前号に引き続きフラッシュセールサイト運営のGLADD(グラッド=
gladd.jp/)で共同CEOを務める渡辺サブリナ氏(
写真(右))と香取純一氏に成長戦略を聞いた。
――MD面の変化は。
香取「商品カテゴリーや取り扱いブランドを増やすことで顧客の継続率を高めてきたが、次のフェーズでは顧客一人ひとりの嗜好性に合わせたMD構築が必要だ。データを活用しプロダクトアウト型からもう少しマーケットインのMD構成にする。サイト全体のお客様の需要を分析してこれまで以上に2回目、3回目の買い物につなげられるようにしたい。ファッションが主軸であることは変わっていないが、アクティブ会員1人当たり平均3点を購入しているため、継続率の観点からもホーム&ライフスタイルやデリ(食料品)、ビューティーの3分野は重要で実際に伸びている」
――データ活用の事例などは。
渡辺「初回購入から、2回目、3回目の買い物までの期間や、ずっとファッション商材を買っているのか、複数カテゴリーの商品を買っているのか、どういう組み合わせで買っているのかを分析してシナリオ作りの精度を高めている。同時に、CRMのフロー作りに向けてメッセージの中身やタイミングの組み合わせを研究している」
――データ活用でとくに重視していることは。
香取「新規会員のKPIを細かく分析している。当社では新規会員の約半数が購入していて、8割が会員登録してから1カ月以内に買っているため、最初の1カ月が勝負になる。1カ月間のカスタマージャーニーを作成し、購入まで導くことがひとつのKPIになる。初回購入から2回目の買い物が短ければ短いほどLTVが高くなる傾向にあるため、初回から2回目までのベストな商材は何かを研究しているし、3回買ってもらうとかなりの確率で継続してもらえるため、そこまでにどういう提案をするかが大事だ。初回にAという商品を買ったら2回目はBという商品を買いやすいというデータが必ず出てくる。その提案精度を高めることが大切で、少しずつ結果が出てきている」
――売上高の推移は。
渡辺「16年12月期は規模拡大に向けプロモーションなどを強化して売上高は100億円を超えた。17年12月期は次の成長に向けてユーザーが定着化するまでの課題をクリアすることを優先した。ここをしっかり整備しないと、いくらコストをかけてたくさんのユーザーが会員登録してくれても離脱してしまっては投資が無駄になる。前期はサービスレベルを含めて基盤作りに集中した。長期にわたって成長するためのベストシナリオを作ることを優先し、集客面は少し落ち着かせたため伸び率は前年ほどではないが成長は続いている」
――今期については。
香取「今期からは再度、アクセルを踏んで新規客の開拓に力を注ぐ。同時に、コスト面では売り上げ拡大に伴って社員数も大幅に増員してきたが、業務のデジタル化などで大幅に人を増やさなくても効率的に売り上げ拡大が図れるようになり、18年12月期は黒字化が見えてきた。これまで単月では黒字化していたが、安定的に利益が出せるようになった」
――字化に向けて何が変わったのか。
渡辺「成長に結びつくコストと安定化させるコストを分けた。売り上げに対するコストの変動費化も重要で、"成長をとめない黒字化"を目指すことに変わりはないが、コストを見直しつつ成長し続けられるように両軸で判断している」
――ギルト・グループ買収の経緯は。
香取「同じ時期にフラッシュセールを始め、互いに違った強みを持つサイトに成長しており、一緒になったらもっとソリューションを提供できて面白いのではという気持ちはあった。両社が一緒になることでユーザーは500万人、毎月10万以上の商品を取り引きする規模になる。互いのノウハウやデータを分析することで『1+1』以上の効果が見込める」
――得意な領域がギルトとは異なる。
渡辺「『ギルト』の強みであるハイエンドファッションやメンズが強化できることや、互いのベストプラクティスを共有し、カスタマーサービスや物流などの面でもサービスを強化できる。ブランドさんへの提案の幅も広がるため、双方にとってメリットになる」
――市場をリードする企業として意気込みは。
香取「いまはフラッシュセール市場だが、目指すのはナンバーワンの在庫ソリューション企業だ。フラッシュセールを強化しながら、ほかの在庫ソリューションも積極的に広げていきたい」(おわり)