャネルだけのときとは変わってくるため半年程度をかけて分析し、例えば、運動会シーズン前に子ども用のシューズを提案するなど、配信時期も含めて”気の利いたEC”を目指すという。(おわり)